黒甲冑の将校バルド・ガルディアン
とんでもないスピードで投稿を続けております。甘い蜜蝋です。みなさんよろしくお願いします。ランキング情報が日々出てきてワクワクしてます。ただ、投稿スピードが異常なのでこっそり修正もしております!ごめんなさい。
海面を裂くように、重々しい上陸舟が桟橋に突っ込んできた。
その舳先に立つ影は、他の兵とは明らかに異質だった。
漆黒の甲冑。
陽光すら吸い込むような鈍い黒光りに包まれ、肩から腰までびっしりと刻印の文様が走っている。
ただ立っているだけで、船体が沈み込み、板がギシギシと悲鳴を上げていた。
背には大岩のような戦斧。
普通なら三人がかりでようやく持ち上がる重さだろう。だが、その巨人は片手で軽々と担いでいた。
「……な、なんだ、あれは……」
「見たことがない……化け物か……?」
防壁の上から兵たちが息を呑む。
民衆の避難の列までもが、ざわめきに足を止めてしまった。
そして――
「ガハハハハッ!!」
雷鳴のような声が港を震わせた。
「貧相な防壁だな! この俺の斧で――ひと振りで粉砕してくれるわ!」
黒甲冑の巨将。
その名を、兵たちは畏怖を込めて叫んだ。
「バルド・ガルディアン将軍だ!」
「本当に来やがった……侯国の黒鉄の巨人……!」
その名を耳にした途端、侯国兵の顔が歓喜に染まり、王国兵の顔が蒼白に変わる。
一人の登場で、戦場の空気が反転する。
「勝ったぞ! 道は開けた!」
「バルド将軍がお出ましだ、前に出ろ!」
怯えていた兵が一斉に怒涛のごとく進軍を始め、波のような行軍が押し寄せてくる。
まるで戦場そのものが、この男を中心に回り始めたかのようだった。
「……あれが敵の将か」
アリアが呟く。双剣を構える手に汗がにじみ、細い顎が強張っている。
「鎧の気配が尋常じゃない。ただの鉄じゃないわ」
俺も頷く。
黒甲冑の継ぎ目は脈動しており、魔力の筋が血管のように赤く走っていた。
衝撃を殺し、炎を弾き、矢を逸らす。
まるで歩く要塞――そんな直感が背筋を這い上がる。
「退けェェェェッ!!」
戦斧が唸りを上げ、振り下ろされた。
瞬間、防壁が轟音を立てて粉砕され、石と木片が宙を舞う。
人が紙人形のように吹き飛び、港に悲鳴が響き渡った。
「ひっ……!」
「う、嘘だろ……防壁が……一撃で……」
リヴェール兵の心が折れかける。
その絶望に飲み込まれる前に――俺は一歩前に出た。
「退くな!」
刀《繋》を抜き放ち、蒼白い光を散らしながら兵たちを振り返る。
「ここは俺が止める! 仲間と共に、必ず!」
短い声だった。だが、胸を打つ熱があった。
兵士たちが互いに顔を見合わせ、折れかけた心を引き戻す。
「……貴様、名は?」
漆黒の巨体が歩み出る。
赤く光る眼窓の奥から、低い声が響いた。
「トリス・レガリオン。王国の子爵だ」
俺は一歩も退かずに応じ、刀を構えた。
「この街も、この民も――お前には渡さない!」
バルドの兜の奥で、炎のような光が揺らめいた。
「ほう……小僧のように見えるが、言うな。面白い」
次の瞬間、掌に稲光が走る。
鉄片が俺に吸い寄せられ、黒甲冑の鎧がギシギシと軋んだ。
「なっ……!」
バルドの巨体が一瞬だけ鈍る。
その隙に、アリアが閃光のように飛び込んだ。
双剣が交差し、戦斧の軌道を受け流す。
火花が散り、巨体がわずかに傾いた。
「効くな、小僧!」
怒声と共に、バルドは鎧を無理やり震わせて鉄片を弾き飛ばした。
地面が沈み込み、戦斧が再び振り下ろされる。
その衝撃で港の石畳が割れ、波が打ち寄せる。
俺は膝をつきそうになる脚を必死に踏ん張り、奥歯を噛みしめた。
(これが……侯国の巨将か……!)
だが恐怖より先に、胸を打つ昂ぶりがあった。
(この力……《電磁誘導》があれば、必ず……!)
稲光を纏った俺と、黒甲冑の巨将バルド。
リヴェール港の真ん中で――運命の激突が始まった。
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初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




