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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第5章

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忘れかけていたアレ

 霞と陽が来てから1週間が過ぎた。……と言ってもこの世界では1週間の概念がないから7日間が経ったと言った方がいいかも知れないけど。


 この7日間は慌ただしくも平穏に過ぎた。


 俺は大体、午前中は訓練。午後からは蛍、葵、一狼~九狼の中からその日に動けるメンバーを連れてディランさんの所からの採取依頼で塔を巡っていた。塔で壁材を採取して工房に寄って、アイテムボックスの使用感を伝えたり新しいアイディアを伝えたりするのが日課になっていた。


 葵は後半からまたディランさんから請われて相談役として工房に通うことが多かったから、塔探索のメンバー的には俺、蛍、一狼の構成が多かったかな。塔の攻略を目指している訳では無いので、実戦の勘を鈍らせないためと塔の壁材採取でいくだけだから選択式の塔もそんなに上まで登らない。蛍は物足りなそうだったけどね。


 桜はシスティナの依頼で、この7日間は一番不規則な生活をしていた。一晩帰って来ないこともあれば、1日屋敷にいることもあった。システィナに頼まれて調べているのは、ルミナルタの宗教団体の1つ『聖塔教』の詳細情報だった。メインで知りたいのはあの時、塔のロビーで演説をしていた人物の情報らしい。ただ、桜曰くただの宗教団体にしては不自然な程にガードが固いらしい。


 なもんだから桜もちょっとムキになって調査をしているみたいで、変に深入りしたりして問題を起こさないか心配だけど諜報活動に関しては門外漢だからなんとも言えないのが歯がゆいところだ。


 システィナは新しく来た霞と陽に屋敷の仕事を急ピッチで教え込んでいる。もともと基礎は出来ているので覚えることはそう多い訳じゃないみたいで、教えているのは温泉関係の管理についてと庭で栽培している菜園の手入れについて、後は桜が仕掛けている罠の避け方だ。普通に考えて当たり前なんだが、どうにもこれが一番厄介みたいで2人は一番苦労していた。


 ただこの7日間でその辺りもしっかり覚えてくれたようで、システィナの負担は格段に減ったみたいなのでそれについては本当に良かった。霞と陽には感謝しきりだ。


 で、最後は霞と陽。


 初日に女性陣で買い物に行った2人は最初は次から次へと自分たちの物を購入していくシスティナ達に呆然としていたようだが、買い物が終盤になる頃には楽しんで買い物をしていたらしいのでいい気分転換になったんじゃないかと思う。あと、この日に一応2人共冒険者登録もしてきたらしい。もちろん新撰組所属だ。


 システィナにはアイテムボックスを預けておいたので、買い込んだ大量の衣服やベッドやタンスなどを配達依頼をせずに一気に買い揃えて来た。


 一応、目につかないところで収納するようにしたらしいがベッドやタンスが目につかないところなんてどこにあったんだ?と思ったら袋小路に持って行って、葵の土魔法で壁を作ってから収納したらしい。随分な力技だ。


 それを霞と陽それぞれに1部屋ずつ1階の空き部屋をあてがって搬入した。2人は個室を貰えることに物凄く恐縮していたけど、2人共ケモミミがかなり動き回っていたので内心では嬉しくてワクワクしていたのは間違いない。


 それと……2人が屋敷に馴染んできた頃を見計らって俺達が今までどういうことをしてきたかを2人に話した。もちろんまだ刀娘のこととか、俺が異世界の地球から来たこととかは言えなかったけど、桜の仕事を手伝うかどうかを問うにあたって、俺達がどういう時に、どう考えて、どう動くかを知っておいて貰いたかったからだ。


 2人は俺の話を、凄く真面目に聞いてくれた。


 システィナを格好良く助けた(ちょっと盛った。システィナは笑っていた)時のシーンではちょっと頬を染め、ドラゴマンティスに蛍が傷を負わされた時には顔を青くし、コロニ村の話では怒りに震え、蛍と桜が罠に嵌り離れ離れになってしまった時にはその時の俺の心情を察して目に涙を浮かべていた。そして、赤い流星との最終決戦の場面ではピンチに次ぐピンチの連続な話に手を握りしめ、息を呑んで聞き入っていた。


 それからこの前の性戦士との戦い。ここまでの話の中で桜がどういう働きをしてきたかを隠さず話した。情報収集の話はもちろんバルトの暗殺に至るまで全部だ。その上で……




「その上で聞くね。もちろん今すぐじゃなくて構わないけど、落ち着いたら桜の仕事も手伝って貰えると助かる」


「……わかりました、旦那様。霞は桜様のお仕事を手伝わせてもらいます」


「うん!陽もいいよ。桜姉様1人じゃ大変そうだもん。手伝うよ」


「あ……うん。ありがとう、でも……いいの?」


「はい、確かに望んで手に入れた力ではありませんけど、既に力は得てしまったのですから後は使い方次第だと思います」


「固いなぁ霞ちゃんは。いいじゃない、私達も新しい家族の為にたくさん役に立ちたいって素直に言えば」


「ちょ!ちょっと陽ちゃん!それを言ったら身も蓋も……」


「そっか……ありがとう。霞、陽」



 そんなやり取りがあって、2人は桜が屋敷にいる時に桜の指導も受けることになった。その話がおとといの話だからまだ実際には訓練はさわりだけみたいだけど2年近くその手の訓練を受けていただけあってやっぱり筋はいいみたいだ。

 

