新しいちいさな温泉の芽吹き
十層突破を終えた俺たちは、広場での歓声を背に屋敷へ戻った。
広間にはすでに、代官として領の統治を担っているミーナが待ち構えている。
「おかえりなさい、トリス、アリア。それに……アージェ、ノクスも」
「ワンッ!」
「ニャア」
彼女は帳簿を小脇に抱えながら、淡く笑った。
「十層突破の知らせは、もう街中に広まっているわ。住民の士気はうなぎ登りよ。物資の取引も活発化していて、いまなら交易網を一気に広げられる」
「なるほどな」
俺は冒険者カードを机に置き、深呼吸する。
「……だが、そのために手を貸してくれる人材が増えた」
そう言って振り返ると、後ろからずんぐりした影が入ってきた。
「ふぉっふぉっふぉ! ドランベル、参上じゃ!」
丸っこい老人
いや、気合が入ればムキムキになる筋肉ドワーフだ。
「トリス様。この方は?」
「鍛冶師であり工学技師。そして温泉の亡者だ」
「ほほう……?」
ミーナは目を瞬かせ、次いで小さく笑った。
「いいわね。面白い人材は大歓迎」
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小さな温泉の発見
その日の午後。ドランベルは街の外れへと俺たちを連れて行った。
「ここじゃ、ここじゃ!」
指さした先は、建設予定の倉庫の脇。
地面から湯気が立ち昇り、ほんのり硫黄の匂いが漂っていた。
「……おい、本当に温泉だぞ?」
「テルマハルトほど大規模ではないがの。地下脈は繋がっておる。ちょっと掘れば、ここにも湯が出るわい!」
ドランベルの瞳が少年のように輝く。
「この湯を利用すれば、街中での“温水供給”も夢ではない! 風呂、蒸気炉、暖房! さらには食材の保存にまで応用できるぞ!」
「温泉を保存に?」
「そうじゃとも。湯を配管で循環させれば、温度調整が自由自在じゃ。穀倉街からの食料を傷ませず保管できる!」
ミーナの目が一気に鋭くなる。
「……つまり、物流効率の向上ね」
「うむうむ! 温泉はな、癒やすだけではないんじゃよ!」
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新しい工房と技術構想
数日後。街の会議室では、内政方針の会議が開かれた。
出席者は俺、ミーナ、アリア、そしてドランベル。
「現状、街の人口は1万を超えた。十層突破の報せでさらに人が押し寄せるだろう」
ミーナが帳簿を開き、紙を広げる。
「問題は宿泊施設と水。特に水は冒険者ギルドの宿舎も満杯だわ」
「ならば温泉を使うんじゃ!」
ドランベルが机を叩いた。
「地下に管を通し、湯と水を循環させる仕組みを作れば、供給は大幅に改善される! 鍛冶場の炉も温泉蒸気で効率化できるわい!」
彼の提案に、俺は思わずうなずいた。
「実際、テルマハルトでは温泉を利用して炊事や保存に役立てている。ハルトンでも可能だろう」
「ただし、資金がかかるわ」
ミーナが冷静に言う。
「資金はダンジョンからの素材売却で補填する。十層突破で取れた晶体は、高値で売れるはずだ」
「ふぉっふぉっふぉ! ならば任せろ! ワシが工房を作り、炉と配管を設計してやる!」
ドランベルは立ち上がり、胸を叩いた。
「だが条件が一つ」
「……温泉か?」
「その通りじゃ! 街中に共同浴場を作るんじゃ! ワシが毎日入るためにな!」
「……」
アリアが吹き出した。
「いいんじゃない? 皆のためでもあるし」
ミーナも、少し考えてから頷いた。
「共同浴場。なるほど……住民の士気も上がるでしょうね」
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領地間の連携と貴族のやっかみ
さらに議題は広がった。
「ロックハルトの材木、グレインハルトの穀物、テルマハルトの温泉。三つの資源がすでに循環している」
ミーナが指で地図をなぞる。
「しかし……他領の貴族たちが、やっかみを強めているわ。『辺境の子爵が調子に乗っている』と」
「ならば叙爵の準備が近いということだろう」
俺は静かに答えた。
「王都からの視線も避けられない。今のうちに基盤を固める」
「ふむ……ならばワシの出番じゃな」
ドランベルが口を挟む。
