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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第3章

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51/203

システィナの苦戦

 桜の見事な戦いを見届け視線を巡らせると、蛍さんとディアゴは互いに余裕を見せつつ向かい合ったままだったが兇賊とシスティナの戦いは始まっていた。


 システィナはいつものように足を止め相手の攻撃を受けるところから戦いを進めているようでカン!カン!と相手の長剣を弾き返す音が聞こえてくる。

 守りに入った時のシスティナは鉄壁の女だ。あんな優男に貫けるはずがない。


『まずいですわ主殿』

「え?何が」

『桜の時は既に相手が魔法を使う前提だったのとあの子には余計な助言は必要ないと思ってあえて言いませんでしたが…

 システィナさんの相手も魔力を使っていますわ』


 葵の言葉に慌てて兇賊を注視してみるがもともと魔力はあっても精力に変換するしか能のない俺には全く違いが分からない。

 魔力を使っているとは言っても問題なくシスティナは相手の攻撃を捌けているような気がするから問題はないような気もするが。


『主殿。主殿は手に取ればわたくし達の力の恩恵を僅かなりとも得られると聞いていますわ。私を抜いてよく見てみてくださいまし』


 なるほど。確かに桜を装備していた時は桜の隠蔽の効果を僅かに使えてたっけ。それなら葵を装備しているときは魔力操作のスキルの効果を使えてもおかしくない。最低限魔力を感じることくらいは出来るはず。 

 俺は納刀していた葵を抜いてから再度兇賊を凝視してみる。


「…ん…やっぱり特に何も…あ!」

『気がつきました?』

「あいつ身体の周りにうっすらと魔力を纏ってる……しかも防御や攻撃の一瞬だけ魔力を強く込めてるみたいだ」


 俺がそれに気がつくことが出来たのは一瞬強く込めたときの魔力がぎりぎり見えたからだ。そして一度把握したことで注意深く見れば通常時の魔力も視認出来るようになった。


『おそらく魔力で身体能力の強化をしているんだと思いますわ』


 なんだって!そんな勇者のテンプレみたいな能力を主人公サイドだと思われる俺達じゃなくて完全にモブキャラ扱いの悪役が使うとかずるい!俺なんか魔力使えないんだからどう努力したって魔力で身体強化とか出来ないのに……くそっ!今時異世界来て重し付けて身体鍛えるとかどんな自虐プレイだっての。

 そんな不満を感じつつも改めてシスティナの戦いを見てみるがシスティナの背中には全く危なげがないように思える。


「うん。でも、特にシスティナも問題なく戦えてるみたいだし大丈夫じゃないかな」

『主殿…それはシスティナさんに甘えすぎだと思いますわ』

「え?」

『システィナさんの足下をよくご覧になってくださいまし。あの子は主殿に心配を掛けたくないのですわ』


 ちょ、ちょっと待って!どういうこと?

 慌ててシスティナの足下付近を確認する。……あ、あれは…まさか!


