【第五十七話】動かず昇る
その言葉の意味が分からず鳥野は困惑した顔で隣にいる時雨を見た。彼は落ち着いた表情で真っ直ぐ昌姫を見上げている。
「どのように示せばよろしいでしょうか」
「もちろん犬は犬らしくじゃ。時雨よ、妾の足を舐めろ。犬ならば出来るじゃろう」
「ふざけるな!」
「鳥野……!」
怒りを露にし血溜まりに落ちているクナイを握った鳥野を、時雨は片手で制止した。そして、隣にいる彼女にしか聞こえない声で言う。
「抑えろ。そのクナイは放せ。それと何があっても、この場から動くな」
「しかし……!」
「これは命令だ。いいな?」
柔らかい声でそう諭すと時雨は頭を下げた。鳥野は苦しそうに顔を歪めてからクナイから手を放し、彼と同じようにして頭を下げる。
「時雨よ、こちらまで昇ってくることを許そう。妾のもとにに来るがよい」
「かしこまりました」
時雨は立ち上がると階段を上っていく。それを昌姫は満ち足りた顔で、鳥野は苦しみに耐えるような顔で見ていた。
そして時雨は階段を上りきると、昌姫のもとにくると跪く。彼女は足を崩すと、時雨に足を突き出した。
「女よ、顔を伏せてはならぬぞ。そして目に焼き付けるのじゃ。そちらの頭が犬に成り下がる様をな」
昌姫の言葉に鳥野は今にも飛びかかりそうな殺気で顔を歪める。その視線は削いだ様に鋭い。クナイを取り飛びかかろうとしてしまう自分を抑えようとするかのように、右腕を左手で強く掴んでいた。
そんな彼女の姿を満足気に見下ろすと、昌姫は時雨へと視線を移す。
「さあ、早くするのじゃ」
「……失礼致します」
時雨は恭しく、昌姫の足を手に取ると足先にそっと口づけた。そして彼女の足の甲に舌を這わす。時が止まってしまったかと思えてしまうような静けさの中で、舌を這わす艶めかしい音が時折響く。
楽しげに嘲笑しながら昌姫は口を開いた。
「誰が足の甲だけだと言った? 足の裏、指の間、隅々まで舐め回せ。もちろん足の指もじゃ。一本一本丁寧にしゃぶれ」
「……かしこまりました」
「貴様ーーー……ッ!」
「鳥野!」
昌姫の言葉に抑えが利かなくなった鳥野はクナイを握ると同時に階段をかけ上がった。そして感情のままクナイを振り下ろす。
血が流れ落ちた。そのクナイの刃先を時雨が掴んだのだ。掌から血が流れ、彼の腕に血が伝う。鳥野の力が抜けたのを察すると、彼はクナイから手を放す。そして血を自らの着物で拭うと昌姫に向き直った。彼女は楽しげな笑みを浮かべたままだ。
「時雨よ、部下の躾がなってないようじゃな。仕方あるまい、妾が直々に躾をしてーーー」
「お待ちください!」
時雨の言葉に、昌姫は鈴のついた簪へ伸ばした手を止めた。そして時雨に視線を流す。
「部下が無礼を働き、大変申し訳ありませんでした。私の方からきつく言い聞かせておきますので、どうかお許し下さいませ」
頭を下げてから時雨はちらっと鳥野に目をやり、静かな声で告げた。
「これは命令だ。鳥野、戻れ」
「………」
「戻るんだ」
「……御意」
「戻らせる必要などないぞ。女、そこに居るが良い」
昌姫は楽しそうな笑みを浮かべて、様々な感情によって顔を歪めている鳥野を見る。昌姫の瞳はどれだけ目を凝らして見ても、底のない闇があるだけだった。彼女は視線を鳥野から時雨に戻すと、彼の頬を足先で撫でる。
「目を逸らしてはならぬぞ、女。特別にそこで見させてやろう。妾に服従するしかない無能な犬である、そちらの頭の姿を、な」
