ギルド帰還と報告
夕暮れの王都。
森での死闘を終えた《風切りの羽》とトリス、そしてアリアは、疲労困憊の体を引きずりながら冒険者ギルドへ戻ってきた。
石造りの建物から漏れる灯りと人々のざわめきが、戦いの緊張を解きほぐすように暖かく迎えてくれる。
「……生きて帰ってきたな」
ルークが剣を腰に戻し、ほっと息を吐いた。
「体中ガタガタだぜ。椅子に座ったら二度と立ち上がれそうにねぇ」
ディルが苦笑する。
「でも……依頼は果たしたわ。アルミラージも、ゴブリンの群れも」
ミーナが杖を胸に抱き、微笑んだ。
トリスは黙って頷き、扉を押し開けた。
中にはすでに多くの冒険者が集まっていて、酒や食事の匂いが漂っていた。
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カウンターに立つ受付嬢リサが彼らを見るなり、目を丸くした。
「おかえりなさい!どうしたの?みんな疲れ切っちゃってるみたいね」
ルークが報告書を差し出す。
「アルミラージは討伐済みだ。……だが森の奥でゴブリンの群れと遭遇した。ホブゴブリンもいた」
「ほ、ホブゴブリン!? 本当に……?」
リサが青ざめる。
「ええ、危なかったけど、倒しました」
アリアが短く答えると、周囲の冒険者たちがざわめいた。
「マジかよ、ホブゴブリンを……!」
「新人の《風切りの羽》だろ? すげぇじゃねぇか!」
ちらちらと視線が集まり、トリスは居心地悪そうに俯いた。
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「こちらが討伐報酬です。それと……アルミラージの素材も確認しました」
リサが小袋を差し出す。中には銀貨が数枚光っている。
「ふぅ、これでしばらくは食いつなげるな」
ディルがにやりと笑った。
「……ねえ、肉はどうする?」
ミーナが小声で問う。
「もちろん売るのもいいが……アルミラージの肉は焼けば旨いんだ。依頼を果たした後のご褒美に食べるのもアリだな」
ルークが答えると、周囲の冒険者が「おっ」と笑った。
「やっぱりあの肉はうまいよな! 塩で炙るのが一番だ!」
「いやいや、煮込みにした方が旨味が出るんだって!」
酒場の空気が一気に明るくなり、討伐の苦しさも少し和らいだ。
トリスは目を丸くした。
「ほんとに……食べられるんだ……」
ディルが肩をすくめる。
「坊主、今日が初めてか? だったらしっかり味わっとけ。これも冒険者の醍醐味だ」
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報酬を分け合い、戦利品を確認し終えると、ルークがふとトリスの方を見た。
「なぁ、トリス。お前、あの石投げ……大したもんだったぞ。あれがなきゃ、アリアもとどめを刺せなかった」
「……そ、そんな……ただ投げただけで……」
トリスは耳まで赤くして視線を落とす。
「謙虚すぎるぞ。俺たちは助かったんだ、胸張れよ」
ディルが笑いながら背中を叩いた。
「観察眼も悪くないし……これからもっと伸びるかもね」
ミーナが優しく言い、トリスはようやく小さく笑った。
その光景を見て、アリアは何も言わずグラスの水を口に運ぶ。
だが視線だけは、ずっとトリスの方を捉えていた。
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夜が更け、ギルドの喧騒はなおも続いていた。
冒険者たちが武勇伝を語り、酒を酌み交わす中、《風切りの羽》とトリスの名は少しずつ広まり始めていた。
「さて、次はどんな依頼を受ける?」
ルークが問いかけると、ディルが笑った。
「飯食ってから考えようぜ。まずは腹を満たさねぇと話にならねぇ」
「……同感」
ミーナが頷いた。
トリスは初めて食べるアルミラージの肉に期待を膨らませながら、小さく拳を握った。
(僕も……ここで強くなれる。きっと……!)
王都の夜は、まだ始まったばかりだった。
評価してくれると、とってもとっても嬉しいです!
初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




