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水源の過去エッセイまとめ  作者: 水源
2019年3月

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紙の小説がコスパの良い娯楽だったのはもはや過去のこと

 さて、ネットが普及する前だと「小説ほど安上がりでコスパのいい娯楽はない」と言えたと思います。


 ゲームはソフトも本体も結構な値段がしましたし、映画も結構な値段がする上に映画館まで行かないといけなかったですし、TRPG等は基本コストは安いですがある程度の決まったメンバーで人数が揃って定期的に集まれないといけないというのは結構きつかったりします、そしてTRPGに取って代わったTCGはコストを掛けないと勝てないと言う代物でした。


 その点で小説は一人でも問題なく楽しめ、文庫なら500円から700円位、新書でも1000円をチョット超えるくらいでしたから高校生の小遣いでも普通に買えましたし、文庫ならばカバンに入れて持ち歩きをしても殆ど邪魔にならないと言う利便性がありました。


 しかし、スマホが普及した今はニコニコ動画やYouTubeで無料でも見れる面白い動画などが増えたうえに、月500円とかでいくらでもテレビ番組や映画やスポーツやアニメや海外ドラマが見放題だったり、基本無料のソシャゲもありますから、値段でも持ち歩きの利便性でも小説のコスパの優位性はなくなってしまいました。


 さらに、逆説的に楽しむために時間が必要であるということは、時間的なコスパが悪いと考えられるようになってきたようにも思います。


 漫画なら一冊読み終わるのに30分程度ですが、小説なら2時間ぐらいかかります。


 値段が同じくらいならば小説のほうがより長い時間楽しめるので昔は得と考えられていたものが、小説は2時間かけないと楽しめないが、漫画なら30分で済むのでコスパがいいと言う風に考えられるようになってきたのではないかなと。


 ゲームでも時間がかかるRPGやSRPGが下火なのはプレイ時間がかかりすぎると最後までやってる隙がないというのもあるのではないかと思います。


 まあシナリオやシステムが似たようなものばかりになってしまって飽きられたとかもありそうですけど。


 そういう点でなろうなどの無料WEBサイトは出版社的には現状書籍化作品の原石を探す場所として認識されているっぽいけど、結局無料で有料の書籍と大差ないレベルの作品も読めるなら本を買う必要ないやという方向へ本を買っていたユーザーも進んでいきそうな気もするのですよね。


 以前にエッセイで書いた文芸春秋社長の文庫は借りずに買ってください、無料で貸し出すのは文庫の売り上げに少なからぬ影響があるのではないかと言う訴えは現代ではその他の無料で持ち運びが簡単な娯楽の存在を無視してるのではないかなと思ったりするのです。


 無論無料のなろうで興味を持って書籍を買うヒトもいないとは限りませんけど、無料であるのとカネがかかるの間のハードルは決して低くないのではないかなと思います。

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