冒険者ギルドの元になったのは傭兵ギルドと賞金稼ぎじゃないかな
ファンタジー小説によくでてくる冒険者ギルドですが個人的にこれはヨーロッパの傭兵ギルドとアメリカの西部劇の賞金稼ぎとをあわせたものかなと考えています。
付け加えるなら中世ヨーロッパの私掠許可証ですけど。
レベルとかランクはTRPGやコンピューターゲームの影響でしょう。
一般的な冒険者は冒険者ギルドや冒険者の宿と言われる場所で様々な依頼を受けてそれを解決するために行動しますね
山賊や海賊などの無法者やゴブリンなどの魔物の退治を行ったり、薬草や茸などを採取したり、世界によっては存在する古代文明の遺跡やら地下迷宮を調査したり、貴族の陰謀に巻き込まれたり、殺人事件を解決したりするのが主な依頼ですね。
このあたりはTRPGのD&Dやソード・ワールド。
またはコンピューターゲームのモンスターハンターなどの影響が大きいのでしょう。
では、一般市民よりみたら冒険者はどう見えるのでしょう。
基本的には見合った対価を払えば、危険な依頼でも出せる便利屋というところでしょう。
じゃあそのモデルとなったのはなんなのかというと、個人的には傭兵ギルドと賞金稼ぎかと思っています。
傭兵も賞金稼ぎも現在でも残っていて傭兵は民間軍事会社として。
賞金稼ぎはベイルジャンパー(保釈金踏倒し逃亡犯罪者)や逮捕されていない広域指名手配されている犯罪者を捕まえるバウンティハンターが存在します、流石に現代のアメリカの賞金稼ぎは西武開拓時代とは違ってデッド・オア・アライブ要するに捕まえれば生死問わずではありませんが。
さすがは1日に約2000件、一年で約80万件の誘拐がおきており殺人事件が年間で1万件から2万間も起きている犯罪大国アメリカですね。
一応法治国家であり国家軍以外にも州兵や州警察がある現代のアメリカに賞金稼ぎがいるくらいですので、それよりも警察機構が貧弱なファンタジー世界に賞金稼ぎの制度があってもおかしくありません。
ちなみに日本でも平将門や藤原純友が反乱を起こしたときに朝廷は反乱を鎮圧したものの貴族の位階をあたえるという懸賞をかけて地方豪族に反乱を鎮圧させています。
さて、傭兵ギルドですが中世から19世紀ぐらいまで傭兵とは「国家ではなく民間の組織である傭兵ギルドに属する戦闘員」でした。
基本的にありとあらゆる商売はギルドによって管理・運営され、ギルドに属さずに商売をする事は事実上、不可能であり、傭兵という戦争商売においてもそれは一緒だったのです。
戦争や内紛もしくは群盗のような軍事的な鼓動が必要な事案が発生した時、その地の領主や国王は傭兵ギルドに出兵を依頼し、ギルドから派遣されてきたギルドと契約を交わします。
国とギルドが契約を結んだらギルドは契約に見合った部隊を派遣しの国の師団なり連隊なりに所属して、国軍の指揮下の元に戦うことになります。
要するに軍隊の外注や派遣社員みたいなものですねです。
そのせいで傭兵は危険な前線に優先して回されるので、傭兵の損耗率は非常に高く、危険な職業でした。
ちなみに傭兵の給料は領主などの国庫から、しっかりとした事務手続きの上、傭兵ギルドに渡され、そこから後に個人の手元に届きますし、死んだ場合はもちろん払われません。
それなりに給料は高く14~15世紀に於ける英仏百年戦争の傭兵の月給はフランス軍ではリーヴル・トゥールノワ(おおよそ銀20グラムで6万円程度)で
隊長60
楯持ち15
弩射手長40
騎馬弩射手12
徒歩弩射手8
騎馬弓射手10
徒歩弓射手7
砲手12
砲手手伝い8
槍組長20
槍兵3.5
でした。
隊長なら月収360万円、一番安い槍兵でも月収21万ぐらいですね。
ちなみにこの頃のフランスのパンの値段がおおよそ500円程度でした。
ちなみに傭兵は「金や状況でたやすく裏切る一匹狼」などというイメージがありますが、現実の実際には個人で戦闘に参加する傭兵は居ません。