 その時に改めて見せてもらった『窓』の内容が


霞   業 -4

年齢:15  

種族:孤尾族 

職 :侍女

技能:家事  料理  隠形  夜目  幻術  針術



陽   業 -6

年齢:15  

種族:爪虎族 

職 :侍女

技能:家事  料理  隠形  夜目  敏捷補正  短剣術



 これを見る限り、スキル的には本当に侍女としてもくノ一候補としても優秀だと思う。ただ俺の読解の能力下においても職は侍女のままだった。これは彼女たちの本質に近い適応職が侍女だということだと思う。だからいくら協力してもらうとしてもそのことは絶対に忘れてはいけないということを桜にはちゃんと伝えておいた。





「あぁ、今日も疲れた……毎日やってるのに全く楽にならないのはなんでなのかな」


 霞と陽が来てから8日目。今日も日課の午前中の訓練を終えて、システィナと風呂に向かいながら愚痴をこぼす。なんだかこの愚痴も日課になりつつある気がする。


「あの……ご主人様はこのところ何度か似たようなことを仰ってますが気づいてないんですか?」


「え、何が?」


「いえ……毎日少しずつ重結の腕輪に込められる魔力が増えてますから重量は増してますし、訓練の量も質も毎日ほんの少しずつ増えているので身体が慣れることはないと思います」


 ……マジか……いや、うん。実はなんとなく気が付いてはいた。だけど、ちょっと認めたくなかっただけで。まあ、訓練は必要なことだし訓練内容は蛍に任せると言った手前、文句を付けるのも筋違いだし仕方がないと言えば仕方がない。


「はあ……しょうがないか」


 達観した溜息を吐く俺を見て、システィナは可愛らしく微笑んでいる。諦めのいい俺が微笑ましいのだろうか。


「あ、システィナ、今日はひと風呂浴びたらディランさんの所に行くから」


「はい、今日は塔の方には?」


「今日はお休みかな。依頼されてた分の壁材はもう渡してあるし、依頼していた装備とかがいくつか完成しているみたいだからそれの受取がメインかな」

 

 リュスティラさんから今日、頼まれていたいくつかの装備が完成すると連絡を貰っている。しばらくアイテムボックスの製作で装備の方の製作は進んでいなかったこともあり、ここ最近は俺達の装備関係を重点的に作業をしてくれたらしい。ありがたいことだ。


「わかりました。じゃあ、装備の方は武器だけでいいですね」


「そうだね。あ、でも獅子哮だけは念のため装備していこうかな」


 シシオウと交換した獅子哮はその高い防御力に加えて、離れた場所に攻撃出来るという優れた性能なので身に付けていると安心感が違う。フレスベルクとの往復だけなら残りの装備はアイテムボックスに入れておけば充分だろう。


「では、私はお着替え等を準備してからいきますね」


「うん、いつもありがとう。今日は室内風呂の方にいる予定だから」


「はい」


 システィナと別れて風呂に向かい、汗に濡れた服を脱いで室内風呂で汗を流してくつろいでいるとシスティナが入ってきてやさしく髪を洗ってくれる。そのあとお返しにシスティナを洗い倒しているうちに盛り上がってきてまた汗をかく。


 この辺は大体いつもの流れ。この時はシスティナが来てくれることが多いけど日によっては刀娘達も一緒に汗を流す、二つの意味で。


 ちなみに霞と陽についてはそっち方面について、強要するつもりは全くない。2人の嫌がることはしないとエリオさんと約束しているし、家族として侍女として斥侯として働いてくれればそれで充分だ。


 ただ、2人を気にして俺達がいろいろ自粛しちゃうのは、なんかちょっと俺が嫌なので基本いつも通りにする(・・)ことにしている。


 場合によっては、そういう場面に出くわしたり声が聞こえたりする時があるかもしれないがそれはそういうものだと納得してもらうことにする。もちろんちょっと恥ずかしくはあるけど、後でばれるよりは最初から堂々としていた方がいいかな……と。


 今のところ逆に開き直っているのがいいのか、2人に決定的な場面を見られたとかってことはない……と思う。まあ、2人とも15歳だしこの世界で一般的に成人と言われるような年代には達しているから知識もあるだろうし察してはいるとは思う。


 一応説明しておくと、この世界での成人については世界共通の決まりはないみたいで、種族や地域などで決まっているところもあるらしいけど大体13~15くらいで成人と周りは認識するとのこと。だから15になれば成人であることはほぼ間違いないらしい。




 

「あ……システィナ。これって」


「ふふ、はい。たまには着てあげないと服も傷みますから」


 ことを終えて、ゆったり温泉に入ってからすっきりさっぱりして脱衣所に戻るとそこに用意されていたのは俺がこの世界に来た時に着ていた短ランとボンタン……つまり学生服だった。


「確かに、こっちの世界の服を買ってからは全然着てなかったなぁ。こっちの世界の人って意外と服装に一貫性がないから蛍や葵が着物を着てても、桜が忍び装束着ててもあんまり目立たないんだよね」


「そうですね。いろんな種族の方がいるので、その方達の体型や特徴に合わせた変わった服がたくさんありますから地球の服装をしていてもあんまり悪目立ちすることはないと思います」


 確かにミカレアの街でもレイトークでも奇異の目で見られることは無かった。それなら、たまには神様に貰ったこの服も着てやらないと可哀想かもな。


「うん、たまにはいいかもね。でももしかして突然これを持って来たのって……この前、霞と陽に俺達が出会ったころの話とかをしたから?」


 久しぶりの学生服の袖に手を通しながらシスティナを窺うと、図星だったらしくちょっと頬を赤らめたシスティナが頷く。


 ……なにこの可愛い生き物。危うくもう一回戦突入しそうになったよ。リュスティラさん達との約束があるからなんとか我慢したけどね。

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