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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第7章

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その後と日常

 その後、領主会議は特に大きな問題もなく終了した。


 領主たちも、もの珍しそうにアノークさんから渡された杖やスイロンを何度も出し入れしていて大層ご満悦だった。しばらくは、無料でいい物が手に入ったとほくほくしているだろう。ただ、おいおいアイテムボックス利便性を体で実感してくれば、すぐにもっとたくさん欲しいと思うようになる。

 そのときにルールを守って購入しようとするか、作成方法を解明して自作できるようにするか、違法な手段を使って手に入れようとするか……各領主たちがどんな対応をするか楽しみだ。できれば違法な手段を使うのはやめてほしいけどな。


 領主会議から二十日後にベイス商会主催で行われたアイテムボックスオークションでは、事前に詳細なチラシを広く配布していたこともあり、冒険者限定、商人限定、無制限の三つのジャンルで大盛況だった。初回は冒険者枠、商人枠で十個ずつ、無制限枠で二十個のアイテムボックスが売りに出され、冒険者枠では平均で八十万マール。商人枠では百五十万マール。無制限枠で二百万マールほどで完売した。


 冒険者枠に関しては領主の息がかかった冒険者が多数参加するのを避けるため、ランクE以上の冒険者に絞ったことで参加者が少なかったのと、もともと高額を稼げる冒険者はそれほどいないということで価格は低めだった。


 商人枠はもっと高額になると思っていたが、商人という人種が疑り深い人が多いらしくアイテムボックスの有用性を信頼していなかったようで、一部目端の効く新進の商人たちが大手が本腰を入れる前に落札していた。


 無制限枠ではすでに効果を実感している領主たちの命を受けた者たちが先を争って入札をしていた。詳細はわからないが、二十あったうちの八割くらいは領主の息がかかった人間が落札していったと思われる。この熱狂ぶりを見ていた大手の商人たちは自分たちが出遅れたことにようやく気付いたが、時すでに遅し。第一回のオークションは終了していた。


 この日だけでオークショニアであるベイス商会には約六千三百万マール、日本円にして約六億三千万が支払われたことになる。ここから経費と報酬で二十パーセントほどがベイス商会に残り、発案者と素材の調達費として俺たちに三十パーセント。そしてリュスティラさんたちが五十パーセントを得る。リュスティラさんたちは俺たちと折半でいいと言ってくれていたけど、ふたりの知識と技術が無ければ完成しなかったし、最近では素晴らしい装備をいつも無料で作ってもらっている。なにより今回の比率でも俺たちには二億円近い額が入ってくるわけで……普通に使いきれない。


 しかも、またオークションを開けばさらに値段があがることが想定される。儲けすぎると妬み嫉み恨みを買うことになるから、次回は少し期間を開けてでも、ある程度まとまった数を出したほうがいいかも知れない。世に出回るアイテムボックスの数が多くなれば値段も落ち着くし、製法を探ろうとする不心得者も減るだろう。


 いまのところシスティナの契約を破った者も、一方的に破棄した者もいないが、もしそんな兆候があればふたりの安全のためにもリュスティラさんたちを屋敷の敷地内に引っ越しさせるのもいいかなぁと思ったりもしている。リュスティラさんたちもお金に関してはもう困ることはないだろうから、店の立地は考えなくてもよくなるし、最近右肩上がりで上昇しているふたりの技師としての評判を考えれば街から数分程度離れたところで客足がなくなるとは思えない。


 屋敷の敷地内というのは極端にしても隣接した場所に工房兼住居を建てれば、周囲に人の気配がなくなるというデメリットはあるものの、それを補って余りあるうちの狼たちの警戒区域に含めることができるというメリットがある。


 実は屋敷警護組の二狼たちも最近進化を迎え、山狼から守護狼(ガードウルフ)になっている。これにより体がひとまわり大きくなって全体的に固くなったのに加えて、索敵能力が格段に上がっているから防衛戦力としては十分だと思う。馬トリオも屋敷にいるときはちゃんと見回りに協力してくれるしな。

 今度ふたりに聞いてみよう。工房が最近手狭だって言ってたしね。


 アイテムボックス関連はそんな感じでひとまず俺たちの手は離れた。まあ、素材だけは引き続き集めるけど、そっちのほうは塔探索のついででなんとでもなる。ということで最近はザチルの塔の探索に力を入れている。


 メンバーはその日によって違うけど、俺が入るときは侍祭ひとりと人化ができる刀娘ひとりは同行確定で、この三名にもうひとり刀娘が付くか、従魔から一頭が同行すればみんなから塔に入る許可が出る。  探索中に同行している刀娘がこれ以上は怪我をする危険がある、と判断すれば人員を増やして挑むことになる。だけど、現在の到達階層である三十四階層までの間で駄目だしをされたことはないから、まだ四名のパーティでも上を目指せる。まあ、でもだいたい一緒に行きたいっていう志願者が出るから四人ってことはあんまりないけど。


 階層が上がっても安定して戦える理由として、村正である澪と雫の力も大きい。だって普通に攻撃しているだけで、自分に支援(バフ)がかかって、敵に妨害(デバフ)がかかるんだから、戦えば戦うほど戦闘が楽になる。


『もっとあちしを褒めてくださいませ、お館様』

『……あちしも褒めていい、お館』


 最近は刀として使用されることの喜びを思い出したようでやる気に満ちているし、使い手としての俺もそれなりに認めてくれたみたいでちょっといい感じだ。ふたりは刀としての能力も申し分ないし、スキルも強い。ふたりを二刀として使っていく形は安定感があって、いい戦い方なんだ。だけどスキル構成から見ると、ふたりには明らかに優れた魔法の才能がある。葵の【魔力操作】とは違ったぶっ放し系の本来の魔法……しかもふたりには【連結魔法】という夢のようなスキルがある。こちらの能力もぜひ生かせるようにしたい。

 そのため塔で得た魔石で質のいい物は葵に属性付与をお願いして、ふたり平等に各種属性魔石を錬成している。澪が【擬人化】を覚えてくれれば、雫も【擬人化】を使用してくれるはずなのその日が今から楽しみだ。


 朝起きて訓練して、塔で狩りをして、帰ってきてみんなと楽しく談笑して、夜は楽しい錬成作業。これこそが俺の求めていた日常である。




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