最初の鉄槌
とんでもないスピードで投稿を続けております。甘い蜜蝋です。みなさんよろしくお願いします。ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。
炉の中で赤く光る鉄を火箸で持ち上げた瞬間、全身を包む熱気に喉がひくりと鳴った。
鉄はまるで呼吸しているように、赤から橙へ、そして黄色へと色を変えていく。
「よし、打ってみろ」
ガルドの低い声が響く。
俺は両手で槌を握りしめ、肩に担ぐ。
――重い。腕が震え、背中にずしりとのしかかる。
「はぁっ!」
気合を込めて振り下ろす。
ガンッ!
火花が散る。だが鉄はびくともせず、槌の角度がずれて床を叩いてしまった。
熱で頬が焼けるように熱く、手のひらはびりびりと痺れる。
「……あれ?」
「ははっ、言ったろ? 腕が折れるって!」
背後からカインの大笑いが飛ぶ。
「折れてません!」
必死に言い返し、再び槌を振り上げる。
だが打つたびに音は鈍く、鉄は思うように伸びない。
十数回叩いた時にはもう腕が棒のように重く、肩が悲鳴をあげていた。
「どうした。もう終わりか?」
ガルドの冷ややかな声。
「……まだです!」
汗が滝のように流れる中、俺は必死に槌を振り続けた。
◇
「トリス!」
アリアの声が飛ぶ。駆け寄ろうとした彼女を、ガルドが手で制した。
「口を出すな。こいつが決めたことだ」
火花が散る中、俺は鉄を凝視する。
色が赤から暗くなり、炎の音も静まっていく。
「……待て。打つな」
ガルドが火箸で鉄を持ち上げ、問いかける。
「今の鉄はどうだ。熱は足りてるか?」
「……赤が暗くなって、火の音も小さい。熱が落ちてます」
短く頷いたガルドは鉄を炉へ戻す。
「観察の目は悪くない。槌はめちゃくちゃだがな」
「へへっ、見た目は必死なのに意外と冷静だな」
カインが肩を揺らして笑う。
胸が熱くなる。
(俺は……ちゃんと見えてる。少しは役に立てる!)
◇
それからも失敗続きだった。
槌の角度は狂い、火から出すのが遅れ、鉄は黒く冷めてしまう。
何度もやり直し、何度も叩き直す。
手のひらに豆ができ、潰れて血がにじむ。
それでも腕を止める気はなかった。
「……しぶといな」
いつしかガルドの口から、感嘆に似た言葉が漏れる。
「へへっ、俺よりもしぶといかもな」
カインがにやりと笑う。
「しぶとさなら負けません」
俺は汗に濡れた顔を上げ、にやりと笑い返した。
火と鉄を前に、負けるわけにはいかない。
◇
日が傾く頃、ようやく槌の音が少しだけ鉄に響いた。
表面がほんのわずかだが平らに伸びていたのだ。
「……できた」
思わず声が震える。
「ふん、形にはなってきたな」
ガルドの口元がわずかに緩む。
「おお、初仕事だな!」
カインが大げさに肩を叩いて笑った。
「まだまだこれからよ」
アリアは呆れたように笑いながらも、どこか誇らしげに俺を見ていた。
◇
孤児院に戻った夜。
両手は真っ赤に腫れ、体は鉛のように重い。
けれど、不思議と心は軽かった。
火の色。鉄の匂い。火花が散る音。
すべてが鮮明に焼きついて離れない。
俺は、やれる。失敗ばかりでも、続ければ必ず。
十一歳の夏。
俺の鍛冶修行は、始まったばかりだ。
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




