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水源の過去エッセイまとめ  作者: 水源
2018年10月

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眼高手低でも良いんじゃない? 創作は技術も個性も両方大事だと思うけど

 眼高手低という言葉があります。


 大雑把に言えば理想は高いものの実力が伴わないことを示す言葉のようです。


 個人的には例えばWEB小説を書く人の理想が高いけど、まだそれに対して技術が追いついていないのは、まだ書き始めたばかりなら、それのどこの何が悪いと思ったりします。


 私も一番最初にここに投降した時は12ポイントのど底辺作家でしたし。


 でまあ、その理想の高さが例えば書籍化してハリーポッターシリーズの世界累計発行で4億5000万部以上売れて、映画化もされるくらい評価されたいとかですと、流石にカイラス山やザンスカール山の登頂計画なみに大変でしょうし、とりあえずアップしたら感想もらいたいなーくらいなら高尾山のハイキングくらいの難易度かなとも思います。


 文字の羅列である小説というのは漫画を書いたりゲームのプログラムを組んだりするよりは一見はるかに簡単に見えますね。


 しかし、だからこそ、WEB投稿サイトに投降しても、その中で頭一つ抜けて、まず読者に読んでもらうのは難しいとも言えます。


 さて、賭ケグルイという漫画があります。


 この作品は実写ドラマやアニメにもなってる作品ですが、基本的な構図は異常にチートな記憶力や判断力などを持つしかし性格的に問題がある主人公の蛇喰夢子が人生がかかったギャンブルをして、一見ピンチに陥り最終的には逆転するというものです。


 これだけ説明するとカイジや咲と言ったギャンブル漫画と同様な内容で、特に斬新なところのない作品に見えますが、毎回違った敵とやる基本的にはオリジナルなギャンブルだったり、最終的には主人公が勝ってスカッとするのがおそらく面白いと感じる理由だと思います。


 で、この賭ケグルイの最新刊において「完璧な技術は前提」「本物はその先にある」と言う台詞があるのですが、やはり創作や芸術は守破離というのが大事なのかなと思うのですね。


 型がある人間がその型を破るのは『型破り』だが、そもそも型がない人間が型にとらわれないでいても『形無し』でしかないようなので。


 ですのでオリジナリティのあるアイデアを生み出す発想力と言うのはたしかに重要なんだけど、物語はどういった構成やキャラクター、シーンだと面白いのかという構成力・キャラ作り・表現力があってこそ個性というのは輝くのでしょうね。


 テンプレというのは雛形ですがその型を「守」るのは重要なのでしょう。


 しかし芸術には技術のパラドックスというのがつきもので、あまり技術そのものを追求しすぎると、逆にオリジナリティの不足によりむしろおもしろくなくなり、なんとか良い作品を作ろうとして、それまでに身につけた技術を駆使して外見的体裁を取り繕うあまり、表現から個性が消えて、どっかで見たような作品しか作れなくなるようです。


 そしてこの状態に陥ると、創る楽しさというものが消えてしまい、創作をすることが帰って苦痛になって疲れてしまうもののようですから、個性があるように見えるアイデアを生み出すのもおそらく大事なのですけどね。


 ま、要するに面白い物語の構成と言うのはある程度定番があるけど、そこにどんだけ作者の個性による、読者に対しての未知の刺激をつっこむかが大事なんじゃないですかね。


 構成的には面白いのは間違いないけど今までとはちょっと違う目新しい刺激があるに越したことはない、読者が求めているのはそんなものなのではないかと思います。


 まあ、だからといって苦痛展開はなろうでは受けませんし、言うは易し行うは難しなのですけどね。


 構成力などをどうすれば手に入れられるかは個人によって違うと思うけど、個人的には好きな小説の不満点を自分なりの解釈で変える二次創作を書いてみるのが良いんじゃないかなーと思います。


 なんでテンプレ小説であってもそれが好きであれば、書いて見る意味はあると思うのですね。


 こういうふうにすれば受けるらしい、こういうふうだと受けないらしいというのがわかるようになりうそうですし。


 そうやって少しずつ創作の技術もしくは知識や経験を手に入れていけば良いんでないかなと。


 まあある意味”辛いけど楽しい”というちょっとマゾな人でないと続けるのは難しいのかもとも思いますけどね。


 でも、何も知らない人がチョモランマに登頂できることは普通はないでしょうし、素人が100キロのバーベルを上げることもできないでしょう。


 創作もそれとおんなじなんだと思います。

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