人工知能は恐怖も感動しない、なので芸術を理解しないし、長編小説も書けず作曲もできない
さて、人工知能に音楽を作らせる研究はそれなりに進んでいて、例えばショパンの曲のデータを大量に読み込ませて作らせると確かにショパンぽい曲を曲として書き出すそうです。
しかしながら決定的な問題があり、AIは1つの曲をきちんと構成してきちんと終わらせることはできないそうで、作曲に関してどのような構成にして、どこで終わらせるかという着地点をAIは判断できないので、今の所データの元になった作曲家の曲に似たようなものを延々とかき続けるだけなようです。
また「星新一賞」の一次審査を通過した星新一さんや小松左京さんの小説データを使った「作家ですのよ」や、マサチューセッツ工科大学が開発したホラー小説を書く「Shelley」などが小説を書くAIとして存在するとされますが、現状ではそれらしい、作家ですのよなら星新一さんっぽい、Shelleyならなんとなくホラーっぽい短文を生成することができるというレベルのようで、どちらも長編小説を書くだけの能力はないようです。
つまるところ現状のところAIはある程度短いものであればそれっぽい曲をや文章を書き出すことはできるが、曲や文章の構成を考えて良い物、面白いものの構成を考えて完成させる能力はないのですね。
これはAIが発達しても正確な天気予報や地震予知が出来ないのとも似ていますが原因自体はちょっと違うと思います。
ツギクルはAIでの分析を行ってますがだからといって、今の所はめちゃくちゃ面白いと書籍化作品が超ヒットしてるわけではないのはAIにはブレインはあってもハートがないからでしょう。
ブレインはあってもハートはないって一体何のこっちゃと思うかもしれませんが、コレはオズの魔法使いのブレインのないカカシと、ハートのないブリキのの木こりからとっていますが、ブレインは理屈・理性による判断、ハートは本能的・感情的な判断だとおもいます。
人間の脳・頭・精神と言われるものは実際はどのように機能しているかいまだに完全にはわかっていないところがありますが(人間の空腹の判断や精神状態には腸内細菌も関係するようなので)、脊椎動物の脳は、どの生物種でも基本構造は同じで、おおよそ脳幹などの古皮質と大脳の基底核と外套の新皮質から成りたちます。
魚類・両生類は、古皮質がかなりの部分をしめ、鳥類・哺乳類は基底核が大きくなり、霊長類は外套の部分が大きくなり、人間は外套が大脳の90%以上をも占めるようになります。
古皮質は瞬間的な反射行動や、心臓やエラ、肺その他内臓の正常な動作や恒温動物だと体温調節、食べ物や水の補給、交尾といった個体としての生命維持に関わる本能的な部分を司る部分ですね。
特徴として、基本的にこの古皮質はあくまでも個体としての生存を優先するので自己中心的であり、嫌悪系が刺激されたときには戦うかor逃げるを優先にし基本的に行動選択は現状維持を選択します。
基底核は情動を司る部分で、仲間を意識して強く反応するようにできていますが、これはつがいの相手を見つけたり、群れの中でうまくやっていくための部分ですね。
一部の魚類、絶滅した小型恐竜、鳥類や哺乳類はパートナーを獲得することや群れでいることが大事なのでこの部分が発達したようです。
外套は思考や長期的大局的な観点から見た論理的選択能力や記憶による学習を司っています。
そしてAIが持っているのはこの中では外套の部分だけなのです。
AIは水がないから渇き死ぬすることもなく、外敵による恐怖も知りません、糖やアミノ酸、脂肪を得ることによる生存確率の上昇もありません
なので恐怖もなければ喜びという感情もないのでAIはホラー小説の面白さを理解できないのです。
これは作曲も同じで人間は好む音と不快に思う音があるのですが例えば、
・低い音域から高い音域への変化
・小さな音から大きな音への変化
・単純な音色から複雑な音色への変化
・一つの楽器から多くの楽器での演奏への変化
・ゆっくりとしたリズムから速いリズムへの変化
などにより、安心→注意→不安→緊張→安心といったことが起こって音楽というのは人間を感動させるのですね。
ヒーリングミュージックを聞くと安心したり、ホラー映画的なSEなどを聞くと緊張状態になったりするのも同じことです。
ですので、AIは本能的にそれらを感じ取ることができないので作曲も長編小説を書くこともできないのです。
ただし、人間の書いたものをより効率的に良くするということはできるのでAIと小説家や作曲家は共存することはできるのではないかと思います。
AIが生物的本能的な報酬系嫌悪系までを情報から判断できるようになればまた状況は変わるでしょうが、そうなったAIには機械的な公平な判断能力や作業の継続能力が失われるでしょうね。
簡単に言えば感情を持ったAIは批判を浴びたら筆を折るってことです。