個人営業の傭兵なんてギルドから圧力をかけられて商売出来ないか、怪しまれて仕事を取れないかのどちらかですし、最低でも何百、何千人と兵力が必要な戦争においてたった一人の傭兵を雇った所で意味が無いので個人の自称傭兵などは門前払いなのです。
また「ならず者」というイメージもありますが、傭兵ギルドにとっての信頼を落とすような行動を取る個人はギルドから排斥されました。
傭兵はギルドから支給された装備を使い、規則だった行動を取り、いざ派兵の命令が下れば命令に従い行動しました。
しかし、戦闘のたびに危険な最前線に送られる劣悪な環境や依頼がないときは給料も得られないためギルドから脱走して盗賊となる者が多かったのは事実です。
傭兵はならず者ではないですが傭兵崩れのならず者は多かったようです。
じゃあなんでそんな危険なことをするんだと言うことになるのですが、例えば農地に向いた場所や産業の少ないスイスのような国では傭兵になって稼ぐしか無いというような実情があったようです。
傭兵ギルドは基本的に国や地方領主といった大きな組織と契約を結ぶのが普通でしたが、時には普通の民間人からも依頼があり、その場合は依頼内容に基づいて派遣する人数を決め、傭兵を現地に出張させ警備や無法者の討伐などを行わせたそうです。
この辺りになると冒険者ギルドと同じような扱いですね。
このあたりを考え合わせると冒険者はならず者とは認識されないが、もと冒険者でならず者に身を落としたものは居たりするだろうと私は思います。
また、冒険者ギルドや冒険者の酒場の原型は西部劇のバウンティハンターが立ち寄るウエスタンサルーンと呼ばれる酒場だと思います。
ウエスタン・サルーンは、開拓時代のアメリカ西部に特有の建物でバー、旅宿、賭博場、ダンスホール、売春宿等の機能を備えた憩いと色々な欲望を満たした場所です、"Saloon"は米語で、"Salon"サロンの綴り間違いだそうです情報交換や物々交換の場として、欠かせないものであり、大平原に、サルーンが一軒出来ると、そのまわりに、馬具屋、雑貨屋、銀行、教会らが次々と集まり、町ができたそうですよ。
また郵便箱が設置されたり、新聞を読めたり、給与支払小切手を換金する場所であるとともに、職業紹介所や組合の集会所になってもいました。
『両開きのウエスタンドア』『複数ある5~6人囲めるテーブルとイス』『バーカウンター』『昼間から酒を飲んだり賭け事に興じている荒くれ者が常にいる』『壁に入られている紙が収入源になる(冒険者ギルドだとクエスト、西部劇だと賞金首)』というのはそっくりだと思うのですね。
サルーンの2階が寝泊まりしたり売春のための部屋としての宿になってるのもそうですね。
でまあ、賞金稼ぎは壁に貼られている賞金首にかけられた懸賞金をみて、そいつがどのあたりいるか情報を収集して、賞金首を捉えるなり殺すなりして、生死問わずの賞金首を警察に突き出せば賞金は警察から払われるというシステムです。
結局のところ冒険者ギルドというのは賞金稼ぎとウェスタンサルーンに傭兵ギルド的な要素をくわえたものではないかと言うのが私の結論だったりします。
そもそも傭兵ギルドや賞金稼ぎがなぜ存在するのかというと、国家に軍隊や治安維持組織を継続して構築できるほどカネがないもしくは自分の懐に入る金を増やすために出したくないというのが実情のようです。
ある程度の武装と戦闘技術などを訓練させるというのは非常にカネがかかりますからね。
ちなみに小説で一番最初に出てきたのはロードス島戦記が1988年、ただしシーフズギルドやスカウトギルドはあるけど冒険者ギルドはなかったかも?
そうするとフォーチュン・クエストが1989年でここに出てくる総合冒険者支援グループが最初かなという感じですね。




