表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

137/203

決闘終了

「なかなか見事な槍捌きだった。私がいままで戦った槍使いの中でも五指に入る腕だ」

「ぐぐ……」


 片膝をついた姿勢で切っ先を突き付けられているイザクが、獣のようなうめき声を漏らす。そんなイザクを見て小さく微笑んだ蛍は刀を引き、ゆっくりと戻ってくる。その顔は満足気だから、やっぱりイザクは強かったんだろうと思う。


 俺だったらあの槍の猛攻をかいくぐって攻撃するのはちょっと厳しい。魔法でも使えれば遠距離からの攻撃を絡めて崩していくという作戦も使えただろうけど、魔法が使えない俺の場合は獅子哮の気弾を使うしかない。だが、あれの攻撃力はそう高いものじゃないから、それだけだとちょっと威力が足りない気がする。


「お疲れさま、楽しかったみたいだね」

「うむ、もう少し戦っていたかったが相手は領主のうえに、いまは大事の前だ。この程度にしておかんとな」

「蛍姉様も凄いです!」

「ぜひ私にもあの動きを教えてください蛍様」


 大きな胸を揺らしながら機嫌よく笑う蛍に、霞と陽が賞賛の言葉をかけている。ふたりのふさふさの獣耳(けもみみ)をモフっている蛍を見ていると、本当に楽しそうで人化できるこの世界にこれて本当によかったとつくづく思う。


「ソウジロウ様、さすがにこの期に及んで駄々をこねるとは思いませんが、しっかりと言質を取りに参りましょう」

「了解、という訳でちょっと離してくれるかな? 葵、桜」


 俺の腕に抱きついたままだったふたりをやんわりと引きはがすと、システィナと一緒にイザクたちのところへと向かう。どうやらイザクも話をする気になっているらしく、両脇にグレミロとダイラスを控えさせ直立不動で待ち構えていた。その前へ俺とシスティナは並んで立つ。


「今回の勝負は3勝1敗で私たちの勝ちということでよろしいですね」

「……やむをえまい、ここまでこてんぱんにされては言い逃れなどできぬ。だが」

「わかっています。レイトーク軍と聖塔教の戦いに迷惑がかかるような行動はしないように最善を尽くします」


 イザクはそれを聞いて重々しく頷くと、盛大なため息をついた。


「お前たちの実力はよくわかったが、無理はするなよ。お前たちのような実力者を失いたくないというのは嘘ではない」

「ありがとうございます。私にもまだまだやりたい(・・・・)ことがたくさんありますのでこんな戦いで死ぬつもりはありません」


 やりたい、あたりでちらっとシスティナに意味ありげな視線を送ったら、なにを想像したのかシスティナが顔を赤らめていた。あとでじっくりと、なにを考えたのか問い詰めてやろう。


「いいだろう、攻撃は夜陰に紛れておこなう。それまではお前たちも奴らに見つかるようなヘマはするなよ」

「わかりました、それではご武運をお祈りいたします」

「そちらもな。あとはできればの頼みだが、戦いのあとはうちの治療師では手に負えない怪我人が出ている可能性もある。そちらの侍祭の力を借してもらえるとありがたい」


 イザクが俺に向かって深々と頭を下げる。戦闘についてはなかなか負けを認めない頑固な領主だが、自分の部下や領民のためになら素直に頭を下げられるというのは高評価だ。だが、それを決めるのは俺じゃない。


「システィナ」

「はい、私で良ければ手伝わせて貰います。ただ、こちらの案件が終わってからになると思いますので、怪我の程度に合わせて患者を分けて、重傷者はとにかく延命を心がけるようにしてください」

「む! なんだかわからぬが、協力してくれるということだな。感謝する」


 イザクはよく分かっていないようだけど、システィナが指示しているのは地球での医療の知識だ。たくさんの患者がいたときに、その怪我などの程度ごとに患者を分けることで治療を効率化するとかっていう、確かドレナージとかトリアージとかっていうやつ。叡智の書庫で地球の医療知識まで身に付けつつあるシスティナの回復術は、その効果が日々増しているらしい。