「システィナ!」


 思わず叫ぶ。俺が葵に言われてようやく気がついたのはシスティナの足下に飛び散っていた決して少なくはない量の血だった。


「くははは!確かに女にしては戦えるようですし、その受けの強さは賞賛に値しますが…」

「くっ!」


 兇賊がにんまりとした気色の悪い笑みを浮かべた途端、やつの周りを覆う魔力が輝きを増す。


「足りてません!ええ!全く足りてませんとも!力も技も覚悟も!」

「きゃあああああ!」


 一瞬奴の振る長剣が霞む程の連撃にシスティナはその全てを受けきれず弾き飛ばされる。俺は慌てて閃斬も抜きシスティナの下へと駆けつける。


「システィナ!」


 兇賊を牽制しながら膝をつくシスティナを見て思わず息を飲む。背中を見ているだけでは分からなかった傷が無数にシスティナに刻まれ前面を赤く染めていた。


「…ソウジロウ様。どいてください」

「もういい!システィナ。俺が代わる。今のうちに治療するんだ」

「治療はしています。だから私にやらせてください」


 一度も俺の目を見ないシスティナ。システィナの目は俺の向こうにいる兇賊を見続けている。


「…大丈夫なんだね」

「…当たり前です」


 俺の心配そうな声に初めて俺の目を見たシスティナが小さな微笑みを浮かべる。そんな顔を見てしまったら俺は信じない訳にはいかない。


「わかった。あいつは全身を魔力で覆って身体能力を強化しているみたいだ。魔力の動きに注意すれば突然のスピードの変化にも惑わされないはずだよ」

「魔力で身体を?………なるほどそうですか。わかりました、ソウジロウ様ありがとうございます。後は任せて下さい」


 俺の言葉から何かを掴んだらしいシスティナはゆっくりと立ち上がると魔断を構える。治療していたというのは本当のようで、さっきまで見えていた傷はすっかり治っている。だが失った血は戻せないので出来ればこれ以上傷は負って欲しくはない。

 システィナもそんな心配を俺にさせないように常に背中だけを俺に向けて闘っていたのかもしれない。

 俺は薄ら笑いを浮かべながらこちらを見ている兇賊をにらみつけながらゆっくりと後ろへ下がる。


「くはははは!まだやりますか?いいですねぇ、いいですよ。その強い眼!その眼が失われていく血液と尊厳のなか絶望に染まっていく!その過程が私は好きなんですよ。

 どうやらあなたは回復魔法が使えるようですが…斬られた瞬間に出る出血までは止められない。いずれ魔法を使う魔力も抵抗する体力も尽きる。そうしたらあなたを思う存分に陵辱してあげます。きっと素晴らしい絶望の表情を見せてくれるのでしょうね!

 考えただけで股間がはちきれそうです!」


 兇賊は空いた左手で股間を押さえながら涎をたらさんばかりである。元がイケメン風だっただけにかなり見るに堪えない光景だ。そして間違いない!こいつは変態だ…

 正直システィナさえ許可してくれれば、できるかどうかは別として俺の全力で瞬殺したいほどのクズだ。


「あなたの性癖など知ったところで不快なだけですが…」


 急にシスティナの周囲の温度が僅かに下がった。そう思える程システィナの雰囲気が変わる。冷たい声は冷静に紡がれているように聞こえるが魔断を握る手は真っ白になるほどきつく握りしめられている。こんなに怖いシスティナは初めてだ。一体兇賊の放った言葉の何がシスティナの逆鱗に触れたのだろう。

 確かにあいつの言葉は気持ち悪いし、腹が立つがそこまでシスティナが怒るようなことでもない気がする。


「あなたはコロニ村のはずれで同じようなことをしたのではありませんか?」


 あ!……そういうことか。


「…ん?コロニ村?…ああ!麦畑の中に隠れていたお嬢さんですか。あれもなかなかに素晴らしい素材でした。手足の腱を斬られ身動きが出来ず止められぬ出血が命を削っていく状態で、助けを呼びに行った恋人に戻ってきて欲しいと願いつつも戻れば殺されるから帰ってきて欲しく無い。その相反する感情のせめぎ合うなか飢えた獣のような下っ端共にありとあらゆるところを陵辱され続けていく姿…そして!敢えて息の根を止めずに放置しどんな想いで死んでいくのかを想像することで2度おいしい!

 うぅ!…くくく、思い出したらちょっとイッてしまいました」


 こいつ…こいつが!ミラさんをあんな姿にしたのか!湧き上がる激しい怒りを押さえつけ光圀モードへと…  ガンッ!!


