将軍蟻の威圧
蟻の巣の奥――空気が一段と重くなる。
通路を抜けた先は、天井の高い広間だった。
壁一面には白濁した卵嚢が積まれ、粘つく匂いが鼻を突く。
その中心に、他とは比べ物にならない巨体が鎮座していた。
「……あれが」
俺は無意識に喉を鳴らした。
全長は人の三倍。黒曜石のように硬質な甲殻。
顎は鎌のように反り返り、一振りで岩を断ちそうな威圧を放っている。
ジェネラルアント――将軍蟻。
「こいつが群れの指揮官か……」
ルークが低く呟き、剣に手を添える。
「ソルジャーアント十数体、護衛についてる」
ディルが素早く数を数える。
「前みたいに斜め突破は通じねぇぞ」
アリアが眉をひそめ、弓を握る手に力を込めた。
「しかもあの顎……一撃でも当たれば即死級ね」
「……やるしかない」
俺は《洞察眼》を発動し、視界に淡い光を重ねた。
⸻
(弱点……どこだ?)
顎は厚く、脚の節も重い。頭と胸の継ぎ目は狭く、攻撃を通す余地が少ない。
だが確かに――胸部の後ろ、腹とのつなぎ目がわずかに薄い。
(ここだ。ただし守りは固い。ソルジャーに囲ませて、近づかせないようにしている)
「トリス?」
ミーナが心配そうに声をかける。
「胸と腹の継ぎ目……そこが弱い。でも、ソルジャーが壁になってる」
「つまり、まず護衛を崩す必要があるってことね」
アリアが頷いた。
「その通りだ。――全員、聞け」
俺は《采配》を展開し、仲間に指示を飛ばす。
「ルークは正面で押しを受けろ。アリアは援護射撃、弱点は脚の関節。ディルは影のように背を狙え。エルムは俺の合図で突きを入れる。ミーナは火は温存、光で通路を作ってくれ」
緊張で全員の肩が硬くなる。だがその呼吸は揃っていた。
⸻
「ギチチチチ――!」
一斉に響く咆哮。
ソルジャーアントが前列を組み、まるで盾兵のように突進してくる。
「来る!」
ルークが前に出て、剣で顎を受け止めた。火花が散り、腕に衝撃が走る。
「ぬうっ……! 重ぇ……!」
「エルム、右の脚!」
「は、はい!」
エルムの槍が関節に突き刺さり、ソルジャーの動きが鈍る。
すかさずアリアの矢がその脚を断ち切った。
「一本目!」
「ナイス!」
「任せろ!」
ディルが影のように背後に回り込み、頸を切り裂く。
一体、二体と倒していくが――。
「まだ十体以上!」
ミーナが光で視界を確保しつつ叫ぶ。
「押し切れない……!」
エルムが必死に槍を振るうが、数に押されて後退しかける。
「エルム、下がれ!」
俺が肩を掴んで引き戻すと、顎が目前をかすめた。
「ひっ……!」
「大丈夫だ、俺が見てる!」
⸻
(列の中心を……潰せ!)
再び《洞察眼》を研ぎ澄ます。
中央に一際動きの少ない個体。顎の開閉角が僅かに違う。――あれが合図役だ。
「中央だ! アリア、二連矢! ディル、背に回れ!」
「了解!」
矢が二本、正確に飛び、中央個体の脚を射抜く。
ディルがその背を裂いた瞬間、列全体が乱れた。
「崩れた! 押せ!」
ルークが吼え、仲間たちが一斉に踏み込む。
次々とソルジャーが倒れ、広間の床に転がる。
だが――。
「ギチ……チチ……」
低く響く音。
広間全体が震えた。
ジェネラルアントが、ついに動き出した。
⸻
「来るぞ……!」
ルークが剣を構えた瞬間、巨大な顎が振り下ろされた。
「ルーク!」
俺が叫ぶより早く、剣が受け止めたが――。
「ぐっ……重っ……!」
地面が抉れ、ルークの足元が沈む。
剣の刃が軋み、火花が散った。
「なんて力……!」
アリアが目を見開く。
「一撃で岩を砕ける……これが将軍か」
ディルが苦々しく吐き捨てた。
「全員、下がれ!」
俺の叫びで、仲間たちは一旦距離を取った。
ジェネラルは動きを止め、威圧だけで場を支配する。
顎の開閉ごとに空気が震え、背筋に冷たい汗が伝った。
(これまでの敵とは次元が違う……!)
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




