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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第6章

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ひとつの決着


 俺の脇を駆け抜けたふたりと二頭はあっという間にフージを取り囲んで怒涛の攻めを繰り広げている。個々の力でみればふたりはまだフージには勝てない可能性が高い。そう思ったから俺はちょっとだけ手助けをしたんだけど……

 ふたりと二頭の息のあった連携攻撃は、フージが片腕じゃなくても止められなかったかも知れない。むしろフージはあの連携攻撃をよく片腕でしのいでいる。だが、斬られた腕からの出血は徐々にフージから冷静な判断力と最適な動きを奪っていくだろう。もはや時間の問題だ。


「霞ちゃん!」

「陽!」

「しーちゃん、くーちゃん!」


 ふたりと二頭の間でかわされるのは短い呼びかけだけ、それなのに声をかけられた相手はなにをして欲しいのかがわかるらしい。

 …………それに比べてこっちは。


「ちょっと山猿こっちにきてますわよ! ちゃんとやってますの!」

「ええい! うるさい年増! おまえがごちゃごちゃうるさいから気が散る!」


 ちゃんとこっちにゾンビたちが来ないようにしてくれているけど、もう少し仲良くやれないものか。


「っとにキリがありませんわ! 山猿、ゾンビと言えば【光魔法】じゃありませんの? あなたのしょぼい魔法でなんとかできませんの?」

「やれればとっくにやっている! 私の光では貫けても再生は止められん」

「やれやれですわね。だから脳味噌が筋肉だって言われるんですわ!」

「だれが脳筋だと!」


 しかし、蛍の叫びを無視した葵は大きなため息をもらす。


「山猿でも使えるような属性ですから、わたくしは使いたくなかったのですけど……仕方ありませんわ」


 迫りくる滅屍兵を助実で斬り捨てながら葵が【魔力操作】を発動する。自らの魔力を操作して与えたその属性は……『光』。確かにいままで葵は魔石を作る時以外では、スキルとして持っているのに光属性を使ったことはほとんどない。俺の記憶が確かなら、雪に属性指導をするときに使った一回だけだ。


「わたくしも使ったことはありませんが……システィナさんを見ていればなんとなく癒すという感じはわかりますわ。光……癒し……浄化……聖なる力……」

 

 葵の体が神々しい光に包まれていく。


「やすらかになんて眠らなくても構いませんが、二度と起きてこないでくださいませ。『光術:聖光雨』」


 葵が纏っていた光が弾け、飛び散った光が雨の様に室内に降り注ぐ。その雨を浴びた滅屍兵たちはひとり、またひとりと動かぬ骸へと変わっていった。おみごと。


「ぐぉぉぉ! この俺が……」


 おっと、こっちもいよいよ決まるな。


「私たちはあなたたちがしてきたことを許さない!」

「もう僕たちのような思いをする子を作らせはしない!」


 決意の言葉と共に霞の短剣は背中から、陽の短剣は正面からフージの急所を貫いていた。

「な! ……お、思い出した……なぜおまえたちが生きて……ちゃんと壊して、捨て……た、はず……だ」


 こいつ! 許さ……


「「グォウ!!」」

「がふっ!」


 ふたりを壊して捨てたとかふざけたことを言うフージに腹を立てた俺が思わず斬り捨てようと足を踏み出そうとした瞬間、二頭の狼たちがほぼ同時にフージの喉を噛みちぎった。四狼と九狼も我慢できなかったらしい。


「旦那様!」

「兄様!」


 フージが倒れ伏すのを確認もせずに走ってきたふたりが俺の胸に飛び込んでくる。


「……ありがとうございました、旦那様。私……私たちはこれで……」

「ありがとう兄様。僕、兄様のところにこれてよかった。だから、兄様のところに来るために必要なことだったんだとしたら……あそこでの生活も、あの大怪我も受け入れることができるよ」


 肩を震わせて俺にしがみつくふたりを優しく抱きしめる。本当にこれでトラウマが解消できたとは思わない。でも、きっとなにかが変わったはずだ。


『……ソウジロ、……点』

「え?」


 いつの間にか俺の手から離れ人化していた雪の小さな呟きに問い返そうとした俺の耳に、衣擦れの音が聞こえてきてその問いを諦めて玉座を見る。

 そこでは立ち上がったバーサが魔杖を手に俺たちを見下ろしていた。滅屍兵は全員倒した、フージはまだ魔杖で反魂されるかも知れないが葵がいれば問題ない。となればバーサを守るのは、あとは侍祭のメリスティアだけだ。

 

「私の信者たちを聖塔の御許へと送るという大役ご苦労であった」


 は? このおばさんなに言ってるの?


「聖塔を顕現させるのはレイトークでと思っていましたが……この聖地でも構いません。そなたの功績を認め、そなたを司教へと任命する」


 ちょっと怖いんだけど……確かにいい身体をしてはいるけど。


「今後はフージの後を継ぎ、滅私兵の育成を任せよう」


 馬鹿な! そんな色っぽい声を出したからって俺がそんなこと。


「さらに私との同衾を許可する。私とまぐわれる栄誉を与える」

 

 えっと、バーサ……とヤれる? マジで? やばい股間が固く……


「私とまぐわればこの世の天国を味わい、死後も私のために働くことができる」


 す、凄い! 死んでからもバーサ()のお役に? は、早く行かなきゃ……あれ?



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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ 小説1巻~3巻 モーニングスターブックスより発売中 コミックガンマ+ にてコミカライズ版も公開中
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