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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第3章

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総力戦

「………様!大丈夫ですか!今回復を!」


 耳から飛びこんできたシスティナの焦った声に意識が覚醒した俺は目を開ける。どうやら仰向けに寝かされているらしく上からシスティナが覗き込んでいる。

 身体の状態を感じられる範囲で確認してみる。ところどころに若干の違和感があるっぽいのは熱波により軽い火傷でも負っているせいだろうか。だが差し当たって治療が必要なレベルではなさそうだ。


「大丈夫。回復も今のところはいい。魔力を大分消耗しているはずだから今は温存しておいて。それよりも俺はどのくらい意識飛んでた?」

「ほんの少しです。思ったより爆風が強かったせいでご主人様は体勢を崩されて少し頭を打たれたようです」


 そっか、灰色狼を受け止めたせいでちょっと重心が不安定になってた瞬間だったからな。身体を起こした俺は脇に座っているシスティナを見る。

 システィナもどうやら大きな怪我は無いようだがところどころがやはり赤くなっていたり、髪の毛の先が少し焦げていたりしている。


 くそ!俺のシスティナに傷つけやがって許しがたい!あんだけ大きな魔法を使えばシャドゥラは魔力回復薬を使ったところでこの戦闘中はまともに魔法は使えないはずだ。こっちもシスティナと葵の消耗はあるが……とにかくこれでやつらの遠隔からの攻撃手段はほぼ潰したはずだ。


「ご主人様、あの…」


 そんなことを考えていたらシスティナが俺を呼びつつ視線を彷徨わせる。その視線の先にはやはりところどころに焦げ目を残しながらも身体的には無傷の灰色狼が立っていた。


「お前も無事だったか。約束しておいてあれだが、出来れば今お前とは戦いたくない」


 一瞬視線をめぐらし葵も無事に狼たちを守り切ったのを確認する。


「あそこの狼たちを連れてこの場から離脱してくれると助かる。お前ならパジオンの命令くらいなんとかなるだろう?」


 灰色狼は高台の上にいてこっちを見下ろしながらなにやら喚いているパジオンを見てから俺を見て小さく頷いたようだ。


「もし戦いたいならこんな状況じゃなく正々堂々とやろう」

 グルゥ!


 灰色狼は小さく承諾し、いや多分そうだと俺が思っただけだけど灰色狼はすぐに葵の方に向かって行ったので間違っていないはずだ。


 

 パンッ   パンッ   パンッ


「なんだ?」


 急に聞こえて来た渇いた音に音源を探すと、どうやら高台の上からのようでシャアズが手を叩いていた。


「いや、マジでここまで凌ぐとは思ってなかった。素直に賞賛するぜ。

 うちの幹部連もかたや従魔を失い、かたや魔力枯渇寸前で動けない状態だ。勝負だけでいったらうちの団員の半数と幹部連を倒したお前らの勝ちは間違いないな」


 大剣を担いだシャアズが嬉しそうに話しかけてくるが別に俺はシャアズが言うように勝ったとは思っていない。

 俺にしてみれば蛍さんと桜を失った時点でどんな形になろうと負け決定だからな。


「ま、勝負にいくら勝っても最終的に死んでたらなんの意味もねぇけどな。さて、ここまで凌いだんだ俺が相手してやってもいいんだが……

 せっかくここまでやったんだ。もうひと頑張り行っとくか?」


 そう言ったシャアズが右手を上げる。ってマズイ!また弓攻撃か!葵と合流しなきゃ!取りあえず葵がいれば弓はなんとかなる。


「お前ら待たせたな!出番だぜ!そして喜べ!あいつら3人の首級を上げた奴はそれぞれ幹部にしてやる!せいぜい励めよ!

 席はたったの3つ!早い者勝ちだ!いけぇぇぇぇ!」


 シャアズの右手が振り下ろされる。


「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」」」


 赤い流星の幹部というのはそれほどまでに魅力的なのだろうか?盗賊達の雄叫びは欲に目がくらんだ者達の物だ。そんな者達が武器を手に一斉に高台から滑り降りてくる。

 くっ!とうとう直接押し包みに来たか…後は体力がどこまでもつか。


「システィナ。大丈夫?」

「はい。まだ戦えます」


 そう言って微笑むシスティナだが、魔断にセットした魔石は全て割れている上に魔力回路からはところどころ煙が出ているので新しい魔石を入れて使うのは無理だろう。それに耐久性に難ありと注意を受けていた手甲も罅が入っているので防具としてはもう役に立たないはずだ。

 さっきの魔法を凌ぐのにパッと見でそれだけのものを支払っている。きっと魔断と手甲、そして水龍の鱗衣。これらがなければさっきの攻撃は受けきれなかっただろう。


「主殿!」

「葵!そっちは大丈夫?」


 早足でこちらに戻って来た葵にはこれと言ったダメージは見受けられない。だがあれだけの魔術を展開した以上は魔力はほぼ使い切っているはずだ。


「もちろんですわ!」

「わかった。取りあえず2人共、最後の魔力回復薬を渡すから飲んでおいて」

「「はい」」


 2人に最後の魔力回復薬を渡す。傷薬系の物はまだ持っているが今回準備できた魔力回復系の薬はこれで打ち止めだ。


「さあ、いよいよここまで来ちゃったな…」


 盗賊達は斜面を滑り終え我先にとこちらに走ってきているので間もなく戦闘になるだろう。


「……ご主人様。やはり」

「システィナ。諦めちゃだめだよ」

「そうですわよシスティナ。最後まで信じて戦うのですわ!」


 俺達の言葉に自信を取り戻したのかシスティナが笑顔を取り戻して頷く。


「さあ、来るよ。もうひと頑張りしよう。今度は遠隔攻撃は考えなくてもいいから無理に固まる必要はない。と言ってもまだ俺には乱戦は危ないからシスティナは俺の背後を頼む」

「はい」

「葵も近くで戦って貰いたいけど、この状況じゃそうもいかないだろうから、いけそうならどんどん奴らの中に突っ込んで掻き回してもいいよ。ただ無理はしないで」

「はいですわ主殿。お任せ下さい」 


 2人と簡単な打ち合わせが終わったところで盗賊達の先頭集団が俺達の所へと到達する。その顔は数の暴力で蹂躙出来ることを全く疑っていない。余裕と欲に塗れた薄汚い顔である。


「行くよ!1つでも多く倒し、1秒でも長く生き残る!それを最後まで積み重ねた時が俺達が勝つ時だ!」

 

 俺は2人の返事を聞く前に先頭切って飛び出し、調子に乗って先頭を走って来た盗賊を袈裟斬りにしてやった。

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