魔族の支配する脈動をぶっ壊せ!
このまま、1日2話更新で年内走り抜けますが、更新の時刻はまちまちになります。すみません。
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紫の波が床を走った瞬間
蒼晶の大地そのものが“心臓みたいに脈打ち始めた”。
ドクン……
ドクン……!
「っ……なんだこれ!?」
アリアがよろめく。
「蒼晶の“魔力の拍動”を乗っ取られてる……!」
ミーナが叫ぶ。
床の波はただの衝撃じゃない。
体内の魔力を揺らす“逆鼓動”
俺たちの魔力のリズムを狂わせる攻撃だ。
ノクスが影から出てきた瞬間、足がもつれる。
「にゃっ!」
「ノクス!!」
アリアが抱え込む。
アージェでさえ、低く唸りながら踏ん張るのがやっとだ。
「この《核律》はねぇ……」
ディスカリアが、舞うように一歩前へ出た。
「蒼晶の“呼吸”を私のものにして、
君たちの魔力を狂わせる。
便利だろう?」
「テメェ……!」
刀《繋》を構え、前へ一歩踏み出した瞬間
ドクン!!
蒼晶の床の脈動が脚に逆流し、
体の中心が一瞬、空回りした。
「っ……!」
「動きづらいだろう?
魔力を持つ者ほど、この揺らぎに弱いんだ」
ディスカリアは薄く微笑む。
「さあ、“壊れて”?」
また指が鳴る。
パチン。
蒼晶の柱が一斉に震え、
紫の刃となって横薙ぎに走る。
「アージェ!!障壁!!」
「ガウッ!!」
アージェの銀障壁が広がるが
ガガガッ!!
障壁が削られる。
蒼晶の振動に、紫の汚染が混ざっているせいだ。
「持たない!!」
ミーナが叫ぶ。
「アリア!右!」
「わかってる!!」
アリアの矢が障壁の隙間から撃ち出される。
だが、紫刃の奔流に吸われるように軌道が歪む。
「っ……くそ!当たらない!!」
ディスカリアは揺らぎの中心。
そいつを倒さなきゃ、この脈動は終わらない。
「ミーナ!!逆に、この脈動を“読める”か!?」
「読めるけど……トリスの魔力が必要!!
あなたの魔力の波と、この層の脈動……“噛み合ってる”から!」
「噛み合ってる……?」
「50層全体が、あなたを迎え撃つために調整されてるのよ!!」
つまり俺の魔力は
ディスカリアに“狙われる理由”そのものになっている。
その時、ディスカリアが囁いた。
「君は美しい。
蒼晶の純粋な波形……。
欲しくて、欲しくて……!」
次の瞬間。
足元が沈んだ。
「!?」
蒼晶が“液体みたいに”柔らかくなり、
俺の足を飲み込もうとする。
「やばい!喰われる!!」
アリアの声。
「アージェ!!」
「ガウッ!!」
アージェの体当たりで俺は弾き出された。
直後、足元だった蒼晶が紫に染まり、
忌まわしい触手のように乱舞する。
「……本格的に殺しに来てんな」
「君が欲しいんだよ。
殺すわけないじゃないか。
ただ、折るだけだ」
ディスカリアが両腕を広げた。
紫晶が空中に浮かび上がり、
蒼晶の粒をひきずるように軌跡を描く。
「《魔晶の弔歌》」
空間そのものが紫に染まった。
「来る!!全員、構えろ!!」
紫晶の破片が、雨のように降ってくる。
ただ降るのではない。
それぞれが敵意の方向を“選んで”飛んでくる。
「ミーナ!!防げる!?」
「一部だけ!!全部は無理!!」
「ノクス!!影でミーナを守れ!!」
“シャッ!!”
アリアが横へ跳び、矢の弾幕で飛来方向をズラす。
「アージェ!!前!!」
「ガウゥゥッ!!」
アージェが銀障壁で前面を守る。
俺は雷を纏って天井からの弾を断ち切り、
ミーナの周囲へ駆け込む。
「これ……いつかの導線戦みたいじゃない!?
避けても避けても来るやつ!!」
アリアが半泣き気味に叫ぶ。
「文句言うな!!こっから本番だ!!」
ディスカリアは口元をにやりと吊り上げた。
「美しいよ、君たち。
でも“音”が足りない。
もっと、もっと壊れて。」
紫晶がまた集まる。
次の攻撃は、もっと速い。もっと重い。
ミーナが叫ぶ。
「トリス!!あれ、もう避けきれない!!
どこにいても攻撃が来る!!」
「だったら」
雷が一気に集中する。
「“脈動”を逆に利用する!!」
「トリス!?」
アリアが振り向く。
「ミーナ!!この層の脈動……
俺の魔力で“上書き”できるか!?」
「あなたなら……できる!!
でも失敗したら全身の魔力が吹っ飛ぶ!!」
「成功したら?」
「ディスカリアの制御が一瞬だけ外れる!!」
「一瞬あれば十分だ!!」
ディスカリアの指が下りる。
「終わりだよ」
「いいや、ここからだ!!」
俺は刀を床に突き立てた。
雷が蒼晶へ流れ込む。
脈動が逆流した!!
「ッ……ぐ、ぅぅッ!!」
蒼晶の脈動と俺の魔力がぶつかり、
全身から汗が噴き出す。
「トリス!!」
ミーナの悲鳴。
「やれ……トリス!!今しかない!!」
アリアが叫ぶ。
ディスカリアの瞳が見開かれる。
「何を」
「お前の制御!」
刀が蒼晶の波に呑まれ、
雷の波形が広がる。
「壊す!!」
蒼晶の脈動が一瞬だけ、
完全に逆転した。
広間中が静止する。
ディスカリアの紫晶が
ひび割れた。
「……ッ……!? 私の《核律》が……乱された……!?」
「今だ!!!」
アリア、ノクス、アージェが同時に動く。
反撃の瞬間が、ついに訪れた。
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