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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
雷神、剣を納めず

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蒼環の加護 "海に選ばれし者たち"

評価ポイント押してもらってたり、最後に親指グッドとかの数が増えてたり、ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。

 光の環が、桟橋を照らしていた。


 最初は、ただの反射のように思えた。

 けれど、その輝きは波の揺らめきと違う

 生きている光だった。


 海面の上で青白い輪がゆっくりと回転し、

 波を撫でるたびに、細い光の糸がほどけていく。

 まるで、海が呼吸しているようだった。


 環の中心は空洞ではなく、

 その奥に“何か”が在る。

 光が、形を持ちはじめていた。

 輪郭はまだ曖昧で、人とも魚ともつかない。

 けれど確かに、そこには意志があった。


 潮風が止む。

 世界が音をなくし、ただ海だけが“息をしている”。


「……見てる」

 ミーナがぽつりと呟いた。

 その声は波音に溶け、光の方へ吸い込まれていく。


 彼女の髪がゆっくりと持ち上がる。

 月光と蒼光が絡まり合い、

 髪の一筋一筋が、まるで海流のように揺れた。


 光が彼女を照らす。

 青の環が反射し、瞳の奥に淡い“潮の紋”を描く。

 ミーナがそっと目を閉じると、

 海と呼吸がほんの一瞬、重なった。


「……なんか、どんどん光ってる」

 小さな声。けれど、その瞬間、桟橋の影までもが淡く蒼に染まった。


 風が吹くでもなく、波が立つでもなく、

 ただ光が、夜を満たしていく。


 それは祝福のようでもあり、

 祈りのようでもあった。


 あの青い“環”は、港の沖で静かに回り続けている。

 ゆっくりとけれど確かに

 人の形を描きながら。



「よくぞ護った!!」


 次の瞬間、海が揺れた。

 静かな水面から、音もなく光が昇る。

 波がほどけ、そこから、人の姿が立ち上がった。


 海の精霊。

 髪は潮の流れのように長く、瞳は深い蒼。

 その身体は水でできているのに、凛とした存在感を放っていた。


『……汝ら、よくぞ海を護った』


 声は波の振動そのもの。

 耳ではなく、心に直接響く。

 俺もミーナも膝をつく。

 その姿は恐ろしくも、美しかった。


『炎を拒み、潮を乱さず、命の流れを繋いだ者たちよ。

 我ら“海の理”は、汝らを認める』


 光が二つに分かれ、ひとすじはミーナへ、もうひとすじは俺の胸へと流れる。

 触れた瞬間、熱ではなく――“息吹”を感じた。

 まるで海そのものが心臓を共有しているかのように。


『ミーナ・エイル――その水の理、我が環に加えよう。』

 ミーナの腕に、淡い光の紋が浮かぶ。

 波紋のように広がり、静かに輝く。


『トリス・レガリオン――雷の子よ。汝の雷は破壊にあらず、浄化の雷。

 海と空を繋ぐ者として、汝に“海域の守”を授ける。』


 その瞬間、刀《繋》が淡く光った。

 稲光が刃を走り、水面の反射と交わる。

 雷と水二つ力が、俺の“力”になった。


『これは、海の理を守る者への加護。

 名を《蒼環の加護アクア・グレイス》という。』


 波がひときわ高く鳴り、光が四方に散る。

 潮の香りが変わる。

 鉄や血ではなく、清らかな水の匂い。

 夜空の星までも、一瞬だけ青に染まった。


「……聞こえる。水が、歌ってる……」

 ミーナの声が震える。

 俺は海を見つめ、息を呑んだ。

「加護って、こういうもんなのか……」

 思わず笑ってしまう。

 海の光が消えても、心臓の鼓動は消えなかった。

 海と俺たちが、確かに“繋がった”のだ。



【加護:蒼環の加護アクア・グレイス


 - 海・河川・雨域で味方全体の能力+25%

 - 炎・毒・穢れ・爆薬・火薬の自然発火を自動中和

 - 汚染・腐敗・怨念を流し浄化

 - 潮流・風向を自在に読める(海戦時の環境補正+50%)

 -海洋魔法の才・水魔法の最上級スキルの才能


 海は静かに息をし始めた。

 遠くで船の帆が揺れ、潮の音が夜を満たす。

 ミーナが隣で笑う。


「……これで、もう誰にも海を汚させないわね」

「ああ。海は怒ってなかった。……ただ、見てたんだ」

「なら、きっと次は、微笑んでくれる」


 潮風が吹き、二人の髪を揺らした。

 その時、遠くの水平線で、かすかに火が灯る。

それは焔ではなく、灯。

「……援軍の光?」

「ついに出発ね。この戦を終わらせないと」

風が背を押す。海は、もう黙ってはいなかった。

俺たちも、もう、立ち止まらない。


応援ありがとうございます!

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「次話も楽しみ!」と思っていただけたら、ポチっとしてもらえると嬉しいです!

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