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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第5章

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 全員が入浴を終え、後は寝るだけとなり霞と陽と狼達を除くメンバー全員が寝室に集合している。


 いつもならこのまま、くんずほぐれつした後に心地よい疲れの中で共に眠るのだが、今日はその前に葵が属性付与してくれた魔石を雪へと錬成する。


 今回付与してくれたのは地・水・火・風の4属性に闇を加えた5つの属性である。


 桜や葵の時は属性付の魔石を錬成することで刀の本体のスキルとして桜は魔法が発現したし、葵は各属性の魔力操作能力を得た。だから、もしかしたら雪にも属性に絡んだ良い能力が発現するかもしれない。


 もちろん桜や葵の場合は彼女達自身の特性が影響した部分も多いと思うけど仮に属性が受け継がれなくても錬成値の上がりがいいことは間違いないので問題はないんだけどね。


「よし、やるか。『添加錬成』」


 小さく呟いてスキルを使うと右手に持った雪の刀身と葵から手渡された火魔石がぼうっと光を放つ。この辺の課程はもう何度も見ているから慣れたものだ。

 

 光っている雪と魔石をゆっくりと近づけていく。魔石はいつものとおり、刀身に触れたにも関わらずカチリとすら音を立てないままスッと雪へと吸い込まれていく。


 風呂場で葵と錬成作業していたせいでちょっと疲労感が襲ってくるが、まだ軽いものだ。なんとかあと4つくらいはいける……かな。


「で、錬成値が……」


 1個を錬成して、錬成値の上昇値を武具鑑定で確認する。


「うん、81から86だね」


「それならば、あと3個ほど錬成すれば今日中に雪さんのランクが上がりそうですね」


 また新しい仲間とまた話せるようになるかもしれないのが嬉しいのか、システィナが嬉しそうに微笑む。


「雪ちゃんは桜と置いてあった場所が遠くて、あんまりお話しした記憶がないんだよね」


「あら、わたくしも高い場所に飾られておりましたのであちらの方はよく知りませんわ」


「ふむ……そうだな。私もこの年増の隣だったから同じだな。だが、私は蔵の中の会話はなるべく拾うようにしていたが、雪が話しているのを聞いたことはないな」


「そうなんだ……もしかしたら同じ沖田総司の刀っぽい他の2本も全然話してなかった?」


「いや、そんなことはないぞ。同じように飾られていた他の刀達は話していたな」


 そうなのか、そうするとやっぱり雪自身があまりしゃべるタイプじゃないんだろうな……それにしても、俺達人間が知らなかっただけでうちの蔵の中は結構混沌(カオス)な状態だったんだな。


「よし、じゃあそれを確認するためにもどんどんいこう」


 水魔石を錬成して90。


 風魔石を錬成して95。


 土魔石を錬成して99、惜しい!あと1足りなかった。


 思ったより今回は錬成値の上りが悪かったな……Gランクの属性魔石だと大体4~7くらいの間で上がるんだよな、まぁ7はたまにだけど。


 結局今回作って貰った属性魔石を全部使うことになったけど、最後に闇魔石を錬成。


 雪に闇魔石を錬成して雪の光が収まるのを待つ。……光が収まり全員が静かに雪を見守る中、静かに宣言する。


『武具鑑定』



『雪(加州清光) ランク:C++

 錬成値  5

 吸精値  0

 技能:共感

    意思疎通

    気配察知

    殺気放出

    柔術

    刀術

    属性刀(火・風・闇)

    敏捷補正+

    突補正++』


「あがった!……でもBランクじゃなくてC++だ。成長タイプ的なのがあったら晩成型とかなのかも……でも意思疎通は覚えてくれたし、気配察知の能力も塔での戦闘を重ねたおかげかちょっと上がってる。なによりこのスキル」


 属性刀!これはかなり熱い!燃える刀とかになるのか属性を帯びるだけで見た目は変わらないのかは使ってみないと分からないけど火炎斬とか魔法剣とかやってみたい。


 それに今後、物理攻撃が効きにくい魔物とか出るかもしれないし、うちのパーティには魔法特化がまだいないから魔法系の能力持ちは有難い。


 葵が特化といえば特化だけど、葵のは魔力操作であって魔法じゃない。イメージとしては有線だから遠距離攻撃とかには向かないのが難点だ。


 あ、でも蛍の対魔法切断用属性刀『草薙(くさなぎ)』も光の属性刀だし、葵の魔力操作でも武器に属性付の魔力を纏わせることは出来るか……2人のは刀本体に属性の魔力を纏わせるけど、雪のは刀自体が属性を持つって感じだろうか?


