紅晶共鳴の司令塔《クリムロードタイガー》
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紅い光が洞窟を染めた。
紅晶牙虎の群れが一斉に突っ込んでくる。
地を叩く衝撃が、足裏から全身に響いた。
「アージェ、前面固定!!」
「ガウッ!!」
銀狼が跳び出し、白銀の防壁を展開。
牙虎の突進が弾け、洞窟に火花が散った。
紅晶がこすれ合う鋭い音。
その隙を狙って
「アリア、右斜めの列!」
「任せて!」
アリアの矢が風を裂き、脚・肩・喉へと確実に突き刺さる。
動きを削がれた虎を踏み台に、別の虎が跳躍した。
「ノクス!」
“シャッ”
影がひとつ走り、ノクスの爪が跳躍軌道に割り込む。
虎の視界を奪い、着地を狂わせた。
そのわずかな狂いが勝機になる。
「アリア!気をつけて! 左上、二匹来る!」
ミーナの声。
「アージェ、左上に障壁斜め!」
「ガゥッ!」
アージェの障壁が“斜めの壁”として出現。
牙虎の跳躍角度を強制的に曲げ、天井へと叩き返した。
「ナイス! 今だ!」
俺は刀《繋》を逆手に取り、足元へ雷光を走らせる。
一気に加速し虎の顎めがけて踏み込んだ。
「どけッ!!」
雷を帯びた刃が紅晶を切り裂き、跳躍の勢いごと弾き飛ばした。
「助かった……!」
ミーナがほっと息をつく。
「言っただろ。後衛には触れさせないって」
「……それ、後で覚えてなさいよ?」
アリアが苦笑した。
群れの様子が明らかに“異常”
紅晶牙虎は通常、動きが粗い突進型獣。
だが、目の前の群れは違った。
・倒れた仲間を踏み台にする
・天井・壁を使って“死角を作る”
・棘を射出して牽制
・役割分担のような動き
「完全に獣の連携じゃない」
アリアが眉を寄せる。
「紅晶濃度が……高すぎる。
誰かが“意図的に”強化してる可能性があるわ」
ミーナの声が低くなる。
「つまり、“親玉”がいるってことか」
俺は刀を構え直した。
群れの動きが一斉に変化する。
「来るッ!」
三方向からの跳躍。
壁、天井、床
3次元同時攻撃。
「アージェ!!」
「ガウゥッ!!」
銀狼が吠え、その防壁が波のように膨張し、
衝突した力を利用して“逆衝波”として押し返す。
牙虎たちの身体が弾けるように後方へ跳ね飛んだ。
「アリア!」
「はいッ!!」
アリアの矢が三本、連続で走る。
眉間、喉、心臓。
手練れの暗殺者でも不可能な精度。
赤い火花を散らし、数匹が沈む。
残り六匹。
洞窟の奥から、空気を震わせる低音が響いた。
何かが、歩いてくる。
「……来るよ、トリス」
ミーナが青ざめる。
アリアが舌打ちした。
「気配が……さっきまでの虎と別格」
奥の闇の中から、紅が浮かび上がった。
⸻
巨体ではあるが、“大きいだけ”じゃない。
背中の紅晶は刃ではなく“アンテナ状”に伸び、
洞窟の空気が微かに震えている。
「……あれ、他の紅晶と共鳴してるみたいよ」
ミーナが息を呑む。
「共鳴?」
「群れの紅晶を全部“繋いで”いる!
紅晶に音波みたいな振動を流して、同時に動きを調整してる!」
つまり
あのロードが“司令塔”。
こいつを落とさなきゃ、群れは終わらない。
「トリス、尾! 気をつけて!!」
アリアの叫び。
瞬間、ロードタイガーの尾が横薙ぎに振るわれ
空気そのものが“砕けた”。
紅晶振動
《結晶コード》!!!
ガァァァーーーーー!
咆哮と共に空間が圧縮され、刃のように横走る。
「うおぉぉッ!!」
俺は刀で受け、衝撃を雷で逃がす。
「これ……さすがにヤバいな」
「ミーナ! 紅晶濃度は!?」
「異常値! この階層でこんなの……ありえない!!
絶対、奥に“核”がいる!!」
「つまり、こいつは門番ってことか」
俺は刀を握り直した。
ロードタイガーが、喉の奥で音を鳴らした。
高周波。
また“共鳴”を仕掛けてくる。
「アージェ、ノクス、アリア、ミーナ!!
こいつ抜ければ奥の正体が見える!!」
負けられない。
「行くぞッ!!」
雷光をまとい、俺はクリムロードタイガーへ斬り込んだ。
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