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水源の過去エッセイまとめ  作者: 水源
2019年5月

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勇者が王様の命令で魔王を退治してハッピーエンドな王道ファンジーが絶滅した理由は、読者が政治や企業の上層部の命令を聞くのがアホらしいと思ってるから

 ”ラノベ初期のファンタジーブーム作品と現在の異世界作品の最大の差は何か?それは権力者の主人公に対する態度ではないか”というエッセイを私は以前書いています。


 ”そして なろうでバッドエンドや悲恋が受け入れられないのは、読者は登場人物の成功を求めてるから、というか鬱展開や失恋要素を必要としてないから”というエッセイで”ハッピーエンドを求める割にはハイファンタジー系で勇者が魔王を退治してハッピーエンドなんていう王道ファンジーも絶滅でしょ。”という感想をいただきましたが、これは失われた30年間とその前のバブル期までの社会や会社に対しての国民や平社員の見方の差がそのまま出ているのだと思います。


 バブルまではは”いい会社に入って上の命令に従ってバリばり働けば幸せになれる”というものだったのが、現在はバイトにまで”経営者目線を持って働いてほしい”などと言う割には給料も上がらず、いつリストラされるかもわかりません。


 しかし、命令をする方はすでに高い給料をもらってますから、”なんでお前の高い給料のために俺が苦労しなきゃなんないんだよ、給料も上がらないのに馬鹿らしい”と思ってる人も多いでしょう。


 そしてラノベ初期において主人公は英雄と呼ばれるような特別な存在で高い能力を持っているがそれ相応に世界を救うようなとても大変な使命をクリアしないといけないような話も多かったですが、1998年電撃文庫のブギーポップは笑わないや富士見ファンタジアのフルメタルパニックなどがでてきた頃にはファンタジーはほぼ絶滅状態というか全く売れないようになっていたのですが、この時期は絶対潰れないと言われていた大手証券会社や銀行すら潰れて、大手企業の残業時間の記録上の上限にに抑制がかかり、給料も上がらず、新規採用も抑制され、リストラも横行していました。


 もちろん人気シリーズが長く続き過ぎてそれまで高校生だった読者が卒業し社会人になってラノベを読まなくなっていったりしたのもあるとは思いますが、私の好きな冴木忍さんの作品の主人公はやはりバブル期以降の世相では受け入れられなくなっていたのでしょう。


 そしてその後、一度現代異能バトルが流行したときは主人公が異能を持っていることは努力とは関係なく身についたものであったり、学園物が流行して冴えない主人公がモテるのが当たり前になったりして、異世界ファンタジーでは、物理法則や法律のような面倒な存在にも王族などの命令にも縛られないし、異世界人を無能にして主人公アゲを行うのも楽だからと言うことなのでしょう。


 現在の日本社会は無能な経営陣が幅を利かせているというのが、異世界の王族などに対しての表現で無能さ姑息さが全面に押し出されることも多い理由ではないかと。


 どうせ頑張っても意味ないじゃんというのは本来はソ連崩壊を導いたもっとも大きな原因である共産主義的な計画経済を思い浮かべますが、本来レーニンは革命直後に、革命政権が生き残るかどうか、それが社会主義の道に開いていくかどうかを最終的に決定、それを決定する最大の要素は、労働生産性だと述べているのですが。


 まだ帝国ロシアと戦っている最中に、鉄道労働者の一部が、こういう時代だから我々が頑張れねばということで土曜日には自発的にただで働きいたりしたのですが、レーニンはこれを見て、労働者の自発性があってこそはじめて労働生産性が向上すると評価したそうです。


 どんなに機械設備がすぐれていても、どんなに労働組織・管理組織が近代的になっても、労働者のやる気がなければ生産性の向上はありえないと彼は理解していたはずなのです


 しかし、ソ連ではスタハーノフやオリンピックの金メダリストのような超エリートは非常に優遇され、具体的にはめちゃくちゃ高い賃金とボーナス、別荘、休暇、配給の特権的供与などがあったわけですが、極度に制限されたごく一部のエリートだけがそれを享受して、その他の労働者は多少頑張っても賃金は頑張らない人間と同じの悪平等となり、それが、一般の労働者には可能な限り手を抜いて働いたほうがいいどうせ頑張っても頑張らなくても賃金は一緒だということになってしまったわけです。


 結局の所ソ連における経済はレーニンの目指す所と全く反対の方向へ行ってしまったわけで、末期のゴルバチョフにしてもブレジネフにしても生産性向上を目指しましたが、結局失敗してソ連は崩壊したわけです。


 そしてスターリンが行った計画経済は、こまごまとした日用品まで計画経済にいれてしまい、市場の需要供給の変化というものを無視して生産計画を強行しました。


 スターリンの計画経済は計画経済ではなく、統制経済、切符配給制度であると言われる所以です。


 本来ならば需要と供給を重視する必要がありますが、それをせず何から何まで机上の空論で縦割りの組織が横同士の連絡も連携もシナイでそんなこと続ければ当然失敗し、国民生活の向上が後回しにされていたのですね。


 そしてソ連では統計の改ざんはものすごくひどいレベルで行われており、ゴルバチョフが大統領に就任したときには、ソ連の国家財政は大赤字でしたが、統計上は全部黒字になっていました。


 そして、労働生産性の低さと計画経済の失敗で補助金を出している国有企業は大赤字でとくに農業部門はめちゃくちゃ赤字でした。


 そして社会主義においては優先されていると思われていた教育や社会福祉の水準の低さは目を覆うばかりで、国家予算の配分の中で、まず重工業、軍事部門があり、教育とか福祉は一番後回しだったのですね。


 で、これって現在の日本も同じことになってるんですが、本当この先どうなることやらですから偉い人の命令で頑張って世界を救うという話が主流として復活することはないでしょうね。

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