「工房を“見せ物”にするんじゃ! 訪れた貴族どもに、この街の技術力を見せつければ、やっかみも“欲”に変わる!」
その発想に、ミーナが目を細める。
「なるほど。貴族同士の関係を逆手に取るのね」
「ふぉっふぉっふぉ! 欲深い連中には、飴をくれてやればいいんじゃ!」
場に笑いが広がった。
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小さな温泉の完成
数週間後。街の外れに、木造の小さな浴場が完成した。
湯気が立ち昇り、子どもから老人までが列を作っている。
「領主様! 本当に温泉ができるなんて!」
「これで毎日疲れを癒せます!」
歓声を聞きながら、俺は腕を組む。
「ドランベル。よくやったな」
「ふぉっふぉっふぉ! ワシも毎日入れるからな!」
彼は既に腰布一枚で湯に浸かり、幸せそうにひげを泡立てていた。
「……ほんと、憎めない人ね」
アリアが呆れながらも笑う。
こうして街に、新たな柱、温泉と工学が加わった。
※以下内政データ
総評
都市合計(十層突破直後)
•総人口:30,000強
•総収入:29,900k(≒2.99億ナロン)
•総支出:22,200k(≒2.22億ナロン)
•月次収支:+7,700k(≒7,700万ナロン)
内訳
ハルトンダンジョン都市
(冒険と交易の中心地)
•人口:10,200
•主要収入:
・冒険者登録料/依頼仲介料:2,500k
・ダンジョンドロップ税(売却5%):4,200k
・交易関税:3,000k
・都市施設利用料(浴場・工房・倉庫):1,300k
合計収入:約11,000k
•主要支出:
・治安維持(直轄隊/冒険者協力費):3,200k
・インフラ整備(住宅・街道・上下水):2,800k
・ギルド・工房への補助金:1,200k
・都市維持費(灯火・清掃・管理人件費):1,000k
合計支出:約8,200k
•月次収支:+2,800k
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テルマハルト温泉街
(観光と癒やしの拠点)
•人口:7,800
•主要収入:
・温泉利用料/宿泊税:3,400k
・温泉卵販売/加工品:1,800k
・観光消費(屋台・祭り):2,100k
・旅籠建設許可料:700k
合計収入:約8,000k
•主要支出:
・観光警備(夜間巡回・直轄隊):1,600k
・温泉管理(配管・炭管理・維持費):2,000k
・宿泊施設補助/旅籠建設支援:1,800k
・祭事費用(冬祭りなど):700k
合計支出:約6,100k
•月次収支:+1,900k
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ロックハルト森林街
(木材と森林資源の拠点)
•人口:5,600
•主要収入:
・伐採材販売(トレント材含む):2,200k
・木炭・薪取引:1,300k
・家具加工・輸出:900k
・森林利用税:400k
合計収入:約4,800k
•主要支出:
・森林警備(魔物討伐・盗伐防止):1,600k
・炭焼き窯維持/燃料費:1,000k
・街道整備(輸送路強化):900k
・伐採所補助/器具更新:400k
合計支出:約3,900k
•月次収支:+900k
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グレインハルト穀倉街
(食糧供給の拠点)
•人口:6,400
•主要収入:
・穀物販売(小麦・大麦・豆):3,200k
・粉加工・保存食:1,400k
・市場取引税:900k
・輸出関税(交易路経由):600k
合計収入:約6,100k
•主要支出:
・農地維持費(水路・水車小屋):1,400k
・穀倉群維持/乾燥炉燃料費:1,200k
・自衛団維持費:800k
・農具更新・種子購入:600k
合計支出:約4,000k
•月次収支:+2,100k
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評価してくれると、とってもとっても嬉しいです!
初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