 入ろうとしたところでシスティナが魔断の石突を床にめり込ませた。その背中が俺に対して『来るな。私にやらせろ』と雄弁に語っている。まあもちろんシスティナはそんな汚い言葉は使わないだろうけど威圧感はまさしくそう言っている。


「……」


 システィナは魔断を構え直すとゆっくりと兇賊の方へと歩いて行く。


「くは!怖い顔ですねぇ。でもすぐに絶望と快楽で蕩けた顔にしてあげますよ!」


 兇賊が纏う魔力を強くしてシスティナへと襲いかかる。その動きは今までよりも遙かに速い。あいつは変態で頭の狂ったおかしな奴だがそれでも強さは本物だ。正直今のシスティナではまともにやりあっても勝てないと思う。

 守りに徹すれば致命傷を受けずにいられるだろうがそれは裏を返せば致命傷に至らない攻撃までは完全に受けきれないということだ。そしてその傷は真綿で首をしめるようにシスティナの命を削っていくだろう。悔しいが兇賊の言っていた通りに…いよいよ危ないとなればたとえシスティナに嫌われても助けに入ろう。


 そんな俺の心中を余所にシスティナは兇賊の攻めをよく防いでいた。魔断の全ての場所を最大限有効に利用して、受けてしまったら今後の戦闘に影響が出てしまう攻撃を最優先で撃ち落としている。

 その一方でシスティナのローブがどんど斬り裂かれていく。肩や腰、太もも辺りの肌が普通にここからでも視認出来るようになってきた。


「く!」


 これ以上は見ていられないと駆け出そうとした俺の腕を誰かが掴む。


「邪魔したら駄目だよソウ様。シス1人で勝てるから」

「桜…でもあれじゃいつか!」

『主殿。落ち着いて下さい。今度はよぉくシスティナさんを見てみてくださいな』

「言われなくたってずっとシスティナを見てるよ!でもシスティナは防戦一方であんなに攻撃を受けて血が!……血…が?」


 そこまで言って初めて違和感に気がついた。そう言えばさっきからシスティナは何度も攻撃を受けてローブが斬り裂かれている。だからシスティナの白い肌がここからでもちらちらと見えている。


「血が出ていない?…ローブは斬れてても身体には当たってないのか?」

『違いますわ!システィナさんの身体の周囲をよく見て下さいませ』


 まさか!システィナも身体強化を?そんな話に聞いただけですぐ使えるようになるものなのか?回復術とかで魔力に慣れ親しんでるシスティナならいけるのかもしれない。

 俺はさっきまでの不安も忘れてちょっとわくわくしながら眼を凝らしていく。そうすると確かにシスティナを何か白い膜のようなものがうっすらと覆っている。おお!やっぱり!出来てる。

 でも身体強化してるのに劣勢なのは変わらない。やっぱり俺が…ん?


「あれ?でも兇賊の身体強化とはちょっと違うような…」

「当たり前だよソウ様。シスのは魔力で身体の動きをアシストしている訳じゃないもん」

「え?どういうこと?」


 俺の疑問にズバリ答えてくれたのは俺の右手にいる葵だった。





『間違いありません!あれは回復魔法ですわ!』




『間違いありません!あれは回復魔法ですわ!』


 うん、何で2回言った葵。

 ていうかそんなことよりシスティナだ。


 この戦い、武技の技量的なものは兇賊に分があった。だがシスティナは高度な回復術で身体を回復しながら闘うことでその差を埋めていた。だけど怪我してから回復魔法を掛けて治すためその間の僅かな時間に少しずつ血を失ってしまっていた。

 これが長時間続けばいずれシスティナは力尽きていたはずである。だが、システィナは魔力で身体を覆い動きのアシストをさせることで身体能力を強化させるという技術からヒントを得て魔力そのものではなく回復魔法で身体を覆うことを思いついたのだろう。常時回復状態であれば攻撃を受けたと同時に傷は塞がり出血はほぼ皆無になる。だからシスティナの肌は血に濡れずに白いままだったということか。


 おそらくはリュスティラさんが魂を込めて作ってくれた魔力増幅+がついた魔断があってこその技だと思うが壁役をするのにこれほど適した技はない。

 



「おやおやおや……さっきからどういう訳でしょうね。私の攻撃はちゃんと当たっているはずですが?」

 

