世界で一番売れているハンバーガーとコーラは世界一うまいわけではない、なろうランキングも同じで一番面白いというわけではない
さて、「このハンバーガーとコーラは世界で一番売れている、だから世界で一番美味いに決まってるだろ」というのは割と広まっている言葉ですが、これは正しいようでいて正しくはないのですね。
正確に言えば「このハンバーガーとコーラは世界で一番売れている、だから世界で一番まずいとは思われない受け入れられやすい味に決まってるだろ」なら正しいわけです。
これを弁当に置き換えてみれば「こののり弁は日本で一番売れている、だから日本で一番うまい味に決まってるだろ」ではなく「こののり弁は日本で一番売れている、だから日本で一番多くの購入者に一番コスパがよく味も受け入れられやすいと考えているに決まってるだろ」なら正しいというわけです。
まあそれ以前として実際の所、世界各地におけるハンバーガーやコーラの味は同一でなく、国や地域ごとに味の趣向の違いが反映されていたりもするわけで、ハンバーガーやポテトなどは全体的に日本のほうがしょっぱくて小さく、アメリカのほうが油っぽい上にでかいなどがあるようですが。
これ自体は売上げでしかものをはかれない人間を揶揄する目的で書いていたり、引用される事が多いわけなので、そもそも、もとの言葉自体が正しいと思って作者さんは書いていないんでしょうけどね。
コンビニのおにぎりもたくさん新しい種類が開発されても結局ツナマヨと焼き鮭を双璧として梅・昆布・たらこ・明太子なんかの定番が一番売れるというのは、これらが一番美味しいと言うより一番無難な味という人が多いということでしょう。
食べるためにかかるコストを考えないのであれば寿司・天ぷら・ステーキ・焼き肉などのほうが美味いという人も多いでしょうけどこの場合は比較対象として適当ではないでしょうね。
なろうのランキング作品というのも結局はそういうことで、読者にとって最高に面白いかと言うより最低限暇つぶしとして読むのを許容できる人数が多い作品ということだと思います。
味覚や嗜好を分析した末に、それを逆算して工学的に売上が立ちやすい食品・作品を作り上げるのは商売としては正しいわけですが、それが必ずしも誰にとっても一番美味しいとか一番面白いとはならないわけですね。
ランキング上位の作品が面白いと思えない読者が増えていくのは良い傾向とも思えませんが、ニコニコ動画のボーカロイド作品が最初は一枚絵と歌があればよかったのが、アニメーションが必須になっていきそれに対応できる製作者がどんどんいなくなって廃れてしまったように、読者に求められる作品の質や独創性が過剰に上がってそれに対応できないと筆を折る作者が増えるのもいいことではないかなと言う気がします。
とは言えハイファンタジーなんかは過当競争でそうなりつつある気もしますけど。