足先で時雨の頬を撫でるのを止めると、昌姫は彼の口元へとそれを持っていく。そしてそれに舌を這わす時雨の姿を、鳥野は唇を血が滲むほど強く噛みしめ見ていることしか出来なかったのだった。
「時雨、もう良い。妾は満たされた。下がるが良い」
どれほど時間が経っただろうか。鳥野にとっては絶望的に長い時間が流れていた。
昌姫の言葉に時雨は彼女の足を仰々しく下ろすと一礼し、手の甲で口元を拭って立ち上がった。そして呆然としている鳥野の肩に軽く手を置いてから、戻るぞと声をかける。
階段を下りると二人は血溜まりの中に跪き、頭を下げた。昌姫はこの世のものとは思えないほどに美しい嘲笑を浮かべて彼らを見下ろしている。
「そちらが妾の犬になるというならば、妾もそちらを悪いようにはせん。その女を元の体のように、鈴の音が心臓に刺さらぬ体に戻す法もないわけではないのでな」
「それは誠ですか……!」
「誠じゃ。そちらには教えぬが、とある純血の妖怪の血さえあれば可能じゃ。もう滅んでしまったがな。しかしそれが……」
昌姫はそこで言葉を切ると何かを持ち、掲げる様にして二人に見せる。それは注ぎ口のある銚子だった。
「これじゃ。これが欲しくば妾の犬として身を粉にして戦え。天下統一の暁にはこれをくれてやろう」
「……我ら南苑会一同、昌姫様のために忠義を尽くします」
「始めの言葉と比べると、随分と重みが増したのう。それで良いのじゃ。……それとその女を逃がしても無駄じゃぞ、時雨。まあ、逃がしたところで鈴を鳴らすだけじゃ。手間はかかりはせんがな」
「……かしこまりました」
「分かれば良い。せいぜい妾をがっかりさせるようなことはしてくれるな」
そう言って昌姫は二人に下がるように告げる。二人は一礼をして血の匂いと芳しい花の匂いで充満した部屋を出たのだった。
部屋を出て二人は地下を目指し階段を下りていた。そこに南苑会が仮り住まいするための広い部屋ーーーというよりは牢獄に近いものがあるのである。薄暗い城の裏側部分にある階段に二人の足音だけが響く。
時雨は額の目でぎょろりと見回す。二人しかいない様に見せかけて天井裏や壁の向こう側には人が配置されている。そして誰しもが鈴を持っていた。
これだけの人数がいて鈴の音一つ鳴らさないように動くことのできる身のこなしから、常人ではないことは一目瞭然である。
階段の踊り場まで来たところで時雨は足を止めた。そして鳥野に向き直り頭を下げたのだ。
「すまない。……俺が不甲斐ないばかりに。お前に負荷をかけすぎた上、敵の策略にまんまと嵌まってしまった。すまなかった。……だが、何が何でもお前の体は元に戻す。それだけは誓おう。そのためならば、非道な悪行だって何だってーーー」
「貴方は……! なんでいつもそうなんですか……!」
涙声でそう叫んだ鳥野は、嗚咽を噛み殺す様にして泣いていた。そんな彼女に時雨は狼狽えながら口を開く。
「もしや、どこか痛むのか……? 心臓が痛むか……? それとも別の場所が痛ーーー」
「痛むとこなど、どこにもありません……!」
叫ぶようにそう言うと、鳥野は堰を切ったように泣き始めたのだ。時折、固く結んだ唇から嗚咽が漏れてしまってる。
時雨は心配そうに彼女の顔を覗き込もうとするが、彼女はその視線を避けるように袖で顔を隠してしまう。そして涙混じりの掠れた声で言った。
「ごめ、んなさい……もう、殺して、ください……」
「何を馬鹿なことを……」
「頭が……あんな、あんな辱しめを受けているのに……何も、出来なかった……! 私の、せいで……! もうこれ以上、足を引っ張りたくない……! 南燕会の、何より貴方の……!」
