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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第5章

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ギルドの変化

 翌早朝から桜と霞、陽は調査のために屋敷を出発した。


 俺もちょっと早起きして、霞と陽が無理をしていないか確認するのも兼ねて見送りに出た。俺の見た限り2人は多少の緊張はあるものの、むしろやる気に満ちていたようなので安心して2人を送り出した。


 ちなみに2人が選んだ狼は四狼と九狼だ。霞が九狼とコンビになり、陽が四狼とコンビを組んだ。

 これには、予想通りというかなんというかやっぱり一悶着あって、2人が相手を選びに狼ハウスに行って事情を説明したところ、一狼以外全ての狼たちが2人の相棒に立候補してしまったのである。


 その後、一狼の指示で霞、陽と一対一で面接なんてものもしたらしいが狼たちのアピールがどんどんエスカレートして収拾がつかなくなってきたので、2人を心配して同行していた葵と一狼の一声で『女は女同士』ということになったらしい。


 その結果、霞が九狼と、陽が四狼とコンビを組むことになったのだが、この一件で2人の心に僅かに残っていた狼に対する恐怖心は完全に払拭されたらしく全狼と仲良くなってくれたのは嬉しい誤算だった。


 2人は今回選んであげられなかった狼たちにお詫びとして丁寧なブラッシングをしてあげて、狼たちの方も2人のことを完全に受け入れてくれたみたいだ。


 さらに、これを機に四狼と九狼は霞と陽の専属の護衛兼相棒として配置、連携を深めるために屋敷の警護のローテーションからも外してなるべく2人と寝食を共にすることにさせた。


 当然、昨晩も2人の私室にそれぞれ寝床を用意して狼達もそこで寝たのだが、一晩明けるとそれぞれのペアの距離は狼たちをしーちゃん、くーちゃんと呼ぶ程にぐっと近づいていた。


 そうなると、俺もなるべく一狼と一緒に過ごす時間を取って上げた方がいいのかもしれないと思って同じように見送りに来ていた一狼にさりげなく聞いてみたんだけど……


『気にすることはありません我が主』


 とか言ってた割に尻尾がぶんぶん振っていたから、明らかに期待度はMAXだった。まあ夜は俺のご褒美タイムなのでなかなか難しいけど、日中の空き時間はなるべく一緒にいてあげることにしてあげたい。


 さしあたっては今日からの塔探索にも連れて行くことにして、それを伝えたらもの凄く喜んでいた。ふふふ……愛い奴め。



 葵には手持ちの魔石の中で、生活用の魔石に加工してもらう為にキープしていたHランクを除くGランクの魔石に属性付与をお願いしておいた。属性は何を与えていたかによってランクアップ時に多様性が出そうな気がするのでなるべく全て違う属性を付与してもらえるようにお願いした。


 今回渡した数としては5つ程だが、葵の負担を考えれば最初はそのくらいでいいだろう。後は効率を考えてなるべくランクの高い魔石を回収してきた方がいい。その方が葵の付与の回数も減るし、俺の添加錬成の回数も減る。

 

 一番最初に添加錬成を使った時に比べれば俺の魔力総量も大分上がっているみたいだから回数はこなせるようになってきているけど、あんまり魔力を使いすぎると魔精変換が使えなくなって夜の錬成が出来なくなってしまうのはとても困る。


 錬成の話になったので、久しぶりに刀娘達を鑑定してみた。そうしたらなんと蛍の吸精値が100を超えていた。


 今までは錬成値も吸精値も100でランクが1つ上がっていたのに、今回ランクは上がらなかった。こうなってくると次にランクが上がるにはどこまで吸精値を溜めればいいのかちょっと予測がつかない。200とか300かも知れないし1000とか9999とかまで可能性はあり得る。


 あり得るけど、既にS++というとんでもないランクになっているんだからそう簡単にはいかないのは仕方無いことかもしれない。


『蛍(蛍丸) ランク:S++

 錬成値(最大)

 吸精値 128

 技能:共感

    意思疎通

    擬人化

    気配察知+

    殺気感知+

    刀術+

    身体強化+

    攻撃補正+

    武具修復

    光魔法+』


 ついでに桜と葵の鑑定結果は



『桜  ランク:B+

 錬成値 33

 吸精値 49

 技能:共感

    意思疎通

    擬人化

    気配察知

    隠形+

    敏捷補正+

    命中補正

    魔力補正

    火魔法+』


『葵(日光助真) ランク:B+

 錬成値  0

 吸精値 61

 技能: 共感

     意思疎通

     擬人化

     威圧

     高飛車

     魔力操作+

     適性(闇・火・水・土・風・光)

      派生(雷・氷)

 特殊技能:唯我独尊』



 こんな感じ。最近は精気錬成メインだったから錬成値の方は全く上がってない。吸精値は上がってるけどここのところは、葵はアイテムボックス関連で、桜は調査活動で忙しかったから錬成の機会が少なかったため伸びは今一つ。なにげに家にいることの多かった蛍の方が伸びがいいくらいだった。


