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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
蒼き都、動き出す

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紫晶の災禍ディスカリア、降り立つ

このまま、基本1日2話更新で年内走り抜けますが、更新の時刻はまちまちになります。すみません。

読んでくださる方々ありがとうございます。どうか顔文字の評価ボタンか★マークを押してもらえるとありがたいです。

 空気そのものが、ディスカリアの呼吸に合わせて震えていた。


 蒼晶の床がぐにゃりと歪み、

 俺たちの影が微かに紫色に染まる。


「……ッ、来るわよ!!」

 アリアが矢を番えたまま叫ぶ。


 だが次の瞬間


ディスカリアの姿が “消えた”。


「っ!? 速」


 言い終わる前に、背後から空気が裂ける。


「トリス!!」

「分かってる!!」


 振り向きざま、刀《繋》を振り上げる。


 金属ではない。

 結晶でもない。


 もっと生々しい“魔力の爪”が俺の刃とぶつかった。


 キィィィィィン!!


 火花ではなく紫の欠片が弾ける。


「……いい反応だ」

 ディスカリアが微笑む。


 今の一撃、視界では追えなかった。


 速いというより

 「距離の概念が雑」。


 魔族特有の、空間を一歩で縮める歩法。


「ノクス!右!!」

“シャッ!!”


 影が走り、斜め上から爪を振るう。

 だがディスカリアは一歩“斜め上へ”跳び、

 まるで壁を蹴るみたいに空中で急角度に動いた。


「……ッ、空間把握が人間じゃない!」

 ミーナが叫ぶ。


「人間じゃないんだよ!!」

 アリアが叫び返し、矢を三本同時に放つ。


 三方向から、的確な三点射。


 だが


「綺麗ではあるが、単調だ」


 ディスカリアは指を鳴らした。


 パチン。


 瞬間、矢が“空中で止まった”。


「……は?」

 アリアの声が素で驚く。


 止まった矢は、そのまま逆再生のように回転し


「返すよ」


 アリアへ向けて撃ち返された。


「アリア!!伏せろ!!」

 俺が叫ぶより前に、


「ノクス!!」

“シャ!!!”


 影が伸び、矢の軌道を乱す。


 アリアは横転して回避した。


「ちょ……冗談でしょ……!? 止めて、返すの……!?」

「やばいやばい、あれ弓使い殺しの天敵じゃん……!?」


 ミーナが震える声で告げる。


「トリス……あいつ、魔力の流れ“そのもの”を掴んでる……!

 矢や魔法の軌跡に干渉できる……!」


 つまり、遠距離は不利。

 中距離も危険。


 なら


「アージェ!!正面から圧し込め!!」

「ガウゥッ!!」


 銀狼が吠え、地を蹴った。

 防壁が波のように前へ押し出される。


 ディスカリアは一切動じず、細い指を前に掲げ


「くだらない」


 指先から紫晶の紐が伸びてきた。


 伸びた瞬間に“固まり”、

 鞭になってアージェへ叩きつけられる。


 バチンッ!!!


「ガゥッ!!」


 アージェが吹き飛ぶ。

 地面を三回転しながら転がり、踏ん張る。


「アージェ!!」

「ぐるるる……!」


 まだ戦える。

 でも今の一撃、ただの鞭じゃない。


 蒼晶の魔力を“逆流させる”ような斬撃。


「ミーナ!弱点は!?」

「探してる!でも……!

 魔力の形が……ぐちゃぐちゃで……読めない!!」


 そうだ。


 この魔族の魔力は

 “蒼晶の波形を壊して作り換えたもの”。


 まるで楽器を無理やり砕いて、

 別の音を鳴らそうとしたみたいな、そんな不協和。


「トリス」

 アリアが横目で俺を見る。


「遠距離が吸われる。障壁が削られる。影も読まれてる……

 あとは、トリスの出番。」


「わかってる」


 刀《繋》を握り直す。

 雷が小さく走る。


 ディスカリアは、退屈そうに首を傾けた。


「君は綺麗だね。

 “壊した時の音”が、何より楽しみだ。」


 その瞬間

 ディスカリアの輪郭が“消えた”。


 来る。


 どこからだ


「上!!」

 アリアの叫び。


 俺は反射で刀を上へ突き上げた。


 ガギィィィン!!


 紫晶の爪と刃がぶつかり、空気が爆ぜる。


「……ほう」


 ディスカリアの顔が近い。


 細い腕なのに、

 背骨が折れそうなくらい重い圧。


「君の魔力……本当に美しい。

 もっと……濁らせたい。」


「てめぇが触るのは蒼晶だけで十分なんだよ!!」


 雷を爆発させ、至近距離で吹き飛ばす。


 ディスカリアは空中を滑るように後退し、

 軽やかに着地した。


「いいね。もっともっと。

 君の悲鳴を聞く前に試したい技がある。」


 指が、ゆっくりと曲がる。


 ミーナが青ざめた。


「トリス!! 蒼晶の“波形ごと”攻撃してくる!!

 結晶魔法じゃない……もっと根本の……!」


 ディスカリアが囁いた。


「《核律》《コアリズム》」


 蒼晶の床が一斉に“逆再生”のように歪んだ。


 俺たちの足元から、

 蒼と紫の波が一気に走る。


「来る!!全員、耐えろ!!」


 広間一体が紫に染まった。

応援ありがとうございます!

皆さんのブクマや評価が更新の大きな力になっています!٩( 'ω' )و

「次話も楽しみ!」と思っていただけたら、ポチっとお星★様を押してもらえると嬉しいです!

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