十五の誕生日 そして 旅立ち
とんでもないスピードで投稿を続けております。甘い蜜蝋です。みなさんよろしくお願いします。ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。
王都の朝は、まだ肌寒い風が石畳を撫でていた。
高くそびえる城壁の向こうから太陽が昇り、白い塔の尖端を黄金色に染めると、鐘の音が街に広がる。
その音を聞いた瞬間、俺は十五歳になったのだと実感した。
孤児院で空腹を抱えていた日々から六年。
九歳で記憶を取り戻し、仲間と共に剣を振るい、幾度も血を流し、王都を守り、王の前に立った。
そして今日、俺は正式に領地を託される。
窓を開けると、冷たい朝風が頬を撫でていく。
下町からは屋台の呼び声、馬車の車輪の音、パンの香ばしい匂い。
かつて飢えていた自分にこの景色を見せられたらと思うと、胸の奥が熱くなった。
「……よし」
深呼吸をして、意識を集中する。
視界に淡い光が浮かび上がり、青白い板のようなものが現れる。
六年間の努力と戦いが刻まれた、俺だけの力の証。
――――――
【ステータス】
名前:トリス(15歳)
Lv:10
HP:420
MP:3000
STR:65
VIT:58
AGI:75
DEX:90
INT:80
MND:70
LUK:150
【スキルログ】
◆ レジェンド
•《スキル詐奪》 Lv8
◆ レア
•《鑑定》 Lv7
•《洞察眼》 Lv7
•《統率》 Lv6
•《采配》 Lv6
•《剣技》 Lv5
•《体術》 Lv5
•《交渉術》 Lv4
•《魔力感知》 Lv4
•《鍛冶》 Lv4
◆ アンコモン
•《投擲術》 Lv4
•《威風》 Lv4
•《鋭敏聴覚》 Lv4
•《耐毒》 Lv3
•《記憶術》 Lv3
――――――
常識はずれのステータスをみてギルド長に言われたことを思い出す。
「ステータスは、30才までの身体の成長とレベル上昇
両方の影響を受ける。体が育つ前にレベルを上げれば、そのぶん数値は跳ね上がる。だからこそ……九歳でレベルを重ねている君は、常識から外れているんだ」
また、《鍛冶》の文字を見て、思わずニヤけた。
アリアの実家、ガルドの鍛冶工房に通い詰め、何度も槌を振り下ろした日々が浮かぶ。
火花に目を焼かれ、鉄の重みに腕を痺れさせ、それでも繰り返した。
カインやアリアに笑われながらも、時には真剣に教えられながら。
最初はただの遊び半分のように思えた鍛冶も、やがて俺の血肉となった。
《鍛冶》は、俺が確かに努力で得たスキルだった。
詐奪とは違う、自分の手で刻み込んだ証。
「……ここまで来たんだな」
呟くと、胸の奥に熱いものが広がった。
◇
孤児院の前では、子どもたちがまだ眠そうな顔で集まっていた。
院長のエレナが、手を腰に当てながら俺を見上げる。
「とうとう、巣立ちね」
「……まだ巣立ったつもりはありません。きっとまた帰ってきます」
「ええ、顔を見せに帰ってきなさい。それと――」
彼女は少し笑って、背中を軽く叩いた。
「腹を空かせて帰ってきたら、ご飯を用意してあげる。昔みたいにね」
「……ありがとうございます」
言葉に詰まりそうになりながら、深く頭を下げた。
子どもたちが口々に叫ぶ。
「トリス兄ちゃん、がんばれー!」
「領主になっても遊びに来てよ!」
「お土産ー!」
俺は笑って手を振った。
「必ずな。約束する」
◇
「トリス、起きてる?」
扉の向こうからアリアの声がした。
「もう起きてるよ」
答えると扉が開き、腰に剣を下げたアリアが顔を覗かせる。
六年前より凛々しくなったが、笑うと変わらず優しい。
「今日から正式に領主ね。緊張してる?」
「少しだけ。でも、不思議と怖くはない」
「ふふ、そう言うと思った」
彼女は窓辺に並んで外を見下ろす。
街の朝を眺めながら、柔らかく言葉を紡いだ。
「この景色を見てると、全部繋がってるんだなって思う。人も、街も、畑も、森も」
「そうだな。今日から、俺はその全部を預かるんだ」
「だったら、私も一緒に背負う」
真剣な瞳でそう告げられ、俺は自然にうなずいていた。
「ありがとう。お前がいてくれたら、どこまでも行ける」
コンコン。低いノック音が響く。
「おーい、そろそろ出発だぞ! 王宮で待たせたら洒落にならん」
カインの声だった。
鍛冶の天才にして、俺の兄弟弟子。
かつては不器用な熱血肌で、鉄槌を振るえば何度も火傷を負っていた。だがその手は確実に進歩し、今や父ガルドの跡を継ぐにふさわしい技を身につけている。
鍛冶屋での顔は職人気質だが、外に出れば頼れる兄貴分。口は悪いが面倒見がよく、剣より槌の方が似合う男だ。
俺にとっては仲間であり、家族のような存在でもある。
◇
王都の大通りに出ると、活気が身体を包み込んだ。
果物を並べる商人、荷を担ぐ労働者、旅人を乗せる馬車。
「新領主が決まったらしい」と囁く声が耳に入るたび、背筋が自然と伸びる。
「さあ、行こうか」
アリアが微笑み、カインが槌を軽く肩に担いだ。
「行こう、アリア。カイン」
差し込む光の先には王宮、そして新しい領地が待っている。
十五歳になった俺の人生は、今日から本当の意味で始まるのだ。
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




