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スマホのアラーム機能が午前七時を告げた。三原に声を掛けに行く時間だ。準備のために仮眠もとったし、体調も万端だ。大丈夫。抜かりはない。すべては計画通りに進んでいるはずだ。俺は部屋を出て、三原の部屋をノックした。中からノックの音が返って来たのを確認し、自分の部屋に戻る。
三原は嫌な男だ。麻恵は俺の女なのに、隙さえあれば下心満載の目で見やがって。ああいう下品な男は麻恵の好みじゃないんだよ。俺みたいな、清潔でスマートな男が麻恵の好みなんだ。
麻恵に付けられた首筋の赤い痣を指でなぞる。続いて指先に、麻恵からのプレゼントが触れた。
……正直なところ、これを着けてくることには抵抗があった。俺はまだ三十四歳だ。昔よりもデザインが洗練されているとはいえ、これを男への贈り物に選ぶ麻恵のセンスはどうかと思う。いい女だが、価値観が合うかと問われれば答えはノーだった。
便利だし、可愛いところもあるし、俺に従順な内は手元に置いておいてやるさ。
さて、とにかくこれで次の担当までは時間を自由に使えるわけだ。これに俺の人生が掛かっている。絶対にヘマは許されない。なんとしても、目的を達成しなくちゃな。




