新技を作ってみるか
「それじゃあ、始めるぞ」
龍が俺と渚を見ながら言ってくる。
「ああ、いつでも」
「OK」
俺は渚に付きあって、手合わせをしていた。龍には審判をしてもらっている。
「今日こそ貴様に勝つ」
渚は宣戦布告をしてきた。
「へいへい」
俺は軽くあしらった。
あ~、めんどくせー。
「それじゃあ、始めっ!」
「はあああああああ」
渚は龍の合図と共に襲いかかってきた。
「はあっ、やあっ、おりゃっ」
右、左、下など次々と木刀を降ってくる。
「・・・・・」
俺はそれを無言のまま意図も簡単に避けていく。
「とりゃあああああ」
今度は頭を狙い木刀を振り下ろしてくる。
「よっと」
俺はそれを避け、足で木刀を踏んづけ、渚の顎に向けて裏拳を仕掛けた。
「甘いっ!」
渚はそれをしゃがんで避け、そして、そのまま足払いをしてきた。
「おっと」
俺はそれを後ろにジャンプして避けて、距離を取った。
「よし、準備運動はこれぐらいでいいだろ」
渚はそう言って木刀を構えなおした。
「次からは本番だっ!」
そして、木刀に気を纏わた。
「祈植剣術 六の太刀 千鳥」
そして、そのまま特攻をかけてくる。
んじゃ、俺もやりますか。
「琥牙流奥義 雲騙し(くもだまし)」
「遅いっ!」
俺が技を発動させようとした瞬間、渚の木刀が俺の胸に当たろうとした。
渚は技が当たったと思ったが、
「外れ」
「なっ」
しかし、渚が貫いたのは俺の残像で、本当の俺は一瞬の内に渚の後ろに回っていた。
「重技 鎌切」
そして、そのまま渚の脇腹に回転蹴りをした。
「ごは」
渚は横に飛んだ。
自ら横に飛んで威力を消したか。
「やはり、強いな。そうでなくちゃ」
渚は痛みを堪えながら木刀を構えた。
「でも、まだまだこれからだ」
渚はまた特攻をかけてくる。
「行くぞ 祈植剣術 七の太刀 十字幻斬」
「なっ」
渚が技を放った瞬間、俺は驚いた。
上下左右正面から斬撃が襲ってきたのである。
「ぐっ」
俺はそれを避けることが出来ずにモロに喰らってしまった。
「どうだ。私の新技は」
渚は嬉しそうに言ってきた。
なるほどな、気を残影代わりに使い、相手の避ける進路を絶ちなおかつ相手に一撃を入れる技か。だから幻斬か。
「なかなかいいな」
俺は思わず褒めてしまった。
う~ん、渚も新技を作ったことだし俺も新技作ってみるかな?えっと、さっきの渚の技の基礎を基盤してみるから、気を俺の全身に纏わせる。
俺は全身に気を纏わせた。
・・・・・さて、いっちょ、やってみるか。
「よし、行くぞ」
俺は構えた。
「来い」
渚は俺の気を感じたのか、木刀を構えなおした。
「琥牙流奥義 蜃気楼」
俺はそのまま渚に突っ込んだ。
「甘い」
渚はそのまま迎え撃った。
「なっ」
しかし、そこには確かに俺の実態があった筈なのに木刀が振り下ろされた数センチ手前に俺がいた。
「俺の勝ちだ。琥牙流奥義 零距離弾」
そして、俺は渚の脇腹に拳を放った。
「がはっ」
渚はそれを見事に喰らい、飛ばされてしまった。
そして、そのまま倒れてしまった。
・・・・・やば、手加減できなかった。
「そこまで、勝者 琥牙大河。って、渚が気絶してるじゃん」
龍は高々と宣言した。
「うん、手加減できなかった」
「どうすんだよ?」
「俺がおぶって寮まで運ぶよ」
「じゃあ、俺は荷物を持つよ」
「ああ、頼むよ」
俺は荷物を龍に預け、渚をおんぶし歩きだした。
この後、渚が目をさまして、また、勝負しろと言ってきたのはいうまでもない。
いや、マジ勘弁して。
私が勝つまでやるんだ!! by 渚




