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結局一睡も出来ないまま、私は朝までベッドの上で寝返りを繰り返していた。暇にかまけて事件のことを考えれば考えるほど、どんどん深みにはまって、最終的には佐村さんも怪しいかも? となったので慌てて思考を中断した。正直、このメンバーの中で信用が置ける人は佐村さん以外にいないと思う。
……そうじゃない。佐村さんだけは犯人であってほしくないと思ってるんだ、私は。ぶっきらぼうで一見冷たいけど、本当は心があって何度も助けてくれた佐村さんを信頼している。この信頼をなくしたくないと思った。
部屋がひとつ分離れているので当然だけど、門野さんが部屋に入る音ははっきりとは聞こえなかった。
頃合いを見計らって私は慎重に佐村さんの部屋をノックしに行く。佐村さんの部屋からはすぐにノックの音が返ってきた。佐村さんも眠れなかった口なのかもしれない。もっとも彼の場合は私と違って、立派な推理を組み立てていたのだろうけど。
私は少しだけ名残惜しい気持ちを引きずりながら七の間の前を離れ、自分の部屋へと戻った。




