記事をみた金満小国の第18王子が私を側女に欲しいと言ってきてフィル様に殺されそうになりました
この話読んで頂いてありがとうございます。
関係ないんですが、洗濯していてフリースの紐とかの先に最近金属がついているのがあって、それが洗濯機の槽の穴に、ズボって嵌って取れなくなることあるんですけど。絶対にこれつけた人、洗濯したことない人だ。1時間粘って取れることもあるけど、時間ない時は切るしか無くて。脱水の時に遠心分離で鉄ついていると重くなっているからズボッとハマるんですよね。脱水の力でその鉄が折れ曲がって取れなくなる。ネットに入れていてもそれだけ飛び出していることがあって、本当にムカつくことあるんですけど・・・・。くだらないこと書いてすいません。
私は私の恥ずかしい記事をばらまかれたことで、真っ赤になってもだえていると、
「そんなことないよ。アン姉ちゃん凄いじゃないか」
イリヤの弟のアーロンが盛大に褒めそやしてくれた。
「本当です。村長さんも殿下に助けてもらって感激しておられましたよ」
イリヤまで言うんだけど。
「なになに、『もうまさに伯爵に殺されると思った時に、殿下が命がけで助けに来ていただいたのです。その後姿に後光が差していて、思わず天使だと思ってしまいました』って凄いじゃないか」
フィル様の側近のアルフが言ってくれるんだけど、それ絶対にからかっているよね。
「まあ、アン、王女殿下が命がけで一国民を守ってくれたって、これほど宣伝できることはないんだから、素直に喜んでおけば」
関係ないエルダが言うんだけど、
「そうよ、これを読んで味方が少しでも増えたら言うこと無いじゃない。こっちは戦力的に圧倒的に少ないんだから」
イングリッドも他人事だ。
「そらあそうだけど」
でも、恥ずかしいのは私じゃない!
私が執務室でうじうじしていると、
「殿下。早速、餌に引っかかってきた国があるみたいですぞ」
イェルド様が喜んで入ってこられた。
「嘘っ、あんな恥ずかしい記事を見て来た国があるのですか?」
私は驚いて聞いた。
「どこの国ですか。お兄様」
エルダが聞くと
「ドクラス王国だ」
「嘘! ドクラス王国ってオースティン王国とエスカール王国の間にある国ですよね」
「あの金山やダイヤモンド鉱山を持っていることで有名な」
「これはうまいこと行けば援助してもらえるんじやない」
「何しろ相手は金満国家なんだから」
まあ、ドクラス王国は小さな国で、国土はこのスカンディーナの20分の1くらいしかないが、金とダイヤモンドで成り立っている豊かな国だった。うまく行けば2400億くらい援助してもらえるかもしれない。それだけ裕福な国のはずだった。
でも、あんな記事見て来てくれるなんて絶対におかしい。私は半信半疑だった。
「さあ、アン着飾らないと」
「ええええ! 使者に会うだけでしょ」
「だからよ。金満国家から金を引き出すには、まず見た目からよ」
私はエルダとイングリッドらに部屋に引きずり込まれて、商会を運営するメリーのお父さんに作ってもらった豪華な衣装を身に纏わされた。
青いドレスに飾りがこれでもかと織り込まれている。金糸まで織り込まれていてとても豪華だ。
買ったらどれ位するんだろう。私は怖くて聞けなかった。そもそもそんなのもらって良いんだろうか。メリーに聞くと、
「父が言うには先行投資だそうです。今後とも宜しくお願いします」
って頭を下げられるんだけど、そんなの勝てるかどうか判らないじゃない。私の顔は思いっきりひきつったんだけど、
「最悪負けても、実家で使ってもらうように言うから大丈夫よ」
ってイングリッドが言うんだけど、本当に大丈夫なんだろうか?
「はい、そのときはお願いしますね」
ってメリーはイングリッドに頭を下げているんだけど。
「アン、綺麗じゃない」
「本当です。殿下。本当のお姫様みたいです」
「イリヤ、アンは本当のお姫様だから」
「も、申し訳ありません」
慌ててイリヤが失言を謝ってきたが、
「大丈夫よ、イリヤ、今の私では到底王女と呼べないから」
私が否定して言う。イリヤの言う通り伯爵令嬢がいいところだろう。
そんなことはないとイリヤが否定してくれるんだけど、事実だと思う。
私がそのまま部屋を出ると
「アン、とても綺麗だ」
フィル様が呆けたように言ってくれた。
「でしょう。フィル様。この衣装、ご覧になって頂けましたよね」
メリーが何故かフィル様に自慢して言うんだけど。私に言うんじゃなくて、なんでフィル様に?
「この色合い、でかした。さすがメリー嬢だ」
フィル様がとても喜んでいるんだけど、何故?