「鳥野……」
「私は本気です……! 頭が殺してくれないなら……自分で……!」
「もういい。なにも言うな」
そう言うと時雨は震える鳥野を、両腕できつく包み込んだ。彼女はその腕から抜け出そうと暫く抵抗するが、やがて諦めたように力を抜いた。彼女が大人しくなったのを見計らうと時雨は小さく口を開く。
「悪いな。女を泣き止ませる方法はこれしか知らんのだ。色男だから。まさに眉目秀麗」
「……最低」
「ああ、そうかもしれんな。……どうだ、落ち着いたか?」
「……はい」
「あんな辱しめ、俺にとってはどうってことない。必要とあらば、全裸で盆踊りだってなんだってやるさ。当然だろう。俺は南燕会の頭領なのだからな」
静かに時雨は言葉を紡ぐ。それを鳥野は彼の腕の中で黙って聞いていた。
「誰も、欠けさせはしない。お前達だって俺のために命を懸けてくれているのだ。頭領の俺がお前達のために命を懸けなくてどうする。……帰ろう。みんなで」
優しい声音でそう言うと時雨は鳥野の背中に回していた腕を下ろす。そして涙の残る彼女の目尻をそっと親指で拭った。
「女子に泣かれるのは苦手だ。特にお前に泣かれるのは」
「……貴方の女遊びの後始末でさんざん泣かされてきましたが」
「はっきり言ってくれるなあ。まさに旗幟鮮明」
困ったような顔をわざとらしく作り、時雨はからっと笑った。そして安心したように鳥野を見つめ言葉を続ける。
「お前はそういう顔しているのが一番いい」
「そういう顔ってどういう顔ですか」
「なんというか……嫌みを吐き捨てる時の顔?」
「嬉しくありません……!」
鳥野はそう言って溜め息をつく。そして息を大きく吸い、吐き出してから時雨に視線をやった。
「貴方の悪いところは挙げればきりがありません。女癖が悪いこと、無駄に話が長いこと、しつこいこと、猿並みに節操がないこと、替えの利く手足を捨てることができないこと。……悪いところだらけです、本当に」
「ああ」
「ですが、命を懸けさせてください。南燕会のために。貴方の志のために。……悪いところだらけの貴方のために」
はっきりとした口調でそう言った鳥野の声が時雨の胸にどっしりと響いた。彼は静かに頷き、彼女を三つの目で見つめる。どんな絶望も、悲しみも、苦しみも共に越えてきた彼女の強い眼差しは、時雨に希望を与えてくれるようだった。
たとえそれが根拠のないものだったとしても、生き抜く上でどれほど重要なものであるか、彼は知っている。この乱世はそれを無くした者から死んでいくのだから。
時雨は鳥野の瞳を十分すぎるほど見つめた後、ふっと口元を緩め真剣な声音で言葉を紡いだ。
「誓おう。お前達が命を懸けるに相応しい頭領であることを。お前達のために、お前のために、命を懸けることを」
しっかりと頷き合うと二人はまた階段を下りはじめた。足を進めるごとに空気が徐々に冷たくなっていき、妙に重くなっていく。それはまるで黄泉国へと続いているように感じられてしまうほどだった。
だがそれでも二人の足取りに迷いはない。互いの誓いを刻んでいくように足を進めていくのだった。
階段を下りきると、廊下が続いている。壁は石を詰んで作られており、天井はやけに高い。壁の燭台に挿してある松明の灯りがぼんやりと照らしている。
まっすぐ二人が進んでいくと廊下の途中に、鉄格子があった。そしてその前には廊下の壁に沿うようにして、左右に三人ずつ侍と思われる男達が配置されている。