 さすがに兇賊も何かがおかしいことには気が付いていたらしい。だが、ネタばらしをこっちがしてあげる筋合いはない。システィナはその疑問に答えず兇賊の攻撃が緩んだのを機に攻勢に転じていく。


「あなたのような人は生きていてはいけない」

「く!なんですか急に。だが守りはともかく攻めは甘いですねぇ」


 システィナの攻撃をいくつか防いだ兇賊は攻撃の際に出来るシスティナの僅かな隙を見逃さずシスティナの太ももを斬り裂く。

 だが、その傷は即座に治癒され一滴の血も流れない。そしてシスティナの動きも止まらない。


「な!」

「ヒュ!」


 痛みと傷でシスティナの動きが僅かでも止まると経験則から無意識に判断していた兇賊の動揺を全く意に介さずシスティナは更に踏み込んで攻撃を続ける。兇賊の動揺に加えて反撃を恐れない攻撃でようやくシスティナの魔断は兇賊の身体に届くようになり始めた。


「ち!なにがなんだかわかりませんが、遊んでる場合じゃなくなりましたね。あなたの素材はもったいないですが…そろそろ壊してしまいましょう」


 兇賊の身体を覆う魔力が強さを増す。その威力は今までで最大のようだが、雰囲気的にはそこまでの余裕はなさそうだ。多分だが身体強化をこれだけ使い続けているのにシスティナを攻めきれなかったがために魔力が尽きかけているのかもしれない。


 兇賊は一旦下がって間合いを取ると長剣を腰溜めに構え、システィナの間合いを詰める動きに合わせて身体強化を発動させたまま駆け出し瞬速の突きをシスティナへと放つ。

 その動きは遠目で見ていても一瞬姿を見失いそうなほど速い。


「システィナ!」

 ギャリイ!


 思わず叫んだ俺の声に重なるようにして金属質な音が響く。


「ぐ……ば、馬鹿な。ふ…不死身だとでも…い、うのか」


 システィナの胴体を貫通した長剣から力が抜けゆっくりと崩れ落ちていく兇賊の背中が真っ赤な血で染まっている。

 システィナは逆さに持っていた魔断を左手で脇に立てると残った右手で左胸の下辺りを貫通していた兇賊の長剣を引き抜き俺の方へ投げる。再び敵に武器を渡さないようにするためだと理解した俺は素早く剣を拾いながらシスティナの動向を伺う。


「くそ…ま…さか…死ぬ……た、助け」


 うつぶせに床に倒れた兇賊は血に染まった右手をシスティナへと伸ばしながら助けを求める。


 兇賊の傷はシスティナの心臓めがけた渾身の一撃がリュスティラさん謹製の胸当てを貫通できず、滑った剣先が胴を貫いた後に動きが止まった兇賊の首の後ろ辺りを魔断の槍部分で突かれたもので完全に致命傷だろう。放って置いてもまもなく死ぬ。


「それはできません」

「嫌だ!まだ死にたく」

「あなたはそう言って命乞いをする罪もない人達を笑って殺してきたのでしょう?」

「……」

「私にはあなたが人に見えません。あなたが死にかけていても怒りも情も湧きません。私はただあなたというモノを作業として終わらせるだけです」


 言葉の通りシスティナの眼も声も今まで見たことも聞いたことも無いほどに冷たい。そのなんの感情もこもらない眼で兇賊を見下ろしつつシスティナは魔断の槌部分を振り上げる。


「や!やめ!せ、せめてもう放って置いてくれ!お、大人しくし、死ぬ…くりゃぐ!」


 全てを終えたシスティナの膝が突然抜けゆっくりと後ろへと倒れ込んでいく。何となくそんなことになりそうな気がしていた俺はちゃっかりとシスティナの近くまで距離を詰めていたためすぐさま後ろで受け止める。


