人間や亜人など知性を持つ生物の多数存在するファンタジー世界でなぜ人間はたいてい一番数が多いのか。
異世界ではエルフやドワーフのような人間よりも何らかの優れた特性を持つとされる亜人などの異種族がたくさん存在することが多いです。
ソード・ワールドなどでは人間はその繁殖力の高さにより数の一番多い種族とされていたと思いますが、人間はたいていその寿命に対して成体になるまでの期間は15年以上と比率的に長い割に出産適齢期と思われる期間はおそらく30くらいまでと短いし、身体能力や魔法の能力も大抵はごく一部を除けば低いです。
それに対してエルフやドワーフなどは大抵は人間の倍以上の長寿な種族ですが、成体になるまでの速度は人間と変わらないという設定も少なくないし、ある程度まで成長すると外見の老化も殆ど無いということでおそらく出産適齢期も人間より長いと思われ、大抵は魔力に秀でていたり体が頑健だったりします。
ではなんでそんな環境であるのに人間のほうが数が多いのかと言えば、人間が基本的には弱くて出産適齢期が短い生物で開けた場所に住んでいてゴブリンなどの亜人の脅威や人間同士の争いが多い種族だからこそ、種族としての生存本能を刺激され、子供をたくさんつくろうとするからだろうし、他の異種属はそもそも寿命が長いからこそ増えすぎないように出産の感覚が長くなったり、そもそも子供を作りたいという本能自体が弱いだろうし、性行為以外の楽しいことというものがあるからという気がします。
たとえばエジプトやローマでは、その文化の発展とともに少子傾向が顕著になった事があり、たとえばローマなどは紀元前前二世紀までの指導者階級は、十人もの子を産み育てるのは珍しくなかったが、紀元前一世紀末頃には指導者階級では結婚しない女性がかなり増えて、ローマ帝国の総人口も、紀元前一世紀末頃ころから急激に減少し始めているそうです。
このころは特に上流階級や市民階級の間で出生率が低下し、ローマ全体の人口が減少する中で、ローマの兵士にローマ人以外の人間が増え、皇帝さえもローマ人ではない人物があらわれたりもしています。
ヘリオガバルスこと”ウァリウス・アウィトゥス・バッシアヌス”などは宮殿を売春宿にし、女装して自ら男に体を売っていたとか書かれており、”夫”であるヒエロクレスが激怒してヘリオガバルスを殴ったところ、それを喜んでいたというのですからもう……。
彼はバイでサディストでマゾヒストで女装癖で露出癖などもあったようですが、そういった極端な例を除いても後期のローマの皇帝たちは性的な倒錯にとりつかれたり残虐な行為を好んだりしました。
このころのローマは貧しくて周囲を敵にかこまれていて将来に希望が持てなかったのではなくて、むしろ豊かで強大で、かつてのカルタゴのような大きな危険を感じる敵国もなく、将来の希望などというものをいちいち考えなくても将来は安泰だと思われていたようです。
そして性行為そのものの快楽よりも、たとえば美食や思想哲学の追求、劇場での悲劇の観劇やコロッセオの拳闘士奴隷の観戦などの様々な娯楽的楽しみもあり、男女が生涯独身を通したとて、家事は奴隷たちがしてくれ、奴隷頭が奴隷の行動を全て管理していたのでその管理そのものを考えるする必要すらなく、外敵内乱の多い時代ならば、結婚による縁戚関係の強化で自分の身を守る必要もあったが平和な時代ではその必要さえ無かったのですね。
それを考えると森の奥にこもっているエルフや大きな洞窟の奥にいるドワーフというのは基本的にはあまり大きな争いに関わることがなく、身内同士での争いも行わないため、どちらも平和で将来の不安を考える必要もなく、エルフなどは思索や魔法の研究を好み、ドワーフはものづくりに熱中するというということなどもあわせて、性行為を行おうとする必要性をあまり感じさせない理由になりそうです。
現実に地球に存在する生物ではホッキョククジラの寿命は200年程度で、90歳の雌がなおも繁殖可能であるそうで、メスは3-4年に一度、13-14ヶ月間の妊娠期間の後に出産するそうですが、ホッキョククジラの雌は子供を産めるのは80歳から90歳位までで閉経した後は更年期障害があると考えられているそうで。
また既知の脊椎動物としては最も長寿で500年以上生きる個体もいるというニシオンデンザメは性成熟には約150年かかると推定されているそうです。
となるとエルフやドワーフのように長寿な種族はやはり性成熟も遅く、エルフなら150歳から200歳にならないと子供は作れないとかになりそうですし、また歳をとってもその外見はあまり変化がなくても、結局ある程度長生きすると、多分エルフなら500歳以上とかでしょうけど、ある程度の年齢になると閉経して出産が不可能になったりして、高齢出産はできない可能性も高そうです。
さらに150年間もの長い間子育てをするとなるとそれだけで疲れ果ててしまいそうな気もしますしその数も増えないのはわかる気もしますね。
獣人の場合は幼少時の外敵からの攻撃や死亡率の高さや病死する割合が大きそうな気がします。
生まれたばかりのときの子猫とか小熊って結構死にやすのですよね。




