表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
蒼き都、動き出す

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

272/287

雷が切り拓く突破の道

このまま、1日2話更新で年内走り抜けますが、更新の時刻はまちまちになります。すみません。

読んでくださる方々ありがとうございます。どうか顔文字の評価ボタンか★マークを押してもらえるとありがたいです。

 紅晶の化物どもが四方八方から跳びかかってくる。


 十体、十五体、いや

 数を数える意味がなくなるほどの赤い軌跡。


 空気を裂く金属音。

 天井を蹴って降りてくる影。

 床の結晶が噴き上がるたび、視界が赤く染まった。


「アリア、右側の群れは任せた!」

「了解ッ!」


 アリアの矢が三本、吸い付くように飛び、

 紅晶獣クリムギアビーストの頭核を撃ち抜く。

 破片になった紅晶がガラガラと崩れた。


 その裏でノクスが影から姿を消し

 次の瞬間、紅い顎へ一撃。


 “ギャインッ!!”

 音もなく赤い核が割れ、影の中へと崩れた。


「ミーナ、後衛は任せる!」

「もちろんよ!」


 ミーナの魔導具が蒼光を散らし、

 紅晶の刃雨をまとめて弾き飛ばす。


 アージェが前に出た瞬間、

 紅晶の結晶槍が三本、轟音と共に突き出された。


 ガギィィィイン!!


 アージェの《魔障壁》が火花を散らす。

 紅晶の槍をすべて弾き返し、砕けた破片を踏み砕きながら吠えた。


 だが


「……っ、全然減らねぇ!」


 倒しても倒しても、クリムアーキストが指を鳴らすだけで

 破片は組み直され、次の獣が生まれる。


 まるで“紅晶の軍勢”。


 その中心で、クリムアーキストは動かない。

 ただ淡々と、紅い仮面を俺へ向け──静かに指を上げた。


 パチン。


 そのたった一音で、


 後ろの紅晶柱が一斉に変形した。


 巨大な紅晶兵士が四体。

 剣のような腕。盾のような胸板。

 人型とは思えない質量が床を揺らす。


「くる……ッ!!」


 四体同時に突撃。

 肩でぶつかられるだけで粉々にされる威力。


 アリアでは止められない。

 ノクスでも回避が限界だ。

 アージェですら正面は危険。


 だから

 俺が出る。


「道を開けてくれ!」


 雷が刀にまとわりつく。

 刃先が白く光り、蒼晶の床がざわめく。


 刀《繋》を構え、一歩踏み込む。


 雷が爆ぜる。


「うおおおおッ!!」


 四体の紅晶兵士が前後左右から拳を落とす。


 ドゴォォォォォン!!


 床が砕け、紅晶が舞う。

 視界が赤一色に染まる。


 だが

 中心にいる俺は消えた。


「トリス!?」

「上だ!!」


 アリアの叫びとともに、

 俺は天井の針の上に着地していた。


 雷を纏った脚で蹴り。

 放電の残光が天井にシンボルのような線を描く。


「いくぞ……!」


 そのまま天井から垂直落下。


 雷速の返し斬り。


 紅晶兵士四体を、一閃ずつ。


 バギィン!!


 裂けた。

 四体とも核ごと割れ、紅胞片が爆散する。


「まだだ……!」


 落下の勢いのまま地を蹴り、

 一直線にクリムアーキストへ。


 奴の三つの紅晶眼が俺を捉える。


 三つ同時に光を収束させ

 紅い光線を撃とうとしていた。


「間にあうな……!」


 ミーナの声。


「トリス!! 今!!」


 アリアが叫んだ瞬間、

 アージェが俺の前に飛び、吠える。


 銀狼の障壁が展開!


 紅晶眼からの光線がぶつかる。

 蒼と赤が激突して、床が鳴動する。


「アージェ!!」

「グルルルル……!!」


 押される。

 耐える。

 けれど長くはもたない!


 その刹那。


 影が三つに裂けた。


 ノクスだ。


 クリムアーキストの背後、頭頂、側面へ同時に跳び、

 紅晶眼の基部を“ガリッ”と斬り裂いた。


 三本の赤い光が途切れる。


「ナイスだ、ノクス!!」


 俺は一気に踏み込む。


 クリムアーキストの視線が、初めて揺れた。

 ほんの一瞬の“遅れ”。


 それだけで十分だ。


「……終わりだ」


雷が、刀に集まる。


刃全体が白雷にのまれ、

空気が震え、床の蒼晶がざわりと色を変える。


俺は刀を肩に担ぎ

半身に構える。


「《閃雷一閃》」


その名を口にした瞬間、

俺の身体は音より早く前へ跳んでいた。


紅晶の床が雷を焼き、

一筋の白い軌跡がクリムアーキストへ伸びる。


奴が腕を組み替え、

盾のような紅晶の壁を瞬時に形成する。


だが、遅い。


「斬り裂けええぇぇッ!!」


雷が爆ぜた。


紅晶の盾ごと、

仮面ごと、

核の奥深くまで


一直線に貫いた。


バギィィィィン!!!


轟音。

床の蒼晶が波紋を広げる。

紅晶の仮面が真ん中から“ぱっくり”と割れ、

中の核が白い光を漏らして震えた。


「まだ落ちるなよ……!」


刀を振り抜いた体勢のまま、

俺は核へ手をかざす。


掌から雷が“逆流”し、

核を内部から破砕していく。


「砕けろ──!!」


ピシィッ!


核に蜘蛛の巣状の亀裂が走り


次の瞬間、


ドンッッ!!!!


紅晶が白光になって四散した。


紅の霧が吹き抜け、

クリムアーキストの身体は音もなく崩れ落ちた。


残ったのは、

雷光の余韻と俺の荒い息だけ。


「……ふぅ。これで終わりだ」


アリアが目を丸くする。


「トリス……今の、何その速さ……!」


ミーナが震えた声で息を呑む。


「刃も、雷も……見えなかった……」


ノクスは喉を鳴らし、

アージェは誇らしげに胸を張る。


紅晶の残滓が光の雨になって降り注ぎ、

その中心に、俺は静かに刀を納めた。


「45層──制圧完了だ」

応援ありがとうございます!

皆さんのブクマや評価が更新の大きな力になっています!٩( 'ω' )و

「次話も楽しみ!」と思っていただけたら、ポチっとお星★様を押してもらえると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