 っと、話が逸れた。今回のメインとなる雪の鑑定結果がこれ。


『雪(加州清光) ランク:C+

 錬成値 81

 吸精値  0

 技能:共感

    気配察知(微)

    殺気放出

    柔術

    刀術

    敏捷補正+

    突補正++』 


 葵にちょいちょい属性魔石を作ってもらって錬成してたから錬成値は81まで上がっている。Gランクの属性魔石を5つ錬成すれば多分だけど次のランクに上がると思う。


 刀によってランクの上がり方がまちまちで次のランクがC++なのかBなのかは上がってみないと分からないが、うまくBランクに上がれば今までの経験上、意思疎通までは覚えてくれるはず。


 そこから先、擬人化まで挑戦するかは葵の負担もあるし俺たちがどこまで質のいい魔石をとってこれるかにかかっている。


 高ランクの魔石はサイズが大きくなる分、葵や俺の負担も増える。でもその負担感はGランク1個を処理するのとHランク2個を処理するのとあまり変わらない。でも添加錬成した時の錬成値上昇値はHランク2つよりもGランク1つの方が大きいから結果的にはなるべく高ランクの魔石を使う方が効率がいい。


 Gランクより上のものはきちんと検証出来てないから、この比率が全部のランクに当てはまるかどうかは分からない。さらに、天然の属性魔石と付与した属性魔石の違いがどうなのかとかも考えたらきりがないし。


 でも漠然とした感覚的なものだけど刀娘達のためにはなるべく質の良い魔石を使った方がいいと感じている。


 だから今回は、俺達塔探索組が取ってきた魔石を厳選する。獲れた魔石の中でも質の高いものだけを葵に属性付与してもらって添加錬成をしていく予定だ。


 その為に、今まではあんまり塔の上層に行くつもりはなかったけど、今回は無理のない範囲でいけるところまで行く。


 幸いアイテムボックスが完成したおかげで、探索に必要になる水、食料、薬などの必需品とかの持ち込みに制限がなくなって、重い荷物を背負って運ぶようなこともなくなったしね。


 まあ、蛍が自分のアイテムボックスに入れている大量のお酒は正直どうなんだと思わなくもないが……塔の中では絶対に飲ませないように気を付けておこう。俺が上の階層を目指すことに喜んでやる気だったから大丈夫だとは思うけどね。



― ― ― ― ― ― ― ― ― ―



「じゃあ、葵。留守番みたいで申し訳ないけど作業の方よろしく頼む。無理はしないくていいから」


「わかりましたわ。主殿と一緒に行けないのは寂しいですが、わたくしにしか出来ないことですものね」


 朝食を摂って、装備に身を包んだ俺達を葵が見送りに来てくれた。属性付与は魔力の負担が大きいから探索に連れて行けないということをちゃんと理解してくれているみたいだから、拗ねて見えるのは甘え……なのかな?


「ありがとう、葵。帰ってきたら一緒にお風呂入ろうな」


「え?2人きりでですの!?」


 ぐびり、と前に出てくる葵に苦笑しつつ俺は頷く。1人での留守番はつまらないだろうからね。


「うん、分かった。今日は葵に背中を流して貰おうかな」


「はいですわ!」


 機嫌が直った葵に見送られ、俺達はひとまず冒険者ギルドへと向かう。


 正直言うと、最近はあんまり顔を出していなかった。正確には性戦士との戦い以降は……かな。


 性戦士はどうでもよかったんだけど、ステイシアが処刑されることにはちょっと考えることがあったから、なんとなく避けていた部分はある。だから性戦士の処刑についても無事行われたという話を聞いただけだ。



「ほう……なんとなくギルド内に秩序めいたものが生まれているような気がするな」


 ギルドに入った後の蛍の第一声である。


「はい、嫌な雰囲気ではないですが、なんと言えばいいでしょうか……前ほど浮足立った感じが無くなりました」


「ふぅん、そうなんだ。俺はあんまりよく分からないけど……確かに言われてみれば落ち着いた感じはあるかも」


 別に前に来た時と比べて静かになったとかじゃない。今だって多くの冒険者達がガヤガヤと話したり、ガチャガチャと装備を鳴らしたりして動き回っている。


「おそらく、ギルドに対する考え方に変化があったんだろうな」


「はい、先日の性戦士の一件が大きいと思います。あれでギルドは自分達にはあの性戦士を倒すだけの武力があることと、場合によってはああいった人達を粛正することもあるということを示しました。それが冒険者達に良い方向に認知され、冒険者達がギルドに一目置くようになったのかもしれません」


「それは、信頼されてきたってこと?」


 システィナがどこか儚い微笑みを浮かべて頷く。


 もしこの世界の冒険者ギルドも俺がラノベとかで読んできた冒険者ギルドのようになっていくなら、これからこの冒険者ギルドも各都市を繋ぐ組織として世界の中でどんどん大きくなっていく可能性がある。


 形はどうあれ、そんな組織の礎にステイシアがなったこと、その死が無駄にならなかったことがほんの少しだけ嬉しいのかもしれない。


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