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神無木が呼びに来た。ドアスコープから確認すると、いつにも増して隈が酷くなった顔が飛びこんでくる。両親が殺され、自分が集めたメンバーが次々と死んで行く状況に、神経をすり減らしているんだろう。
神無木は今を生きて行くには優し過ぎる。純粋で穢れがなくて、見ていると自分の汚れが浮き彫りになるようで正直、不快だ。それなのに放っておけないのは、あいつが生きることに少しも投げやりじゃなかったからだろう。自分で死のうとしたくせに、まだ世界に懸命にしがみ付こうとしていた。
投げやりな生き方しか出来なかった俺とは正反対だ。
どうにかして犯人を暴いてやりたいが、いかんせん情報が少なすぎる。気になる点はいくつもあるものの、まだ一本の線に繋がらない。
神無木が犯人だとは微塵も思っていないが、帰って行ったのを確認してから隣の部屋へ向かう。ノックをすると「はい」と静かな声が聞こえ、ノックの音が返ってきた。俺はそのまま部屋に戻り、再び埒の明かない推理に戻る。
犯人の目的は一体なんだ?