「ダイラスさん、システィナの言葉の意味が分かりましたか?」

「うむ……わかっておる。怪我の程度を判断して治療する順番を決めておけばよいのであろう」


 うん、イザクはあてにならないけどダイラスさんが分ってくれていればいいだろう。


「では、私たちはこれで。明日の準備もありますので」


 イザクに小さく頭を下げると俺たちは連れだって訓練場を出る。このあとはフレスベルクに戻って明日必要になりそうなものを買い集める。

 アイテムボックスがあるんだから、水魔石の水筒も人数分欲しいし、なにがあるかわからないから薬や食料も各自で持っておきたい。それに、なにより明日の移動のために馬が欲しい。

 普通に移動すれば一日かかるくらいの距離らしいから、歩いていくなら今日中に出る必要があるけど馬があれば明日の朝の出発でいい。もともと馬は買おうと思っていたし今回の件はちょうどいい機会だと思う。ただ、俺はまだ練習してないからひとりじゃ乗れないし、高い買い物だからふたりで一頭? 俺とシスティナ、蛍と霞、雪と陽、桜は多分走ったほうが早そうだから、今回は我慢してもらって3頭くらい欲しい。


 そのへんの心づもりを歩きながら皆に伝えたけど、方針については前もってある程度話し合っていたこともあり、誰からも反対意見はなかった。


「じゃあ、水筒とか消耗品の買い出しにはシスティナと霞、陽と……あとは蛍にもお願いしようかな」

「はい、わかりましたお任せください」

「はい旦那様」

「了解です兄様」

「うむ、いいだろう」


 転送陣でフレスベルクに移動したあと、備品の買い出し班として侍女トリオと、必要ないと思うけど一応の護衛として蛍を指名して別れる。

 システィナたちと別れ、半分に減った俺たちも目的地に向かってフレスベルクを歩く。


「ということはわたくしたちが馬を買う班ということですわね」

『私がもう少し大きければ我が主を乗せていけるのですが……申し訳ありません』


 いやいや、進化してかなりサイズアップしているとはいえ、さすがに狼である一狼にそこまでは求めないから大丈夫。いじらしいことを言ってくれる一狼を優しく撫でてやる。


「そうだね、俺と葵はテイム系のスキルがあるし、雪も馬に乗れるかどうかは試してみないとわからないだろうしね」

「……たぶん乗れる」


 雪がちょっと不機嫌そうにしながら宣言してくる。加州清光でもある雪なら馬に乗った経験がありそうだから、おそらくその通りだとは思うけど地球とは重力も違うし、正式には馬じゃなかったりするだろうから念のためだ。


「うん、それを一応確認しておこう」

「あれ? じゃあ、桜は?」

「桜は……特に理由はないよ。あえて理由をつけるなら、昨日からずっとひとりで頑張ってくれてたし、俺が近くにいて欲しかっただけ」

「え? ……だからソウ様大好き!」


 満面の笑みで桜が横から抱き付いてくる。薄手の忍び装束ごしの柔らかい感触が心地いい。きっと今まで桜は薄暗い森の中とか建物の陰とか、そういう暗い場所で一生懸命偵察をしてくれていたはずなので少しでも労ってあげたい。


「桜さんはよく頑張っていますわ。わたくしの力では協力できないのが心苦しいくらいですもの」

「そんなことないよ葵ねぇ。葵ねぇはその代わり桜にはできない属性付与ができるんだから。ソウ様はちゃんとわかってくれてるよ」

「……確かに桜さんのおっしゃるとおりですわ。昨晩もそれはもう、熱く激しく労ってくれましたわ」

「ちょ、ちょっと! こんな往来でなにを言い出すつもりかな?」


 たくさんの人が歩く往来なのに、恥ずかし気に頬を染めながら昨日の錬成模様を話し出そうとする葵を慌てて止める。


「あら、失礼いたしました」

 

 どうやらわざとやっていたらしく、慌てる俺を見て楽しそうに笑う葵。最年長なのに葵はこういう子供っぽいことをよくするんだよな。可愛いからいいんだけど。


「それで、どちらで馬を買われるのですか? 主殿」

「それなんだよね、システィナに買い出しをお願いしちゃったからお店も値段交渉もさっぱりだなんだよね」

「あ、そう言えばそうだね。どうするのソウ様」


 俺は心配する桜の頭を撫でながら心配はいらないと笑って見せる。



「困ったときは…………ウィルえもんに頼む!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ 小説1巻~3巻 モーニングスターブックスより発売中 コミックガンマ+ にてコミカライズ版も公開中
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