書籍化の声がかかって最初の打ち合わせで言われたのは”仕事はやめないでください”だった
さて、吉原の話は無事に印刷も終わり見本誌も手元に来て、もうすぐ書店での発売になるはずですが、書籍化の声がかかったのは昨年の11月だったので、私の場合は声がかかってから実際の発売までに一年以上とかなり期間がかかっています。
最もこれは書籍化が新レーベルからだったり、江戸の風俗紹介ということで改稿、校正、監修などの手間がかなりかかっていたのもあると思います。
私の担当編集さんは無職転生や盾の勇者の成り上がりなども担当されていた元MFブックスの堤さんという方で、とても良い方です。
で、最初に堤さんにお会いしたときに言われたのは”会社はやめないでください。”というものだったのですよね。
堤さんの言うところ”アニメ化も決まってる盾の勇者の成り上がりの作者さんクラスなら専業作家でも食べていけるかもしれないけどね”とそのとき言っていたと思います。
基本的になろうの投稿は書くのが好きだからと趣味でやっている私が書籍化の改稿作業ができたのは仕事中の暇な時間にそういった作業ができたところが大きくて、普通に真面目に働いてる状態だと改稿作業中に力尽きてしまっていた気がします。
趣味として好き勝手書くだけでいいのと商品としてきちんとしたものにするために改稿作業をするのは全然違い結構辛いものでもありました。
そして今年はラノベの作品ごとの売上は明らかに落ちてますし、全体の売上も落ちてる感じがします。
書籍化した作品があまりにも売れなかったからとなろうから作品を削除した人や本はそれなりに売れたのに打ち切りになったからとなろうを退会してマグネットとアルファポリスにいった人もいたようです。
私も一巻ではかけなかった鈴蘭や茉莉花姉妹の話も二巻で本にできると良いなとは思うのですが、続きが出るのは売上次第でまだわかりません。
書籍化はあくまでも一つの通過点でしかなく、それで生計を立てていける人はごく僅かなので、書籍化すれば作家家業だけで食べていけると考えないほうが良いのでしょう。
これは歯科医師になるために、歯科大学や大学の歯学部で6年間の教育を受け、、歯科医師国家試験に合格し、歯科医師資格(免許)を取得した後に開業しても必ずしも稼げなくなっていたり、司法試験を合格して弁護士になっても稼げなくなってるのと同様に需要に対して供給が過剰になってるのだとも思います。
大成功している作品はどうしてもは目立ちますけど、7年前くらいに売れてたラノベの作者さんでも現在でも十分売れてるという人は意外と少ないですし、10年前となればさらに減りますからね。
月間で発売されるタイトル自体はその頃に比べてかなり増えてますから、書籍化のハードル自体が下がったと言えますが、書籍化されるタイトルが増えた分全体の作品ごとの売上は減ってるようですし、それこそ水木しげる先生が言っているように専業だと”餓死する覚悟”が必要なのかもしれません。




