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水源の過去エッセイまとめ  作者: 水源
2018年8月

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この先ラノベというか出版業界はオワコンなのは間違いないけど、ソシャゲよりは衰退は遅いと思う

 さて、ラノベはオワコンと言うのは2012年には既に言われていていましたが、実際文庫の売上はそのあたりからじりじり減少していてそれを四六版などのブックで補っていたけど2017年はそれすら売上が落ちてるようですね。


 具体的な数字ですと。

 2016年 文庫売上206.0億円 ブック売上133.5億円 合計339.4億円 刊行点数 約1,750点

 2017年 文庫売上175.6億円 ブック売上119.9億円 合計295.5億円 刊行点数 約1,800点


 と刊行点数が増えてるのに売上が減っているようなのですね。


 ちなみに出版関係で壊滅的なのは雑誌で、最盛期の半分以下の売上になっているそうですが、WEBで無料で流行を終えるのにわざわざ雑誌を買う必要がなくなったのが大きいようですね。


 一方、ゲームは去年は家庭用ハードが任天堂のスイッチのおかげで売上が増加し、コンシューマゲームのハード・ソフト合計で、前年比128.3%の4413億円。


 とこれは5年ぶりのプラス成長だそうです。


 さらにソシャゲやブラウザゲームなどのオンライン市場も1兆1273億円に達し、国内の合計したゲーム市場は年々拡大が続き、2017年は過去最高の1兆5686億円となったそうです。


 コンピューターゲームは子供の遊びと言うのもすっかり昔の話ですね。


 2009年ごろからソシャゲはオワコンと言われていましたが実際はウッハウハに見えます。


 ちなみに漫画の市場規模は紙と電子を合わせて合計で前年比0.9%減の3377億円だけど、紙のコミックスは前年比14.4%減の1666億円、電子のコミックスは前年比17.2%増の1711億円で電子書籍が紙媒体を抜いたそうですね。


 となると一番先行く不安なのはラノベに見えますが、単純にそうは言えないように思います。


 ラノベもソシャゲも売れてるタイトルの多くが5年から3年前くらいのタイトル、漫画のワンピースに至っては20年前のタイトルが未だに一番売れていると言う状況は、その後に新たな売れるタイトルが出てないということなのですが、これらを作り上げるのに必要な金額がラノベは一冊の本を作って1万部程度印刷するのに500万円程度ですが、最近のソシャゲは開発費が1億円から5億億円ほどかかり、しかもGoogle Play や iTunes Storeといったアプリストアにスマホゲームを掲載すると、その掲載代金で売上の約3割をGoogleやAppleに支払う必要があるそうです。


 かと言ってDMMやモバゲー、グリーなら安いというわけでもないようですが。


 グリーやモバゲーのガラケーが主流だった時代の開発費は1千万円~5千万円だったそうですが1桁上がっちゃうとなかなか開発費の回収もできませんし、これの宣伝広告費は別で、事前登録などの為の広告を掛けると宣伝媒体にもよりますが初期費用が10億円から20億円に達することもあるようです。


 実際2010年ごろは中小の会社が新規参入してもかせぐことができたようですが、2015年以降は新規参入してもほぼ全滅だそうで、たとえばゲームの月の売り上げが1000万円であるとしてアプリストアに3割払い、サーバ代金や運営の人件費とか電気代とかをひくと残るのは400万から500万程度。


 ではずっと1000万円で売れつずけるかと言うとそうではなく売り上げが落ちていく可能性のほうがずっと高いのですね。


 スタートダッシュで知名度を獲得して参入者が増えていくタイトルのみ生き残れるのがソシャゲやブラウザゲームの現状のようです。


 さらに最近のソーシャルゲームは全体的になんかどっかみたことがあるようなものが多いので、余計に飽きられやすいようです。


 昨年の12月にDMMでリリースされたISのブラウザゲームは、動作が重過ぎると言うのが最初から不評でおよそ半年で終了が決まりましたが、3ヶ月4ヶ月でサービス終了のゲームも決して珍しくなくなり最短で2ヶ月で終了のゲームも出ています。


 最近は中国の開発した荒野行動がはやってるようですが、MMORPGが結局同じようなものばかりになって、しかも課金がうざくなって決定的に衰退したように、ソシャゲも今のままでは5年後くらいには衰退しそうです。


 じゃあラノベはどうなんだと言えば、これはラノベの定義の範囲によると思います。


 少し前のような可愛い女の子を表紙や挿絵にした文庫本を出せばいいと言うのは正直もう駄目でしょう。


 女の子のイラストだけなら基本は無料のソシャゲに軍配が上がります。


 さらにいえばイラストさえ良ければいいと、粗製乱造しすぎて絵に騙されたと言う理由で読者離れを引き起させたのは出版者の安易な考えが問題だったように思います。


 しかしながら可愛い女の子を表紙や挿絵にした文庫本と言う定義だと、オーバーロードはラノベでなく一般文芸となりますがそれは多分違うでしょう。


 中高生を中心とした若年層を読者層に想定して執筆されているというのも、最初期のコバルトやソノラマの頃はともかく現在では読者の年齢も40代が中心になってるようなのでこれも当てはまらないでしょう。


 萌え要素の強い小説というのも最近は当てはまらない気がしますので、それこそ『あなたがそうだと思うものがライトノベルです。ただし、他人の同意を得られるとは限りません。』が実情なのでしょうね。


 ラノベの大まかなはやりとしては70年代後半のコバルトやソノラマがSFやミステリ、その次の80年代から90年代の角川スニーカーや富士見ファンタジアがベーシックな中世ヨーロッパ風ファンタジー、1990年代の電撃は学園異能バトル、学園謎部活、魔王物などのローファンタシーで、2000年代のMFのハーレムラブコメときて、2010年代はなろうの異世界転生と言う感じですが、長文タイトル異世界転生もそろそろ飽きられているので、現在の新人賞作家などの商用ラノベでは既に流行りのジャンルのような区分けがあまりないのを考えると、なろうからの書籍化も異世界俺つえーファンタジーだけではなくなっていくでしょう、それにこだわれば倒産する出版社が増えるだけでしょうしね。


 しかし、ソノラマは潰れましたがコバルトはまだ残ってますから大手はなかなか潰れない気もします。


 いずれにせよ現状のような薄利多売ではなく、金をだしてもいいという人の欲求を満たすレベルの少数精鋭で読者のほしいジャンルのニッチを埋めつつ、できればなるべく広い範囲に受け入れられる作品を作っていくのは重要なのでしょうけどね。


 小説は作るために必要な資金が少なめで済むという強みを、なろうなどのWEBから拾ってくれば良いんだと勘違いしたままだったら、いずれ商品として本当にうれなくなって、なろうなどで無料の作品を読めればいいやという人が大多数になってしまうのでしょうけどね。


 小説そのものを紙媒体にこだわリすぎず比較的廉価に作れ、漫画やアニメなどの原作としても使いやすいというメリットをもっと生かしていくべきなのでしょう。

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