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水源の過去エッセイまとめ  作者: 水源
2019年2月

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スマホの普及により文学とゲームやアニメなどの立ち位置は逆転しているのだろう。

 さて今から30年くらい前は学校を卒業して社会人になっても、ゲームや漫画、アニメを趣味にしている人間はオタクとして社会の落伍者、日陰者のような扱いをされていました。


 このあたりはある程度の年齢の人は宮崎勤元死刑囚による東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の影響でオタクやホラーマニアは現実と空想・妄想の区別がつかない犯罪者予備軍のような扱いをされていたことを覚えてる方もいるでしょう。


 まだまだ暴力的なゲームなどは犯罪者を生むような言説はマスコミでは根強い感じですけど、2018年に起こった新幹線内殺傷事件の加害者は「罪と罰」「楢山節考」「マクベス」などを読んでいたけど文学を読むと犯罪に走るとは言いませんね。


 マスコミは自分の都合のいいようなことしか言いませんから仕方ありませんが。


 一方で読書とか映画鑑賞とか、音楽鑑賞とかという趣味は世間一般に通用する立派な趣味で履歴書などに書いておくには便利な趣味だった感じがしました。


 しかしながらスマホの普及とそれに付随するスマホのアニメの視聴サービスや電子書籍の漫画やソシャゲによりアニメ、漫画、ゲームはマニアでない一般人でも普通に触れるものとなっているのに対し、小説を読んだり映画館で映画を見たりするのはそれが好きなマニアだけという感じになってしまい現在ではお互いの立ち位置は逆転してしまった気がします。


 パソコンを使ったネットコミュニケーションもパソコン自体が一部のマニアが使うものであった。パソコン通信もまだまだ普及には程遠いものであったのが、ADSLなどのインターネット回線の普及やパソコンがエクセルやワードなどを使って仕事場でも普通に使われるようになったことからパソコンを使うのはパソコンオタクだけでなくなっているのとにていますね。


 しかし例えばパソコンのパーツを組み合わせて自作したりするとか、自分でプログラムを組んだりするとかと言うレベルになるとまだまだマニアであると言われるでしょう。


 ゲームもソシャゲはともかくゲーミングパソコンを使ったMMOとかになればマニアのものと思われていそうです。


 尤も最近のラノベやなろう系作品の多くの場合は小説というよりも戯曲もしくは劇文学のような台本を用いた物語を小説っぽくした消費型娯楽作品であって厳密には文芸に含めるべきものでもないのかもしれません。


 ISを読んだツイッター民が”これはね、小説じゃなくて台本って言うんだよ。ライター歴7年超の人の文章としては、とても小説であると擁護できない”というつぶやきがあったりしますが、取り上げられたISの文章はかなりl極端なものであっても、本来の一般文芸では、文章がほとんどセリフしかなく地の文が殆ど無いということはないですし、他の作者の作品とネタがかぶったと思われた時点で文章や文体などにおける作者の個性というもの失ってしまい、アウトという感じになる気がします。


 懐かしのSFでも小松左京さんと筒井康隆さんと新井素子さんと笹本祐一さんと高千穂遙さんなどでは皆個性というか文章の癖と言うようなものが明らかに違うように私は思うわけです。


 しかし、シチュエーションがかぶることが多い仮想戦記のあたりからそれが崩れ、特に学園戦闘ハーレムラノベや謎部活が流行した以降のラノベやなろう系作品はむしろ作者の個性は特に必要なく他作品とシチュエーションや文体などがある程度被っていながらも何かしらの要素が違うことで、その作品がどういうシュチュエーションなのかが理解できるようになったためある意味安心して読めるのでしょうが、故に読者は作者につくのではなく作品へつくようになってしまったのでしょうね。


 ラノベが戯曲的な文章になった理由はいくつかあると思いますが、TRPGのリプレイを小説にしたり、エロゲやギャルゲのシナリオをまろやかにした感じだったり、元々は台本形式作品も多かった二次創作の作者だったにじファンの作者がオリ主二次創作からなろうテンプレに移ったことなどがあるのかなと、思います。


 そしてラノベでない文学作品は特にその傾向が強いのではないかと思いますが、文章を読んで脳裏でその情景を組み立てるというのはかなり時間もかかり大変であるため、直接視覚でイメージできる漫画やアニメがマニアのものでなくなったのとは逆に文学というものがマニア化してしまったのも仕方ないのでしょう。


 ビブリオマニアなら短時間で何冊かの小説を読破できるとしても、一般の人には本を読むという行為自体が時間もかかるし、その面白さが理解しづらくなって、そもそも敷居の高いものになってきているのでしょう。


 後、娯楽としてのラインやTwitterなどのSNSやソシャゲ等は始めるのも終わらせるのもユーザーの自由だけど本と言うのは始まりから結末までを追うまでに時間がかかってそれを楽しみつつ途中で終わらせると言うのは難しい感じなのかなと言う気もします。


 コンピューターRPGやノベルゲームも楽しむために必要な時間がかかることで敬遠されていて、ミオ次回時間でそこそこ楽しめるほうが現在ではこすとぱふぉーまんすがよいとかんじられるのかなと。


 ラノベやなろう系の作品が早い安い手軽でそこそこうまいインスタント食品やジャンクフードであるなら文芸作品はマナーなどがわからないと恥ずかしいとされる高級なコース料理のようなものかもしれません。


 一般的な評価で言えば高級コース料理のほうが上でしょうけど多くの人がそれを食べたいかとう言えばそうでもないでしょう。


 ラノベのような厳密には文体に個性や芸術性を求める文芸小説ではない、文字で作られた娯楽のための簡易戯曲のような物語という存在を出版社は漫画と文芸の橋渡し役を務められるようにしたいのかとも思いますが、出版社がそういった意図でコミックから文字物語への銅銭としてなろう作品やラノベのコミカライズをしているのかは不明ですね。


 理由はよくわからないけどラノベ原作の漫画は売れてるようだからコミカライズしてるというような感じがしますし、現状では文学のマニア化による読書人口先細りはどんどん進みそうですけど。

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