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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第4.5章

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記念SS 侍祭様の日常

「う~今日も疲れた……システィナ、いつも通りお風呂行くから着替えを頼んでいいかな」


 いつもの午前中の鍛錬を終えたご主人様がちょっと湯気が出ている身体でお屋敷に戻ってきました。今日も蛍さんの指導は厳しかったみたいです。


 訓練の内容は日々少しずつ厳しくなっているので、ご主人様は毎日同じだけ疲れて帰ってくるような気がします。そのあたりの匙加減はさすがは蛍さんだと思います。


「お疲れさまでした。着替えはいつもの所に準備してあります。脱いだものは隅の籠にお願いしますね。ご主人様」


「いつもありがとう。システィナ」


 私がしたことに対していつも笑いながらお礼を言ってくれるご主人様に私はつい幸せな気分になってしまいます。


 侍祭とは契約者のためにあるべし。


 私の職である侍祭は、契約者を選ぶまでは主塔を管理する領主ですらその意思を強制できない程の自由な裁量を持たされていますが、一度ひとたび契約を結んでしまえば契約者の為だけにその全ての力を使わなくてはなりません。


 その為、契約者の方達は私達を使うことを当然のように思うようになり感謝の言葉などを掛けてくれることはあまりないかもしれないと教わりました。しかし、侍祭たるものそれが当然であるとも。


 私も侍祭としてそれが当たり前だと思っていたのですが……ご主人様は出会った当初から私のことを本当に大事にしてくださいます。


 侍祭としては申し訳ない気持ちでいっぱいになるのですが……事あるごとにご主人様は『侍祭であっても俺達が対等でいちゃいけない理由はないよ』そんなことを言ってくれます。


 今ではご主人様以外の方と契約を結ぶなんて考えられません。これは私に甘いご主人様の下で私が楽をしたいとかそういう訳ではありません。


 私がご主人様とずっと一緒にいたいと心から思うようになってしまったからです。


 その理由はとても簡単です。ご主人様は仮に私が侍祭としての力を失ってしまったとしても……それでも私と一緒にいたいと言ってくれるような人だと思うからです。ご主人様は侍祭システィナではなくただのシスティナを見て下さっています。



 あ、そんなことを考えていたらちょっと顔が熱くなってきてしまいました。


 今日は入浴に桜さんと葵さんがご一緒しているみたいですから……ちょっと残念ですけど今回はお二人にお任せしましょう。その間に私はご主人様が戻られる前に昼食の準備をしようと思います。お二人がご一緒なら出られるまでには少し時間がかかるでしょうから。


 あ、でもその前に蛍さんがそろそろご自身の鍛錬を終えてお戻りになりますのでリビングにお酒の準備ですね。


 そのあとは昼食の下ごしらえを済ませて、花壇に水を上げて、それから一狼達の食事の準備をしなくてはいけません。そういえば食料の在庫もそろそろですか……ベイス商会の御用聞きが午後に来ますから配達をお願いしておきましょう。それからお屋敷のお掃除をして……お布団も干したいですね。


 あとはいつも通り、作業と並行して『叡智の書庫』を常時発動です。今日は大〇林の「た行」の「て」からですね。スキルランクがあがって叡智の書庫になった私のユニークスキルは叡智の書だった時とは使いやすさが格段にあがりました。


 これはご主人様に視野を広げて頂いたおかげです。あの日一緒に見た星空と感動は今でも忘れません。私の中で一番大事な景色になっています。


 最近ではご主人様と蛍さん達との会話の意味が分かるようになるために、ご主人様に教えて頂いた地球にある「じてん」というものを最初から確認しています。本そのものを読める訳ではないですが、じてんというのは地球の日本では私の叡智の書庫を本にしたような物ということで、広く世に常識として認識されているので『地球、日本の大辞〇に書かれていること』でスキルを発動すると最初のページから内容が頭に浮かんできます。


 それを頭の中で確認しながら作業をしていきます。それにしても「にほんご」というのは本当にとてもたくさんの言葉があります。叡智の書があるせいでこの世界の知識をほぼ知り尽くしてしまって知識に飢えていた私にはまさに宝の山です。


 しかもその言葉を覚えれば覚えるほど、ご主人様との間の距離が縮まっていくんですから楽しくて仕方がありません。


「お~い、システィナ~」


 お庭の花壇にお水を上げていたら、露天風呂の衝立の向こうからご主人様が呼ぶ声が聞こえました。桜さんの気配察知でしょうか。


「は~い、なんでしょうかご主人様」


「最近働き過ぎなんだから、少しゆっくりしなよ。一緒に入ろう!」


 ……もう! ご主人様ったら……私は侍祭としてお屋敷の中のことをしっかりとしなくちゃならないのに。……仕方のない人ですね。


 あれ? ……持っていた如雨露がないですね……あぁ、いつの間にか後方にある花壇の中に放り出していました。私としたことが……ちゃんと後で片付けておかないと駄目ですね。みなさんに笑われてしまいます。


「システィナ~!」


「は~い! すぐに行きます、ご主人様!」



 ご主人様のもとへうきうきとした気持ちで私は走ります…………私は今日も幸せです。

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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ 小説1巻~3巻 モーニングスターブックスより発売中 コミックガンマ+ にてコミカライズ版も公開中
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