「お疲れ様システィナ。随分無理したね…」

「…はい。すいません…どうしても私が倒したかったので無茶しました」


 そう言って俺に微笑むシスティナの顔はいつもの俺のシスティナの顔だった。


「傷が治るって言っても痛みまで消せる訳じゃないだろ。魔力の消耗だって…」

「はい…私ももっともっと強くならないと駄目ですね」

「それは俺もだよ。一緒に強くなろう。俺から侍祭様への命令だ」

「ご主人様………はい!」


 システィナのとびきりの笑顔に俺も笑顔で応える。


「少し休んでて。

 桜、システィナを頼む」

「は~い。桜にお任せ」


 いつの間にかシスティナを支える位置へと移動していた桜にシスティナを預けると俺は残った最後の戦いを見守るべく移動する。

 蛍さんとディアゴの戦いも既に始まっていた。だが蛍さんはギリギリの戦いをしていたシスティナの為にディアゴに余計な手出しをさせないよう十字路を曲がった先へと戦場を移動していた。

 

 無闇に飛び出して戦闘にいきなり巻き込まれてしまうのも困るので曲がり角から少し距離を置いた状態で回り込むように角を曲がる。


「いた!」


 そこでは蛍さんとタンクトップの手甲男が がんがん と鈍い音を立てながら打ち合っていた。見た感じまだ2人共本気を出していないようで互いに焦るような素振りはない。

 むしろディアゴの方は楽しげに笑っているように見える。


「くはははは!あいつが俺達を見に来たってことは俺の部下達は全滅ってか!うちのナンバー2も木偶人形もそこらの奴らに殺られるような雑魚じゃなかったはずなんだがな。

 つまらない襲撃の前に探索者達が集まる塔ならちょっとした暇つぶしぐらいになる強い奴がいるかと思って久しぶりに部下と一緒に行動して塔に来たら部隊が壊滅とかかなりウケるじゃねぇか!くははは!」


 ナンバー2は兇賊で木偶人形は実験体だろう。ちょっと聞き捨てならない言葉もあったような気がするが取りあえず今は気にしないことにする。


「ふむ…死んだ奴らはクズはクズなりに仲間だったのではないのか?」


 蛍さんの斬撃を危なげなく手甲で受け流しながらディアゴは首をかしげる。


「仲間?んなもん盗賊にある訳ねぇだろうが!みんな好き勝手にやって美味い汁を吸えりゃあいいってやつばっかに決まってんだろが!

 生きるも死ぬもそいつの好きにすればいい。俺の隊はそういう方針だ。まあ完全にほったらかしとも言うか。部隊はほとんどあの自称ナンバー2が率いてたからな」

「ほう…クズはクズなりに潔い。まあ、だからと言ってお前らがしてきたことに酌量の余地は全くないがな」

「くは!

 ああ、そういうのはどうでもいいんだわ。お前らが俺らを許せねぇんなら殺しゃあいい。俺は俺で好き勝手やる。どっかで負けて殺されりゃあそれまでのこと。だろ?」

「くくく…お前はなかなか面白いやつじゃの。腕も悪くない」

「いやあ、あんたもスゲェぜ。そんなに楽な攻めをしているつもりはないんだがな。俺のこのレベルの攻めを受けきれるだけの女は今のところメイザの姉貴くらいしか会ったことねぇ」

「ふ、儂はまだまだこんなものではないぞ」

「そいつぁ、楽しみだ!」


 蛍さんは刀を振り、手甲と打ち合わせながら楽しげに肩を震わせて笑う。敵との戦いの中でそんな楽しそうにしている蛍さんは初めてかもしれない。なんだか胸がもやもやする。


「蛍さん!」

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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ 小説1巻~3巻 モーニングスターブックスより発売中 コミックガンマ+ にてコミカライズ版も公開中
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[気になる点] >兇賊の傷はシスティナの心臓めがけた渾身の一撃がリュスティラさん謹製の胸当てを貫通できず、滑った剣先が胴を貫いた後に動きが止まった兇賊の首の後ろ辺りを魔断の槍部分で突かれたもので完全に…
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