「フィル。衣装は本来は婚約者が贈るものではないの?」
「本当よ。商人に無理させるなんてどういう事」
イングリッドとエルダが手厳しい事言うんだけど。
「そのとおりだ。出来たらメリー嬢の見立てで最高級のものをあと5着ほど見繕ってくれ。金は俺が出す」
フィル様が言ってくれるんだけど、
「フィ、フィル様、そんな余裕があるのならば、全て戦費にお回しください」
私がフィル様に慌てて頼み込んだ。今、衣装なんていらないのだ。
そんな金あれば新しい兵器や魔道具に充てたい。イェルド様の金銭教育で私はお金は全て戦費にしか見えなくなっていた。
初めて使われる謁見の間に私達は勢ぞろいした。
私が木端微塵に壊してから、突貫工事で、修繕されたのだ。
見た目はまともに見えるが、全てプレハブというか、ハリボテだ。
ガーブリエル様に無理を言って作ってもらったのだ。
最新魔道具が色々揃えられていると聞くんだけど、そんなの使いこなせるんだろうか?
私は中に入ると、玉座に座わらされたんだけど。この椅子もとても立派で私が座っても良いんだろうか?
横に補佐官のフィル様が立ってくれているんだけど、座るの私じゃなくて、フィル様じゃないんだろうか? 思わず代わってくれと頼みたかった。
それに、座っているのは私だけで、周りにはイェルド様他、エルダもイングリッドも立っているんだけど。
たしかに私は今は王女かもしれないけれど、今の私の国の大きさは侯爵領ほどもない。隣国の大国の王太子とか公爵令息や侯爵令息を立たせて、その中で1人座っているっておかしくない?
そう思ったんだけど、
「それでなくても見た目の威厳がないのです。ここは威厳があるように見せるために一人静かにお座りください」
イェルド様にこう言われると何一つ言えなかった。1年前までは平民で、つけ刃で威厳なんてそう簡単に身に付くわけないじゃない。
そして、その謁見室にドクラス王国の使者がズカズカと入ってきた。
使者は謁見室に入ってくると玉座の私を見て何か戸惑ったような気配を示した。
どうしたのだろうか?
元平民の私が高位囲まれているのを見て戸惑っているのだろうか?
「まあ、多少は見れるみたいだな」
頭を振ってなにかつぶやいた。私はよく聞こえなかったが、私の騎士が剣の柄に手をかけたのが判った。
「おい、不敬だろうが。殿下の御前であるぞ。跪け」
ルーカスが声を荒らげて注意したが、
「何を言うのだ。私はドクラス王国の第18王子バリエンホだ。このようなチンケな国の王女などに何故私のような高貴なものが跪かねばなるまい」
頭をあげて男は言い張ったのだ。
「おい、18王子ってそれはもう王子でないんじゃない?」
「それだけたくさん王子がいればもうそこら辺は男爵クラスじゃないのか」
「一体何人の子供がいるのよ」
「だから野蛮な国は不潔なのよね」
皆白い目でその自称王子を見ているんだけど。
「貴様らな」
王子がなにか言い返そうとして、
「で、その自称王子殿下が何の御用ですかな。我々は忙しいのですが」
氷の視線マックスでイェルド様が自称王子を促した。
「いや、ブルーノ相手に王女自ら戦わねばならないほど追い詰められているのだろう。亡命するのならば俺の側女にしてやっても良いと思って・・・・」
その王子の眼の前をフィル様が投げつけた短剣がかすめた。
剣が壁に突き刺さった。
男は腰を抜かしていた。
「で、殿下に何をするのだ」
「貴様、ドグラス王国の王子殿下にそのようなことをしてただで済むと思うなよ」
横に居た側近たちが慌てて騒いだ。
「アンネローゼはこのフィリップ・オースティンの婚約者だ。それをたかだか一小国のドクラスの王子風情が側目にするだと。貴様、ここで殺されてたいのか」
フィル様が叫んでくれたんだけど。やっぱりこの国のために、私はこの身を金持ち王国に捧げた方が良いのだろうか? 思わず思ってしまった。でも、怒りで震えているフィル様の手前、そんな事は口が裂けても言えなかった。
「何をいいやが・・・」
王子が言い返そうとして慌てて側近に止められていた。
「で、殿下、相手は大国オースティン王国の王太子殿下です。ここは相手が悪いです」
「えっ、そんな馬鹿な。オースティンの王太子が何故こんな国にいるのだ」
「それは・・・・」
「衛兵。コイツラを拘束、一部屋に、閉じ込めておけ」
「き、貴様らそんな事して、俺の父が許すとでも思うなよ」
王子が叫ぶが、
「叫んでいろ」
フィル様はとても不機嫌に言うと衛兵達は王子たちをあっという間に、連れて行ってしまった。
あとに残された私達は疲れ切ってしまった。
あんな馬鹿な記事を周辺諸国に回すから、こんなバカが来たんじゃないのか?
私は思わずイェルド様にそう言いたかったが、殺気をまとったイェルド様の前では到底言えなかったのだ。




