反撃開始
このまま、1日2話更新で年内走り抜けますが、更新の時刻はまちまちになります。すみません。
読んでくださる方々ありがとうございます。どうか顔文字の評価ボタンか★マークを押してもらえるとありがたいです。
逆流した蒼晶の脈動が、洞窟全体を震わせた。
ディスカリアの紫晶面にヒビが走り、
空気がビキリ、と割れる。
「……ッ……!!!
何を……した……蒼晶の《器》……!」
初めて、あの魔族の声に“焦り”が混じった。
その一瞬の揺らぎ──
こいつの弱点が剥き出しになった合図だ。
「アリア!!右後方から!!」
「了解!!」
アリアが床を蹴る。
蒼晶の光を踏みつけて、弾丸みたいに横から回り込む。
動きが速い。
だが読者が迷わないよう、あえて直線的に描く。
アリアの一矢が、沈み込むようにディスカリアの“心臓の位置”を狙った。
「《穿影》!!」
――ビュン!!
紫晶のガードが一拍遅れる。
矢が紫晶の胸をかすめ、火花が散る。
けれど怒号は上がらない。
ディスカリアはただ、顔の角度だけで矢を見た。
「……まだ“鳴らない”」
不気味なほど静かな声。
だがその瞬間には、もう視界の左で影が裂けていた。
「ノクス!!」
“シャァァッ!!”
影が地面から噴き上がり、黒い軌跡を描く。
ノクスの爪が、ディスカリアの肩を裂いた。
紫晶が砕け、破片が光の尾を引きながら散る。
「ぐ……ッ!」
魔族の身体が傾ぐ。
影が効いた。魔力の制御に乱れが出ている!
「アージェ!!前面!!」
「ガウウゥゥッ!!」
銀狼が正面から突進し、
爪と牙でディスカリアの動きを完全に止める。
紫晶の槍が何本も生成されるが、
アージェの“魔障壁”が波のように押し返す。
火花。
砕ける音。
紫と銀の衝突。
読者が戦いの図が浮かぶように、あえて“単純な色の対比”で書く。
「ミーナ!!」
「準備できた!! 今ならアイツの魔力線が全部見える!!」
ミーナの魔導具が円陣を描き、
蒼晶の光が脈々と線になってディスカリアの体を“浮かび上がらせた”。
胸から背中へ。
背中から腕へ。
腕から紫晶の角へ──
全部、つながっている。
「トリス!!あそこ!!胸の奥!!
紫晶の“芯”が見える!! あれが弱点!!」
「任せろ!!」
雷が刀に集まる。
蒼晶と雷の相性は抜群だ。
だが──
ディスカリアはまだ終わってない。
「……この私に傷をつけた……?
面白い……ならば……これで──」
紫晶の角が一気に光った。
魔族の魔力が“歌”みたいに震える。
「《魔晶――反響針》」
空気が跳ね上がった!!
目には見えないが“音の槍”が放たれ、
洞窟中を瞬時に走り抜けた。
「──!!?」
アリアの耳から血がにじむ。
「っく……なにこれっ!? 頭が、割れ──!!」
ノクスが地面に爪を立て、苦しそうに鳴く。
「アージェ!!耐えて!!」
「グルルルルル……!!」
アージェの肩も震え、踏ん張るのがやっとだ。
ミーナが顔を歪める。
「……魔力じゃない……これ……
“音”で脳を揺らしてる……!!」
ディスカリアが、満足げに笑う。
「ほら……美しいだろう?
生き物の“音”が壊れる瞬間は──」
「──黙れ」
俺の声が、音の嵐を割った。
全身が痛む。
耳鳴りで立っていられないほどだ。
けれど。
視線だけはブレなかった。
「お前の歌より──」
刀を構える。
「俺たちの“勝ち筋”の方が、よっぽど美しい」
雷光が床を走る。
次の瞬間──
逆らうように、雷が蒼晶の脈動に同調した。
ミーナが叫ぶ。
「トリス!!その波形……!!
ディスカリアの音槍を“押し返せる”!!」
「ならやるだけだ!!」
踏み込む。
音の刃が肌を切る。
紫晶の破片が飛ぶ。
空気が歪む。
それでも俺は前へ。
たったひとつの芯に向けて。
「ディスカリア──!!」
魔族の仮面のような顔がこちらを振り向いた。
「蒼晶の器……まさか……!」
「終わりだッ!!」
雷光。
蒼晶。
紫晶。
三色がぶつかり合った瞬間──
俺の刀が、
確かに“弱点の芯”へ届いた。
バキィィィィッ──!!!
紫の芯が砕ける音は、
50層全体の脈動を止めるほど大きかった。
ディスカリアの動きが凍りつく。
紫の目が、最後にわずかに揺れた。
「……そんな……はず……が……
私は……収集者……で……
君こそ……核……の……器……」
紫晶の体が、音もなく崩れた。
粉になり、光になり──
蒼晶の大地へ、静かに吸い込まれていった。
そして。
50層の空気から“紫”が消えた。
蒼晶の灯りが、一斉に青へ戻る。
「……勝った、の?」
アリアが膝をつきながら問う。
「勝った……けど──」
ミーナの表情に、まだ影があった。
「この魔族……ひとりじゃない。
蒼晶が“汚されてる感覚”、もっと下の方から来てる……」
つまり──この戦いは“入り口”。
50層のディスカリアは、
**本命の魔族の“手駒”**だった。
深層はここからさらに暗い。
さらに危険。
そして──蒼晶の本当の危機が眠る場所。
「……次だな」
俺は刀を背負った。
応援ありがとうございます!
皆さんのブクマや評価が更新の大きな力になっています!٩( 'ω' )و
「次話も楽しみ!」と思っていただけたら、ポチっとお星★様を押してもらえると嬉しいです!




