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水源の過去エッセイまとめ  作者: 水源
2019年4月

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基本的に悪役が極悪非道の侵略者なのは強い主人公に不快感を持たせないため

 ドラゴンボールの悪役は基本的に極悪非道の侵略者であったという別のエッセイの感想から思いますが、確かに強くて無敵な主人公に対して不快感を感じるようになるのは、弱者に対して見下した態度を取ったり、ただの弱い者いじめになってしまったように、読者に感じられることからなのかなと、村田版ワンパンマンやオーバーロードなどを読んでいて思っていたことがありました。


 元々ワンパンマンの敵自体は単純に極悪非道な存在というわけではなくて、最初に戦う相手も人類そのものが地球環境を破壊する問題の存在であるから生み出されたワクチンマンだったりするのですが、アニメのザンボット3やトップを狙えでも人類の存在やその文明に対する精神性そのものが問題なので目覚めたガイゾックやSTMCといった敵と戦っていたりするのでそれ自体は問題ではないのでしょう。


 基本的に読者は人間ですからね。


 で、なんで最近のワンパンマンのサイタマが個人的に不快に感じたかというと、サイタマが格闘大会に参加して、現れた怪人に最強の格闘家であるスイリューがボコボコにされて、そのスイリューをボコボコにした怪人をサイタマが倒したのはいいけど、”超一流の格闘家と戦ってみても何もえられるものがなかった”みたいなセリフなどや、その時のサイタマの態度が明らかに格闘家を見下した感じに私には思えたからですね。


 もっともサイタマは強すぎるのでキングや無免ライダーとボロスやガロウの強さの差すらわからないのではないかという気がしてきましたが。


 深海王編では弱いのがわかっているけど敵に立ち向かっていった無免ライダーをナイスファイトといって褒めた、深海王を倒した後も倒せたのは他のヒーローが弱らせたからではないかという言葉に対してそれに乗っかって倒れたヒーローたちを持ち上げていた感じがしていたのですけどね。


 また深海王のようなどう考えても人間と相容れない、しかも弱者にも容赦しない悪役なら、サイタマがワンパンで倒してスッキリしますが、ガロウのように過去のいじめられた経験から自分はヒーローになれないという理由で絶対悪を目指すけど結局、悪になりきれずS級ヒーロはそのために誰も死なずにすんでガロウも死ななかったというのは、ワンパンマンの読者的にはなんか違うだったんじゃないかなと。


 元々のONE氏の原作でもガロウ編はS級ヒーローたちが噛ませ過ぎて、一番魅力があるのは悪役のガロウだった感じでしたが、村田版はさらに迷走してる感じがします。


 原作がほとんど更新されなくなってるのでガロウ編の引き伸ばしに走るのも仕方ないのでしょうけどね。


 これはオーバーロードにも感じることで最初の陽光聖典のニグンとの戦いとか、クレマンティーヌとの戦いでは明らかに彼や彼女が悪役であったからこそ、彼らの全力の攻撃を受け止めて、そこから力の差を見せつけて倒す事に読者はカタルシスを感じたのだと思いますが、リザードマンをコキュートスのスキルに関しての実験のためだけに蹂躙したり、帝国と王国の戦いにおいて王国の兵士を蹂躙したり、トロールの剣闘士であるゴ・ギンと戦うあたりだと、本当にただのナメプによる弱い者いじめにしか見えなくなっているように思えます。


 そして、最近のジャンプ系漫画などを見ても、読者は努力する主人公や主人公が苦戦すること自体が嫌いなわけじゃない気がします。


 ドラゴンクエストダイの大冒険はダイと言う、勇者であり竜の血脈という才能のある王道血統主人公と、ポップという天才的な才能はない努力型の魔法使いという両名が主人公的存在だったと言えそうですがどちらが魅力的かといえば単純には言えない気がしますしね。


 ダイの大冒険の大魔王バーンは明らかな悪役なのですがDQ4のピサロのように人間の行動が彼を人間を滅ぼすように決意をさせたのに(エルビルプリーストの陰謀もありますけど)結局は勇者一行により倒されることになると、もとはろくでもない人間の行動が原因なのになんだかなという感じはします。


 ただし主人公が読者にとって納得の行かない下手な負け方や苦戦のしかたをするのは嫌なのでしょう。


 山を作るためにと無双キャラが負けそうになる場合は大抵”普通に戦えば勝てる相手なのに、何か無理矢理な展開や設定で負けそうになる、例えば取ってつけたような設定で人質を取られて戦えない”とかみたいな事が多くそれが読者のストレスになって非難される事が多いですけどね。


 その他だと格下に見える相手に苦戦したりあっさり負けるとか、敵が強くても信念などが感じられない小悪党的な性格の悪い嫌味な敵キャラに負けるなども非難の対象でしょうか。


 聖闘士星矢の悪役キャラの代表と言えるキャンサーのデスマスクのようないかにも小物なキャラに負けたりとかしたらやっぱり非難轟々でしょう。


 個人的にはアイシールド21なんかはチームの負けさせ方のとてもうまい漫画だと思います。


 そして時代劇の暴れん坊将軍などは無双キャラの典型だと思いますけど、権力も武力も持っていてもそれが弱者を救うことに向けられているように見えるから不快に感じないのでしょうね。


 最も幕臣や奉行も度々悪事に加担していたりすることを考えるとそもそもが上様の政治力に問題がある、もしくは意図的なマッチポンプなのではないかという気もしますけど。


 そして時代劇の傑作である銭形平次がいまいち現代では受けないのは銭形平次が岡っ引きであるため武士などの犯罪には対処できないというのが歯がゆいからでしょうね。


 悪役でも好敵手(ライバル)という意味で魅力的というと私はロードス島戦記のアシュラムを思い浮かべますが、パーンに負けた後でクリスタニアに渡ってベルディアという国を興したという話とかもできるくらいなので彼にはやはり信念とそれに伴う魅力がありますね。


 北斗の拳の悪役キャラもそれぞれ信念があるからかっこいいと思います、一部は除きますが。


 逆にドラゴンボールのフリーザは倒されるべきラスボスで典型的な侵略者的悪役だったので、それに苦戦しながらも最終的に戦って倒したのが良かったので、人造人間編での復活とトランクスによる即座の退場は蛇足だったのではないかと思います。


 ジョジョの奇妙な冒険のボスたちも基本的に吐き気をもよおす邪悪でしかも仲間が人か死ぬくらい強いくて苦戦するけど、最後にはちゃんと主人公がぶっ倒すのがいいのでしょう。


 ISインフィニットストラトスはそのあたりの悪役ポジに絶対悪的にもライバル的にも魅力がないのがバトルパートがつまらない原因かな?


 逆に俺、ツインテールになります。のエレメリアンは敵にもちゃんと信念があるし、しかも絶対に共存は出来ない存在なのがバトルを盛り上げる要素だと思います。

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