時雨の額の瞳がぎょろりと動く。その者達は鈴を持ってはいないようだった。恐らく罪月国の兵の中でも技量はない者達であろうと彼は推測する。手練れの者でないと鈴の音を鳴らさず動くことなど不可能であるからだ。
男の一人が淡々とした口調で告げる。
「南燕会の頭領とその配下の女だな? 刀等の武器は我々が一時預かってやる。大人しく差し出せ」
そして男は時雨に額に包帯を巻くようにと付け加えた。
相手が手練れでないとはいえ、ここで下手なことをするのは得策ではないと、時雨は言われた通りに額に包帯を巻く。そして刀を一人の男に渡す。鳥野も同じようにクナイや小刀を渡した。
その後、二人は手を後ろ手に麻縄で縛られる。それが終わったのを確認すると、一人の男が鉄格子に鍵を外し開けると、通るように命じた。時雨を先頭に、次に鳥野、そして後ろから男が三人続く。男達は刀に手をかけて歩いている。
少し進んだところで、前方からぞろぞろと歩いてくる集団が見えた。皆、時雨達と同じように後ろ手に縛られているようだ。その先頭を歩く男がやけに飄々とした声をあげた。
「誰か思うたら時雨はんちゃうかぁ。随分ひさしぶりやなぁ」
「おお、もしや虎太郎殿か?」
「そうどす、そうどす」
そう言ってへらっと笑ったのは派手な着物を来た男だった。
松明に照らされた艶やかな黒髪は肩上まで伸ばされており、彼が笑うたびにさらさらと揺れている。頭には赤と白の羽飾りがあった。
そして睫毛は女のように長く、頬には血化粧のようなものが二本ある。女顔で端正な顔立ちの男だった。彼の後ろには何百人もの人々が後ろ手に縛られており、彼の後ろに続いている。
「せやけど残念。今は襲名したさかい、四代目錦澤暁虎ちゅう。よろしゅうお頼申します」
「そうか、ちゃんと家に戻ったのだな。それは良かった。風の噂で聞いたぞ。鼠野会という組織を率いているのだろう」
「そうどす。家業の傍らどすけどなぁ。西には時雨はんのとこみたいな場所がなかったさかい。まあ、うちんとこは主に芸で稼いでんのやけどな。そないなうちらが罪月国の役に立つとは思えへんねんけど」
「お前達、無駄口を叩くな! さっさと歩け!」
時雨の後ろを歩く男の一人が叫ぶようにして命令した。暁虎は不愉快そうな色を滲ませつつも笑顔を作りその男を一瞥する。
「あんたら、昌姫か土岐翔和ちゅう男に仕えてんのか知らへんけど、主君を選べへんなんて可哀想やな」
「なにを……昌姫様はーーー」
「あんた達分かってんか知らへんけど、あいつらは平気であんた達を切り捨てる。あいつらが配下の人間を重用する基準は忠誠心なんかちゃう。使えるか使えへんかや。例えうちがあんた達を殺したところで、お咎めなしになるやろう。なんでならうちらの方があんた達よりも使えるさかい」
「そんなわけーーー」
「嘘やと思うなら試してみる? そもそもこんなひょろい縄でうちらが抑えられるわけあらへんやろう。別に手ぇ使えへんでも、あんた達を殺すなんて簡単なんやで」
ぎろりと笑顔のまま睨むと、その男達は黙ってしまった。暁虎は大袈裟に溜め息をつくと言葉を続ける。
「久しぶりの再会なんや。それを邪魔するなんて野暮ってもんやろう。別に逃げたりしいひんし、急ぎの用ちゃうんやさかい黙っとき。そんなんより時雨はん。あんたのとこも罪月国の傘下に入ったそうやな」
「ああ」
「穏健派の妖怪混血児の組織同士、仲良うしような。うちらのとこ人数は多いけど戦やら得意ちゃうし、過激派組織はおっかない顔した奴らばっかだし、あんた達がおると心強いわ」
「もちろんだ。ここで再会できたのも何かの縁。助け合うとしよう。まさに相互扶助!」
