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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
蒼き都、動き出す

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動く壁と紫腹の影

このまま、基本1日2話更新で年内走り抜けますが、更新の時刻はまちまちになります。1話の時はすみません。

読んでくださる方々ありがとうございます。どうか顔文字の評価ボタンか★マークを押してもらえるとありがたいです。

 四方八方の壁から

 蒼晶の殻を食い破った紫腹の蛇が、にゅるり、と顔を覗かせる。


 天井にも。

 左右にも。

 正面にも。


 合計……十七。


「囲まれた……ッ!」

 アリアの弓が震える。


「ノクス、警戒! アージェはミーナを守れ!」

「シャッ!!」「ガウッ!」


 次の瞬間。


 バキィィィィ!!!


 右の壁がさらに膨らみ、“二匹目”の蛇が飛び出した。

 その鋭い顎が、アリアの顔面めがけて一直線!


「アリア、伏せろ!!」


 俺が叫ぶより先に、


 アージェの防壁が横から滑り込み、

 ガキィィン! と牙を受け止めた。


「……ッ!! アージェ、ありがとう!」

「ガウウゥ……!」


 だが、蛇は止まらない。

 顎を外すと、すぐさま天井へ跳び、そのまま真下へ急降下。


「ノクス!!」

“シャッ!!”


 影が床から伸び、蛇の尾を絡め取る

 だが紫腹が“震えた瞬間”。


 バチィッ!


 影が弾けた。


「なっ……影を弾いた!?」

「影そのものを拒絶してる……! 紫晶の“毒”かもしれない!」


 ミーナが青ざめる。


 蛇が一匹、ミーナへ迫る。


「させるかよッ!!」


 俺は雷脚で一気に前へ踏み込み、

 消えた影の軌道をそのままなぞって跳んだ。


 刃が紫腹の中央を正確に捉える。


「落ちろ!!」


 ズバァッ!!!


 紫晶を裂き、蛇が床へ叩きつけられ光の粒となった。


「トリス、右上!!」

 アリアの叫び。


 見ると天井で五匹が“息を合わせて”体を振動させている。


 嫌な音が空気を伝う。


「これ……来る!」


 ミーナが叫んだ瞬間

 

 ビシュンッ!!!


 無数の紫晶針が天井から射出!!


「アージェ! 上!!」

「ガウォッ!!」


 アージェが天井に向けて防壁を展開。

 針が雨のように叩きつけられ、火花のような光が散った。


 だが


「トリス!! 左から!!」


 針の雨に気を取られたところへ、

 左の壁を破った蛇が“横噛み”で襲う。


「ちっ──!」


 刀で受けながら、身体をひねる。


 蒼晶でできた蛇の歯は鋭い。

 刃と擦れるたびに青白い火花が散った。


 重い。

 噛みつく力が“蒼晶そのもの”の硬度だ。


「ノクス、尻尾!!」

“シャァッ!!”


 影が一瞬だけ床に広がり、

 蛇の尾の付け根へと鋭い爪痕を刻む。


 蛇が体勢を崩した瞬間に、俺の刃が走る。


「二匹目、落ちた!」


 光の粒が蒼晶の床へ散る。


 


 しかし

 終わりはまだ遠い。


 奥の暗闇で、五匹の蛇が“同じ動き”を始めていた。


 尾を床に叩き、腹を振動させ、

 蒼晶の壁を噛み砕きながら、一歩ずつこちらへ。


「動きが……揃ってる?」

 アリアの声が震える。


「ううん……“揃えられてる”のよ……!」


 ミーナの手がわずかに震えた。


「……誰かがまとめて操ってる?」


「そう。

 誰かが、この階層の蛇を“ひとつの群れ”として動かしてる……!」


 なるほどな。


 蛇がバラバラに出るならまだしも、

 こうして連携して大挙してくるのは異常すぎる。


 紅晶の暴走

 蒼晶の活性

 そこに第三の“紫”。


 全部、つながってる。


 奥にいる何者かが

“魔物をデザインしている”

としか思えない規模だ。


「トリス……くる!!」


 ミーナの叫び。


 蛇たちが一斉に、俺たちへ跳んだ。


 十匹以上の紫の弧が、洞窟の空気を切り裂く。


「ミーナは後ろ!!」

「うん!!」

「アリア、上段!」

「了解!」

「ノクス、右と下!」

“シャッ!”

「アージェ、全部受け止めるな! 弾いて流せ!!」

「ガウッ!!」


 四人+二匹の動きが一気に噛み合う。


 アージェが前で衝撃を散らし、

 ノクスが影で軌道を乱し、


 アリアが空中で的確に弱点を射抜き、

 ミーナが風を操って“動線”を変える。


 その中心で


「まとめて斬り裂く!!」


 俺は雷脚で前へ踏み込み、

 跳びかかる蛇を真正面から迎え撃った。


 バチィィィィィッ!!!


 刀が走るたび、

 紫晶が閃光を撒き散らし、

 蒼青の火花が洞窟を照らす。


 蛇が一匹、二匹、三匹と次々に光へ散っていく。


 だが


 最後の一匹が背へ跳びついてきた。


「トリス!!」

「任せた!!」


 振り向くより早く、

 影からノクスが跳び上がり、


 喉元を一閃。


 最後の蛇が光に溶けた。


 


 静寂。


 息が戻る。


「……全滅、した?」

 アリアが弓を降ろす。


「いや」


 ミーナが首を横に振った。


「終わってない。

 空気の“紫晶濃度”が……さらに上がってる……」


 蛇を倒しても“原因が残ってる”。


 つまり


「奥にいるんだな。

 この階層を“餌場”にした張本人が」


 通路の最奥で、紫の霧がゆらりと揺れた。


 その揺れは、まるで


 『早く来い』


 と呼ぶように。


「行くぞ。

 49層はただの前座だ。

 この先で“本命”が待ってる。」


 緊張とワクワクが入り混じる空気が、

 喉の奥まで熱くなる。

応援ありがとうございます!

皆さんのブクマや評価が更新の大きな力になっています!٩( 'ω' )و

「次話も楽しみ!」と思っていただけたら、ポチっとお星★様を押してもらえると嬉しいです!

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