小説は漫画に勝てない?アニメも実写映画もゲームなども含めて得意分野と不得意分野があるだけだと思うよ
ツイッターなどで散見される「小説は漫画に勝てない」とか「小説と漫画はどっちが優れている?」などの意見ですが、個人的にはどの媒体にも得意な分野と不得意な分野があるだけだとおもいます。
代表的な物語の表現手法の要素を分割してみますね。
・実写映像(俳優・背景セット・効果音・音楽)
・アニメ(色のついた架空の動く映像・声優・効果音・音楽・文字)
・ゲーム(文字・色のついた架空の静止画や装画や操作できるキャラクターなど・声優・音楽・効果音)
・漫画 (静止画、文字)
・小説 (文字・挿絵)
明らかに小説だと不利なのはロボット物ですがこれはアニメが一番強いでしょう。
どういう外観のロボットがどういう行動をとってその結果どうなったかといったものをSE付きの映像で見ることですぐさま理解できるわけですが、逆に小説だとそういった情報を細かく載せても逆に理解できなくなってしまいますからね。
ガンダムなんかのノベライズはアニメがもとなのでロボットの名前が出れば、あああれかとわかるわけですが、最初から小説だとどういうロボットが何をしてるのかを理解しやすく書くのはかなり難しいです。
ゲームもアーマードコアやEXVSのようなロボットアクションやギレンの野望のようなSLGがあるので結構相性が良いかも。
ロボットを自分で操作して操縦できる気分になれるのはゲームならではの長所でしょうね。
バトルは漫画が一番強いのかな?
ロボほどに細かい外観の差などは重要でないというか、バトル漫画の場合は人物などがデフォルメされて攻撃方法なども違う場合が多く、区別しやすいので、細かい差を描写する必要があまりないからかもしれません。
後は擬音を使いやすいのは漫画だと思いますし、だから”キンキンキン”が炎上したというのもあるんでしょう。
ゲームでは対戦格闘が一世を風靡しましたし、ゲームとの相性もよいのでしょう
また、漫画やアニメ、ゲームは”一目見ただけで、こういうキャラは典型的なキャラクターモデルの、こういう性格や役割であるといった、ある種の決めつけを最大限に利用していたりします。
たとえば”ゴブリン””オーク””ツンデレ””メイド””委員長””女騎士”です、と言う外見と名前だけでも詳細な省略してどんな性格や役割なのかわかるようにお話を進めるというもので、これはラノベのテンプレキャラクターも同じなのですよね。
ホラーに関してはスプラッタ的とかなにかに襲われる系なものは実写映画が一番でしょう。
アニメや漫画だとどうしても現実味が薄れてしまい、怖さが実写映画よりも薄れてしまうように思います。
ゲームの場合は敵が倒せると怖さが半減してしまうのはバイオハザードシリーズやクロックタワー3をみればわかるのですが零シリーズやサイレンのようなそういった要素をうまく使ったゲームもありますね。
Anotherなんかはアニメではなく実写化したほうが怖かった気もしますが、原作がある場合は演じる俳優さんによっては登場人物のイメージが壊れる可能性もあるのが難しい所ではありますね。
そしてエイリアンや遊星からの物体Xなどは実写だからこそ怖いのではないかと。
あとホラーは効果音の存在もでかいですね。
そしてゲームで強いのは意外と男性向け恋愛かな?
マルチエンディングで自分の好みのヒロインを選べたり、ソシャゲのようにもともとたくさんいるヒロインの中から自分の好みのヒロインを見つけ、しかも細かい設定は自分で付け足せるられるのは意外と強いんじゃないかと、逆に言えば他のヒロインはおまけになってしまう面もありますけど。
RPGなんかはストーリーが一本道になってしまいやすいし、ヒロインの誰と結ばれるとかも結果が固定されがちなので、そういう面では強みが意外とない気がしますが。
これはファイナルファンタジー7のエアリスの例が一番わかり易いかな。
で、小説の強みがあるジャンルがあるのは何かと言うと、表現の曖昧さを活かせるジャンル、具体的にはミステリとクトゥルフ神話のように視認することではなく想像することで恐怖が呼び起こされるタイプのジャンルだと思います。
叙述トリックは漫画やアニメでやるとどうしても、犯人が金田一少年の事件簿や名探偵コナンのような黒タイツの人物になってしまいますからね。
後、小説は小説らしい描写というものをうまく使うのも大事なのかな?
”常に倍する慎重さと懐疑的な見地で処理判断した挙句、絶望と言う名の鬼子が淡い希望のヴェールを引き裂いてまがまがしい産声を上げるのを聞いた”
”刹那、一瞬にして漂白された風景を背に、死神がマントを脱ぎ捨てて巨大な鎌を振りかざすその姿を彼等は幻視した”
これは銀河英雄伝説の中の描写ですが、アニメや漫画ではこれを忠実に表現するのは結構難しいかなと、まあ銀英伝アニメは傑作ですけど。
あと、オーバーロード、幼女戦記、ゲーマーズ、俺、ツインテールになります。などの作品の小説としての強みは実は勘違い要素にあるのだと思います。
そして漫画はまだともかくアニメになってしまうと、そういった勘違い要素に違和感が大きくなってしまう気がするのですよね。
結局の所は小説というか文字という媒体は何かをはっきり伝えるのではなく、逆にその曖昧さを活かし、ふんわりとしてそれっぽい何かを伝えることに向いているのだとおもうので、本来はそういうジャンルで勝負するべきなのでしょう。
ただ、学園恋愛ラノベはエロゲギャルゲ、異能バトルは漫画を文章に落とし込んだもので、ラノベ的なそれを合体させたような異世界転生バトル&ハーレムというのは本来は文字より漫画などのほうが強いジャンルなのだとは思います。
ラノベやなろうはわかりやすさ優先ということもあって、小説だからこそできるふわっとした描写をあまり用いていないのは事実だと思いますしね。
あと、小説の最大のメリットは漫画やアニメ、映画などに比べて始めるために必要な機材や知識、手先の器用さによるデッサン力などの要素が少ないので始めやすい、始めやすいからこそ才能を持つ人間がその分野に加わる可能性が高いというのが実は最大のメリットかなと。
なろうやカクヨムが活発なのも文字だからこそ参入の障壁が低いというのはあると思います。
無論、逆説的にいえば漫画やイラスト、動画作成などは始める人が少なく、しかも見た目で作者の技量の差がはっきり出るその分、自分でも評価基準がわかりやすいというメリットがあるとも言えますけどね。




