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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第6章

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ただいま

「やっと帰ってきたぁ! ただいま二狼、三狼、五狼! 留守中は問題なかった?」

「「「がうっ!」」」


 道中を自らの足で走りとおした桜が一足早く門扉ごと飛び越えて、出迎えにきていた狼たちを撫でている。あのあと俺たちは予定通り翌朝あの村を出て領主イザクを護衛しつつレイトークへ戻った。

 幸い道中は特になんの問題もなかったから、護衛依頼としては楽な仕事だった。あとはレイトーク側が冒険者ギルドを通して、副塔討伐依頼と護衛依頼の事後依頼と完了報告、そして報酬を払ってもらえば俺たちは冒険者ギルドから報酬を受け取ることができる。


「六狼、七狼、八狼は夜勤明けで寝てるかな? あぁ! いいよいいよ寝かせておいてあげなよ」

「すっかりわたくしが主だということを忘れていますわね」


 いつのまにかすっかり桜の指揮下に入っている狼たちの様子に、葵と顔を見合わせて同時に苦笑する。ついつい忘れそうになるが、一狼以外の狼は本当は葵の従魔だ。だが、全員『ウチの子』という認識だから問題はない。たぶんだけど、使役系スキルを外しても俺たちの関係は変わらないと思う。


「お疲れさまでした、ご主人様」

「ありがとう、システィナ」


 いつの間にか黒王から下りていたシスティナが門扉を開けてくれていた。本当なら俺もグリィンから下りたいのだが、抱き着いている蛍の感触が柔らかくて離れがたいのと、帰りも大爆走だったグリィンから振り落とされないようにしがみついていたせいで体が強張っていて……自力では下りられないという状況だった。


「情けないぞ、ソウジロウ。いい加減慣れてもよい頃だろう」


 俺の前で蛍さんが溜息を漏らすが……たぶん普通の馬だったら俺だってもう慣れている! と言いたい。デミホースクイーンであるグリィンがとんでもないスピードを出したり、飛んだり跳ねたりするのが悪い。


「はははハ! すまないナ、ご主人。思い切り駆けテ、思い切り戦えたおかげデ、気分がよくてナ。ついはしゃいでしまっタ。だガ、私に慣れておけば普通の馬なド、すぐに乗れるようになるだろウ」

「はいはい、そうだといいね」


 グリィンの言葉をさらっと受け流すと屋敷の門の前に来ていたので、システィナに手伝ってもらって地面に下りる。あぁ……大地って素晴らしい!


「旦那様、先にお屋敷を掃除してきちゃいますね」

「兄様、掃除は霞ちゃんとふたりでやるからお風呂にでも入ってるといいよ」


 霞と陽がすっかり侍女モードになって張り切っている。確かに俺の体は固くなっちゃってるし、お願いしちゃおうか。


「じゃあ、申し訳ないけどお願いしちゃおうかな」

「「はい!」」

「ご主人様、着替えは私が準備しておきますので直接向かわれてください」

「そう? ありがとうシスティナ。一狼、一緒にいくか?」

『是非! と言いたいところなのですが、先に留守中の警備状況の確認をしておきたいのです』


 一瞬、耳と尻尾をぴんと立てた一狼だったが、少し残念そうに断りを入れてきた。


「そうか、一狼も疲れてるのにありがとうな。落ち着いたらまたブラッシングしてあげるからよろしく頼む」

『はい! 我が主!』


 尻尾をぶんぶんと振る一狼の頭を撫でてから残りのメンバーに声をかける。


「蛍はどうする?」

「私はまずは一献だな。一杯ひっかけてからいくから先に入っていろ」

「桜もとりあえず一狼と一緒に見回りが先かな? 罠の状態も確認したいし」

「桜もか、葵は?」

「わたくしはご一緒させてもらおうと思いますわ、主殿。ただ、一応わたくしも従魔の主なので黒王と赤兎の体を拭いてからいきますわ。グリィンも一緒に面倒みましょうか?」

「それはありがたイ。馬体のほうは手が届かないからナ」

「うん、了解。雪……は一緒には入らない、か」

「…………」


 ちなみにこの場にメリスティアはいない。まだ契約を解除したわけではないけど、御山の状況を確認して、やらなきゃならないことがあるらしく、ルミナルタの転送陣を使って御山へと帰っている。

 落ち着いたらきちんと挨拶に来てくれるらしいので、その時点で契約が解除になるんじゃないかと思う。メリスティアはすごいスキルもあるし、美人さんだし、スタイルもいいし、いい娘だし、できればこのまま契約を続けて俺たちの仲間になってもらいたいというのが本音なんだけど……無理強いはできない。

 でも、こうして知り合えて一度は契約できたんだから、今後またチャンスがないわけじゃない。うまくシスティナに間を取り持ってもらえるようにお願いしておこうと思っている。まぁどっちにしろメリスティアの方が落ち着いてからの話か。


「じゃあ、皆疲れているところ悪いけどよろしく。今日の夕食は皆で思いっきり騒ごう!」


 それぞれに返事をしてくる頼もしい仲間たちひとりひとりと顔を見合わせると、意気揚々と屋敷へと入る。そしてこんなとき俺がいう言葉は決まっている。きっと皆も同じことを考えている、だから俺たちは万感の思いを込めた一言を口にする。



『ただいま』




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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ 小説1巻~3巻 モーニングスターブックスより発売中 コミックガンマ+ にてコミカライズ版も公開中
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