「頭、鼠野会の頭領さんとお知り合いだったのですね」
鳥野が二人の会話に言葉を挟む。暁虎は驚いたような顔をして、彼女の顔をまじまじと見た。
「時雨はんもすみに置けへん男やなあ。こないな可愛いこちゃんをつれ回してんなんて」
「ああ、紹介が遅れてしまった。こちらは鳥野朱だ。武術はそこらへんの男なんかよりはるかに腕が立つ。それに頭も切れる。優秀な俺の部下だ」
「はじめまして。よろしくお願いいたします」
「ひゃー、こないな可愛い顔して腕が立つなんて、おったまげやわ。こちらこそ、はじめまして。よろしゅうお頼申します。時雨はんに初めて会うたのはかれこれ……何年前やったけ?」
「確か……んー、いつだっけ?」
うーん、と二人して頭を捻っている。あまりにも場違いなやり取りに鳥野の表情はふっと軽くなった。少しばかり緊張が解れたのである。
「まあどうでもええか、そんなん。確か京で出会うて意気投合したんやでなぁ」
「そうだそうだ、俺に負けず劣らずの色男がいたもんで衝撃を受けたのを覚えている。おまけに女の趣味も同じときた」
「そんでどっちが女の子に好かれるか勝負したんや。一週間で何人の女の子引っかけられるかって。結果は僅差でうちの勝ちやったけどなぁ」
「いや、嘘をつくな。まさに妄言綺語! 引き分けだったはずだぞ! 俺も暁虎殿も二十八人だったはずだ。俺の記憶力を甘く見てもらっては困る!」
「何言うてはりますのや。うちは二十九人やで。時雨はんが二十八人なら、うちん勝ちやろ?」
違う、と時雨は暁虎の言葉に重ねるようにして声を上げる。その後ろで心底どうでも良さそうな白けた視線を鳥野は二人に容赦なく注いでいた。それに気づかず時雨は童の様にむきになって喋る。
「いや、暁虎殿の二十九人のうち一人は男だったはずだ! 女子でないなら数のうちに入らんだろう! だって俺達はどちらが女子に好かれるか、という勝負をしていたのだからな!」
「しゃあないやん。女装してて男だなんて分からへんかったし。それにやることやったんやさかい、別に数に入れても構わへんやろ。いやあ、男とは思えへんほどのべっぴんさんやったで。ほんなわけでうちの勝ちや」
「いや、認めん! 俺は認めんぞ!」
「諦めぇな。時雨はんがどーのこーの言うたところで結果は変わらへん。うちん方が時雨はんより色男ってことは」
「認めん! 認めんぞ! 認めることなど出来るわけがあるまい!」
「頭、死ぬほどどうでもいいです」
「頭、クソどうでもええです。ええかげんにしいひんと朋古のところへ強制的に逝かせますよ」
そんな言葉が暁虎の後ろから聞こえた。その声の主は人の列を器用に縫って暁虎の斜め後ろに立つ。その男はがたいがよく、身長は暁虎よりも頭一つぶん大きい。深い皺が刻まれている割りにはその体のせいで若々しく見えた。
「朋古のとこ逝かせてくれるん? そら嬉しいな。引き裂かれた夫婦があの世で熱い再会を果たせるっちゅうわけか」
「あほ。冗談にきまってんやろ。あんた仕事山のようにたまってんでしょうが。死んだりしてみぃ。地獄に落ちとったとしても、引きずり上げてやりますさかいな」
「あほ言え。うちが地獄に落ちるわけあらへんやろ。朋古が地獄の閻魔様にお願いしてくれるやろうし。死後の世界ぐらい夫婦一緒にいさせとぉくれやすって」
死後の世界ぐらい、という言葉から暁虎は無駄にに色っぽい裏声を出した。彼の後ろにいた男はうんざりした顔をして、大きく溜め息を吐く。そんなことは一切気にせず、暁虎は思い出した様に言葉を続ける。




