後輩視点によるエピローグ(後)
※二話同時投稿です
話を聞いた限り、陰キャの隣人と不動産屋の兄さんとはなんかしら繋がってると思うんだけど。
彼がクリエイターってのも、勿論可能性はあるけど概ね勝手な印象で草。そこは聞こうよ本人に。
ただそのアパートの水が怪しいことは確か。
『アパート』ってニュアンスからの想像だけど、多分そんな大きくない建物だよね。しかもまだ築10年。だとしたら各部屋に直接水道から水が出る、直接給水方式が推奨されているので、貯水槽があること自体怪しい。
隣のオッサンだけでなく他の住民も物凄く無害な感じだとしたら、陰謀論も馬鹿にできないかも。
とはいえ陰謀論とか正直胡散臭いし。『事実は小説よりも奇なり』っても、なにしろ貯水槽の大規模清掃云々の発言が適当すぎる。水道法による貯水槽の清掃義務は年一以上だし。
仮に、水には本当になにかあるとしても、彼等も大したことは知らないって可能性も一応ある。にしても、ややリアリティに欠けるかな。
まあそのへんの背景は先輩と関係なさそうだし、どうでもいい部分ではある。
陰キャの隣人はオーナー関係者では、っていうのが私の想像するところ。
若いから息子とか。だとしても今までウォーターサーバーに気が回らなかったあたり、元々実家でそこまで贅沢な暮らしとかしてないか、あんまり世話って言うか干渉をされてなさそう。税金対策で建てたどうでもいい物件を引き籠もりの息子に適当に任せたとか、ありそうな感じ。
投資とかなんかで物凄く儲かって……とかならオーナー説もアリだけど、清掃発言がな……まあいいや。細かいことは一旦置いとこう。
噂(実在したのかは怪しいけど。 それっぽい画面なんて作れるし)についての先輩の考察は結構面白かった。
馬鹿だけど、頭悪いとは違うんだよね先輩って。
ああ、もしかしたら『大規模清掃』の話はそれこそ目眩しで、実際は『非常用貯水槽の設置』とかだったのかも?
考えてみれば主目的は『相手になんか入った水を飲ませたい』なわけで、別に『なにか入った水』が水道水である必要性はないな。
なんの目眩しだよっていうのは……向けてる悪意への、かな。
元々は先輩個人への悪意ではなくて。
それこそ犯罪者への、とか。或いは刑法とか。
あと、居候してた人ね。
水道は法律で守られてるわけだし、水道水を飲みたくなくなるようなことを予め言っておいて、安全そうな見た目のなんかを渡した方が絶対簡単だもん。
最初から水を使えないようにするのが副次的な目的だったなら、適当な話を噂として話して不安を煽るとか、方法としては悪くないんじゃないかな。
本当は時系列が違ってて、『非常用貯水槽の設置』から計画を思いついた……とか。
うん、まあまあありそうな感じになってきた。
先輩のことは気に入ったか、ムカついたか。或いは両方で。
当初の一番はお金目的。ちょっと小遣い稼いどくかな、みたいな。もしかしたらインチキ慈善事業をやめて、正規価格の賃貸としてスライドしてくつもりの前段階として入れたのかも。
変な匂いは予め聞かされた話による思い込みによるものじゃないの? ビビリだから。
ウォーターサーバーで、いい水ばっか飲んでた弊害かな。親の脛かじるから……というプチざまぁが発生した可能性。
最後の方のやり取りとかは……なんだろうね? 本人に聞いてみたいよ。
ああでもコレかもなぁ、みたいのはあるけど。『さっさと出て行ってほしい』っていう。
彼、居候には復讐したんだと思うんだよ。
それに水が関係してるかどうかはわからないけど、なんらかのカタチで。そのために部屋を貸すのは必要なことだった。
でもそんな復讐の真っ最中に赤の他人に優しいこと言われて、なんかいたたまれなくなっちゃったんじゃないかな。
だから脅かして──っていうのが私の想像。
優しいって、案外罪だよね。でもまあ先輩もそれでようやく就職決めたんだし、良かったんじゃない?
ただ……『口にするな』の部分だけイマイチよくわかんなくて。
大袈裟に言っただけかもしれないけど……
アレなんなんだろうって。
ちょっと気持ち悪い。




