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第37話:帝国

 平成ライダー二作目っぽい神話です。

 始まりは、約五億年前。


 魔法なる特殊技能の存在に、一人の少年が気づいた。

 以降彼は、魔法の可能性を追求し続け……ついには、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 しかしその代償として。


 彼以外の全ての同胞は種の寿命で亡くなり……彼は(ひと)りになった。


 真理の追及の果ての、孤独。

 それはある意味では、この世全ての研究者にとっての宿命とも言える代償。


 しかし少年は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 己と同じ、ヒト型の知的生命体を生み出す。

 そんな、神にも(ひと)しい所業を実現しうるだけの実力が。


 しかしその所業は。

 時として、そんな神をも恐れぬ所業をする創造主に似た、(おろ)かなる被造物を生み出しうる危険性を秘めていた。


     ※


「あ……アガルタの、最後の皇帝だと?」

「これまでも……いろんなヤツと出会ってきたが……今度は、古代の王族か」


《ビークックックッ。驚いたか》

 田井中と如月の反応に満足したのか。黒幕たる皇帝は得意げに、もしかすると、(えら)そうに胸を張っていたかもしれない調子で言葉を続ける。


《まぁ平民にはなかなかお目にかかれぬ存在だ。仕方あるまいて。しかし、そんなアガルタ帝国も……長くは続かなかった》


     ※


 かつてアガルタ帝国は、魔法の領域に片足を突っ込んでいたと言えるほど科学が発達していた。

 それこそ、彼らが知的生命体へ進化したキッカケである、創造主たる少年が歓喜するほどまでに。


 (ゆえ)にある時から、彼らアガルタ帝国民は思ったのだ。


 自分達は、最初に創造主の手によって生み出され、そしてその創造主がお喜びになるほどの実力を持っている。という事は現在……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 そして、そんな傲慢(ごうまん)なる勘違いをしたアガルタ帝国民は、当然の事ながら、その創造主が、他の惑星で新たなる知的生命体を生み出し、愛したのを見て(しっ)()した。


 自分達こそが創造主にとっての一番ではないのか。


 創造主はもう自分達を、一番だとは思ってくれないのか。


 確かに生み出した順番では、一番であるかもしれない。

 しかし創造主の当時の目的は、あらゆる可能性を持つ知的生命体を誕生させる事であり、そして彼は、己の生み出した我が子全てを平等に愛していた。


 だがアガルタ帝国民は……その平等の愛を理解できなかった。


 (ゆえ)に彼らは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


     ※


《ちなみに他種族の殲滅(せんめつ)を始めたのは我が先祖。我は当時の先祖がどういう気持ちであったのか詳しくは分からんが……まぁ同じアガルタ帝国民として、理解できる部分もある》


 感傷に(ひた)っているのか、テンションを落としながら黒幕は話を続けた。


《そして我がアガルタ帝国は、他種族を滅ぼす(たび)に勢力を伸ばし続け……ついにはこの宇宙のほとんどを領土とするに至った。だがその栄光は、よりにもよって、創造主の手により終幕を迎えた。なんと創造主は、我らが滅ぼしたと思っていた種族を(ひそ)かに(かくま)い……我がアガルタ帝国を倒すための反乱軍を結成していたのだ》


     ※


 そして、戦いは始まった。


 創造主が最初に生み出した我が子たるアガルタ帝国。

 そして創造主たる少年を筆頭とする反乱軍の……百年近くにも及ぶ(おお)(いくさ)が。


 お互いに、多くの血が流れた。

 もしかして、このまま戦いが永遠に終わらないのではないかと誰もが思った。


 しかし最終的には、アガルタ帝国の包囲網を突破した創造主が、アガルタ帝国の皇帝のもとへと辿(たど)り着き――。


「残念だよ。本ッ当に残念だよ」

 アガルタ人の創造主たる少年は、怒りと悲しみで顔を(ゆが)ませつつ、血にまみれたアガルタ帝国皇帝に告げた。


「まさか君達が……他種族を本気で滅ぼそうと思うようになるなんて。おかげで、せっかく僕が生み出した知的生命体のほとんどが死んでしまったじゃないか。まぁ確かに、こうなった原因の一つは僕だ。他種族同士を競わせて、より高みを目指す存在を生み出すために……君達には他種族への競争心と、己の種族を存続させうるプライドを植えつけた。けれどそれらは……過剰に与えすぎれば、こんな可能性が失われた事態を引き起こす。君達という(すぐ)れた種族を失うのは、非常に……非常に残念だけど……せめて、君達という〝失敗〟は、二度と繰り返さないと(ちか)おう」


 そう言って、創造主の少年は当時のアガルタ帝国皇帝にトドメを刺し……戦いにひと区切りがついた。


     ※


《だがしかし!! 創造主によってトドメを刺されたかに見えて(じつ)は……当時の皇帝、つまり我はすでに、己の分身体とわずかな帝国民を、太陽系第三惑星――すなわちこの惑星へと送っていた!! そして創造主に見つからないよう、念のために地下世界に亜空間を生み出し、さらには我らの科学力を結集し生み出した認識阻害機能を持った装置を(もち)いて完全に身を隠し、そこで力を(たくわ)えた!! 我らアガルタ人を〝失敗作〟だと(ののし)った創造主へと復讐してやるためになぁッッッッ!!!!》


((いや、失敗作とまでは言ってないんじゃないか?))

 田井中と如月は、頭痛などに悩まされながらも同時に思った。


《しかし、この惑星へと移住した我らの歴史も……長くは続かなかった》


 どうやら、まだ話は続くらしい。

 そろそろ頭痛を(わずら)わしく思えてきた田井中達は、とにかく原因たる皇帝を探したかったが、皇帝の話にこそ突破口がある可能性があるのではないかとふと思い……黙って話を聞く事にした。


《第二次世界大戦などはまだよかった。地上の戦力など、軽くあしらえたからな。だが……ここ数年で地上へと諜報活動に出た我らの同胞が持ち帰った地上文化……(ぞく)に言う、オタ文化か? その影響を受け、地上人や他惑星種族、さらに創造主との和解を(とな)える同胞達が出てきて、ついには連中が反乱軍を結成し、我らは内戦を起こし壊滅した!! 主に!! 同性同士の恋愛を(すい)(しょう)する〝ふかいのまじょ〟や〝なっとうごはん〟なる地上人が生み出した〝薄い書物〟が原因でなァァァァッッッッ!!!!!!!!!!》


((俺達の同僚じゃねぇかッッッッ!!!!))


《ナニィィィィィィィィ――――――ッッッッ!?!?!?!?!?!?》


 思わず心の中で驚愕する田井中達。

 まさか同僚が、下手をすると地上へと攻め入っていたかもしれない元異星人たるアガルタ人を、特殊能力を(もち)いずして壊滅させていたとはッッッッ。


 しかし田井中達は忘れていた。


 ()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()……()()()()()()()()()()()()!!


《そ、そうと分かっては貴様ら……タダでは済まさん!!!!》

 ついに禁断の事実(笑)を知ってしまった皇帝。


 彼は怒りに駆られ……田井中達にとっては悪夢たる命令を(くだ)す!!











()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ッッッッ》











 ちなみに火星の文明は、アガルタ軍と創造主軍の戦いの余波で壊滅した設定です(ビ○ド(ぇ

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― 新着の感想 ―
[一言] サマミいいい!!!!www やってくれたなオイ!!!www
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