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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第7章

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エンブレム

「それと、ディランさんにちょっと作ってもらいたいものがあるんです」


 用件が終わって帰ろうと思ったところで、もうひとつ思い出した俺はディランさんに声をかけた。


「なんだ?」

「以前お話していた新撰組のエンブレムなんです、決まったので俺たちの身に付けているものなんかに意匠できるものがあればお願いしたいんですが?」

「ほう、どんなのだ」


 ずっとどんなものがいいのか迷っていて、なかなか決められなかったんだけど、やっぱり俺たちにはこれかなと思ったものが二つあった。

 ひとつはもちろん『刀』、これは刀娘たちがいるんだからもう絶対だ。そして、もうひとつは……『狼』だ。


 俺の名前は総司狼で、従魔たちの大半は狼、そして新撰組の前身は『壬生浪士(みぶろうし)』、通称みぶろ。俺はこれをずっと壬生『狼』だと思っていた。なので、刀と狼を使って……。


「交差する二本の刀、その間に横向きに吼える狼……出来ればトライバル柄で」

「と、とらばる柄?」


 実は俺もよくは知らないんだけど、うにょうにょした波みたいな図形を組み合わせて形を作るみたいな柄らしい。その辺の説明はシスティナの叡智の書庫に任せて、俺は下手なりにイメージだけの落書きを書いてディランさんに示した。


「なるほどな……面白い。こいつは魔力回路のイメージに似ている。ちょっといろいろ試させてくれ。そっちに納得がいけば装備への付与はさほど難しくはない」

「はい、お任せします」


 ディランさんは俺の落書きを見ながらどこか楽し気に髭を撫でる。また職人の血が騒ぎだしているのだろう。


「そうだ、ソウジ。今日は桜がいないからあれなんだが、服みたいな防具のほうもなんとなく形になりそうだよ」

「え、本当ですか! 桜の無茶振りで正直いえば難しいと思っていたんですが……」


 服みたいな防具というのは、最初にここに訪れたときに桜が希望していた防具の形態だが、この世界の技術力では到底完成はしないだろうと思っていたのに、完成が間近だとリュスティラさんはいう。


「そうだね、金属を糸のようにするのはさすがにお手上げだったよ。ただしソウジの学生服があったからね。魔物の素材から生地を作るのは今でもできる。そこに魔石と魔力回路を組み込んで強度を上げる方向に変えたんだ」

「なるほど……この短ランの仕組みを独自に再現するんですね」


 すごいな、未知の技術をちょっと調べただけで、こんなに早く実用化に目途をつけるなんて。他の技師たちがどの程度の実力なのかわからないけど、間違いなくこのふたりは超一流の技師だ。


「打ち直しと合わせて五日ほどおくれ。たぶん旦那のほうもそのくらいあればさっきの件も進んでると思うしね」

「わかりました。次回は桜も連れてきます」

「そうだね、あとあんたんとこの獣人のメイド。あの子たちも連れておいで」


 ……さすがはリュスティラさんだ。俺の考えはお見通しらしい。


「ありがとうございます。それなら明日にでも一度顔を出させます」

「そうだね、そうしてもらえると助かるよ」


 時間もいい感じになってきたので、リュスティラさんたちに挨拶をして工房を出る。あとはこのままメリスティアさんを迎えに行って屋敷に戻るだけだ。


「ご主人様、迎えのほうは私がいってきますので、先に屋敷にもどっていてもらえませんか?」

「え? 別に一緒にいくけど」

「いえ、ちょっとメリスティアと話しておきたいこともありますので」


 御山のでのことがどうなったのかとか侍祭同士で話しておきたいことがあるのかな。まあ、どうしても一緒に行かなきゃいけないわけじゃないけど。


「じゃあ、先に戻ってるよ。一狼」

『はい、我が主』

「システィナの護衛をよろしく頼む」

『かしこまりました。お任せください』


 控えていた一狼がきりりとした顔で頷く。


「ありがとうございます、ご主人様。一狼、よろしくお願いしますね」

『はい、システィナ様』

「じゃあ、気をつけてね。屋敷の準備のほうは大丈夫?」

「はい、霞と陽に任せてありますので」


 うん、だいぶシスティナも人に任せることを覚えてきたかな。それにちゃんと応えようと霞と陽の家事スキルもぐんぐん上達しているしね。システィナもいつの間にか【家事+】と【料理+】になってたし、ふたりも遠からず追いつくんじゃないかな。


 せっかくなのでシスティナと一狼を転送陣の施設まで送っていき、俺たちは屋敷へと向かう。


「せっかくですし、少し屋台を冷やかして帰りませんか主殿」


 俺の腕を抱え込んでもたれかかるように歩く葵。不思議なことにそれだけ密着しているのに歩きにくさを感じない。あまり体重をかけず、俺の動く方向などを感じて微妙に態勢を変えているらしいのだが見事なものだ。

 まあ、いつもいろんな美女を侍らせて歩くから周りからの視線が痛い時期もあった。いい加減もう慣れたけど、地球ではこんな状況あり得なかっただろうな。


「あんまり遅くならないならいいんじゃないかな? 雪もなんか欲しいものとかある?」

「……ある」

「お、珍しいね。なにが欲しいの?」

「……うん、リボン。いまはシスティナからもらったのしかない」


 そういえば雪は人化歓迎バトルのときにシスティナから貰ったリボンでいつも髪を縛っていたっけ。


「いいですわね。わたくしもいい髪飾りがあればプレゼントして欲しいですわ」

「ははは、いいよ。じゃあ帰りがてらいろいろ見てまわろう」

「はいですわ」

「……ん」

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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ 小説1巻~3巻 モーニングスターブックスより発売中 コミックガンマ+ にてコミカライズ版も公開中
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