 それぞれにどんな違いがあるのかは今度試してみる必要はあるか。ま、それはおいおいでも構わない。それよりも今は……


「雪?聞こえてる?」


 右手の雪の刀身を見ながら話しかける。


『…………』


 う~ん、なんとなくそこにいる(・・・・・)っていうのは分かる。だけど返事がないのはなんでだろう。俺のことあんまり好きじゃないのか?それだとちょっと悲しいけど無視されるのも仕方ないけど……あ、もしかして


「雪?……もしかして、雪って名前が気に入らなかった?違う名前考えようか?」


『……………………いい。…………………雪……でいい』


「雪!良かった。名前が気に入らなかったのかと思ったよ。それに、やっと声が聞けた」


 意思疎通は厳密には音のやり取りじゃないから声というのとはちょっと違うけど初めてちゃんとやり取りが出来たことが凄く嬉しい。


「雪、雪はあんまり話すのとかは得意じゃない?」


『……私は刀。戦うのが仕事』


「そっか……俺とも話すのは嫌かな?」


『……嫌ではない』


 無口というよりも戦いに対して禁欲的(ストイック)なのかな?この辺は武装集団だった新撰組の空気感を受け継いでいるのかもしれない。


「良かった。あんまり反応が無かったから嫌われてるのかと思ってたから安心したよ」


『……ソウジロに使われるなら別に構わない』


 うん、嫌われてはいないみたいだ。でも好かれてるという自信も持てないな……今までの刀娘達の好感度が良すぎたっていうのもあるから嫌われてないだけでも今は充分か。


「ありがとう、雪。で、雪に1つ質問なんだけどいい?」


『……?』


「擬人化して自分で戦ってみたいとか思ったことない?」


『………………ある』


 ある、か。やっぱり思い通りに戦ってみたいという欲求は強いか。それは雪みたいに天才と呼ばれた沖田総司に使われていた刀でも感じる想い。それだけ刀を使っていた人間たちが刀の想いに応えられていなかった……ということなんだろうな。


 これでも俺は日々の素振り以外は基本的に、蛍から指導を受けているから刀達にとって理想的な戦い方に近いとは思う。だから雪も俺になら使われてもいいと言ってくれてるんだろう。


「分かった。桜、調査はあと何日かかる?」


「う~ん、多分レイトーク以外の調査は霞と陽もいるし、あと2日もあれば終わるかな。でも本命のレイトークは桜が1人でやった方がいいと思うし早くても2日……場合によっては3日欲しいかな」


 最大5日か……っていうか確証取ってからと思って調査してるけど、明日行ったらレイトーク落ちてましたとかないよな?先に領主に打診だけでもしておいたほうがいいか?


 一応可能性だけ示唆しておけば5日かそこらで落とされるようなこともないだろう。その上で5日で出来る限り高品質な魔石を集めて錬成してもう1つランクアップいけるかどうかは微妙な気もするけど……俺と葵の魔力さえもてば魔石の方は何とかなりそうな気がする。


 魔力を回復するアイテムもあることにはあるんだけど傷を治す薬と比べて効果はお粗末なものなので値段の割にあんまり役にたたないから魔法使い系の人達はいくつか持って歩くらしいけど魔力が枯渇しないように立ち回るのが大前提らしいしね。


「雪、話がちゃんと伝わってるかどうか分からないけど」


『わかっている。悪は即、斬る』


 おお!反応が早い。しかも既に気合も充分か。


「出来れば雪にも擬人化を覚えて貰って戦いを手伝って貰いたいと思ってるんだ。手伝ってくれる?」


『……戦いは望むところだ』


 よし、じゃあ明日からまた頑張って塔で魔石を集めるとしよう。ひとまず最低目標ラインはFランク魔石20個だ。

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