街へ昇格
3年の月日は、驚くほど速く過ぎていった。
かつて辺境の寒村と呼ばれた領地は、今や人の往来でにぎわう拠点となっている。
朝、広場に立った俺は深呼吸し、胸に満ちる空気を感じた。
家々の屋根からは白い煙が立ち、鍛冶場からは鉄を打つ音が響く。
市場には商人と旅人が集まり、子どもたちの笑い声が絶えなかった。
「すごいわね、トリス」
隣でアリアが微笑む。矢筒を背負ったまま、胸を張るその姿はすっかり領の守護者だ。
「治安統制、記録は万全。……ここまで来れたのは奇跡じゃないわ」
ミーナは分厚い帳簿を抱えながら、目を細めた。だが口元には誇らしい笑みがある。
「奇跡じゃなくて努力だろ」
カインが斧を肩に担ぎ、鍛えた腕を見せる。
その隣でフレイアが豪快に笑った。
「そうよ! 火も鉄も人の心も、みんなあんたが打ち鍛えたの!」
胸の奥が熱くなる。
3年前、俺が誓ったのは“街をつくる”こと。
そして今――王都からの勅命が届いた。
「領地ハルトンおよび周辺一帯を正式に『街』として認める」
広場に響く伝令の声に、住民たちが歓声を上げる。
涙ぐむ老人、抱き合う母子、拳を突き上げる若者。
全ての喜びがひとつに溶け合う。
「やったな、トリス!」
カインが豪快に背中を叩き、アリアはこっそりと袖を引いた。
「……約束、覚えてる? 仲間以上でも、いいって言ったこと」
「ふふ。帳簿と心、まだ預けっぱなしだからね」
ミーナも悪戯っぽく微笑む。
頬が熱くなる。だが、もう逃げない。
「……ああ。これからもずっと一緒に、街を育てよう」
アリアは小さく頷き、ミーナは優しく微笑む。
そしてフレイアが火のような声で叫んだ。
「これで終わりじゃないわ! ここからが本当の鍛え時よ!」
その言葉に、みんなが笑った。
ただの孤児だった少年は、今や一つの街を背負う領主となった。
仲間と共に、未来を拓くために。
昇格の鐘が鳴り響く。
その音は、街の始まりを告げる祝福の音だった。
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初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。




