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飛竜を投げて恋されて  作者: 黒森 冬炎
飛竜と共に
67/70

67•連携

 ずば抜けた剣技や身体能力を持たない同士が、道具を駆使して鮮やかな空中戦を行う。アンバーとエシーの本領発揮である。


「エシー!回りこめ」

「合点姉貴!」


 飛竜を避け、しつこく襲ってくる飛行種の間を飛び回る2人のストロングロッド騎士。細長い板に一見生身で乗る青年が、時折直角以上にまで身を傾けて、ラスカルジャークを切り裂いてゆく。


 浮遊板(フロート)の縁は移動中に鋭く削って(エッジ)を立てておいたのだ。エシーは回転しながら対ラスカルジャークの薬剤が入ったカプセルも投げる。


「いいねえ」


 アンバーは円盤(フライトモビル)をジグザグに操って、直線的な攻撃を試みた。2人がうまく追い込んで、少し低いところにいる飛竜の群れへとラスカルジャークを送る。


「回るよ」

「了解」


 上から追い込んだあとで、群れの側面に回り込み、旋回しつつ対ラスカルジャークの薬品や矢などを撃ち込む。


 2人の乗り物は魔法起動式ではあるが、一度起動すると停止するまでは操縦者と機体のみで魔力循環が起こる。その分の魔力が外に吸い出されることはない。外に放った分は回収できないが、薬剤や単純な矢などで攻撃するので余裕の行動を取れる。


 地上と上空の間では、逃れてきたラスカルジャークを飛竜が待ち構えている。



「スー、風いける?」

「余裕っす!」


 騎乗した飛竜である程度毒霧の壁を吹き飛ばした上空の2人は、仲良く並んで立ち上がる。スーザンが暴風眼鏡を下ろす。フィリップ班長のマントがバサバサと風を孕んではためく。


 2人は無言で視線を交わす。真剣そのものである。視線が正面に戻ると、瞬時もずれを起こさず2つの突風が放たれる。温存しておいた魔力を一気に解き放ったのだ。


 飛竜は首を伸ばして旋回し、翼で霧を分けてゆく。2人は無言で風を放ち続ける。飛竜の尻尾は勢いよく毒霧を払う。畳んでいた脚を泳ぐように伸縮して空中を掻く。



「降りるか」

「うす!」


 飛竜の2人はリチャードの元へと降りてゆく。アンバーとエシーも飛行種の殲滅をあらかた終えてゆったりと空中を漂っている。


「アンバーとエシーは待機、殿下、スーザン、力貸してくれたまえ」


 魔力の流出が止まり、リチャードから魔法通信が入る。通信の魔法(トーキー)は使えない人も多いので、通信装置を通して行う。フィリップとスーザンは飛竜からさまざまな魔法を放ちながら元レイニーフィールド邸へと降りてゆく。


 レイニーフィールドの家財道具と住人を覆う魔法の壁は、どんな魔法も吸収してしまう。


「だめか」

「むしろ強化されてるねえ」

「投げてぶつけますか?」

「うん。あと殴ろう」


 2人は一旦上下に離れ、飛竜に組みつく。フィリップ班長は縦回転しながら降りてゆき、加速したまま飛竜から手を離す。スーザンは高い位置から横回りで螺旋を描き、こちらも充分に勢いをつけたところで飛竜を縦に抱え直す。そして振り子の動きを加えて地上を覆う防壁へと叩き込む。


 その時、リチャードが飛竜の尻尾で叩いた場所に亀裂が入る。空身で飛び降りてきたスーザンとフィリップ班長は、ここぞとばかりに防壁を殴りつけた。


お読みいただきありがとうございます

続きもよろしくお願いします

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