第五章「連戦」(一)
一九四四年八月十二日 硫黄島
「先に出られるやつから行け!」
「チョーク外せ〜っ!」
「あとは、無線機から指示を出す」
「第三飛行場、第二中隊の離陸開始」
「第二飛行場の一式陸攻の離陸と退避は後回しだ」
「電探の情報では、後十五分で敵機が来るぞ」
その日の硫黄島は、普段の下界から隔絶されたような静寂すら感じさせる雰囲気の対極にあった。
それもその筈、アメリカ軍の艦載機が新型電探でも捕捉できない程多数襲来しつつあるのだ。
発端は、その日夜明け前に硫黄島第二飛行場を飛び立った、一式陸攻二二型十一機のうち二機が原因していた。
彼ら二機は員数外の出撃機で、定時連絡を寄越さない不明潜水艦の哨戒区域を重点的に探るべく追加で放たれたものだった。
そして高度三千メートルを時速三一五キロの巡航速度で飛行中に、変化を発見した。
巡航飛行開始から一時間半をわずかに上回るほどの時間の事で、彼らはスコール雲の合間に、無数の白く細い帯を確認した。
そしてほぼ同時に、上方を監視していた機銃員が敵機襲来を告げた。
「未確認飛行機、数四機。戦闘機動を取りつつ本機に急速接近中」と。
この時硫黄島には、偵察のための一式陸攻二二型が二四機(予備機含む)配備されていたが、電探搭載型は皆無だった。
航空機搭載型電探の製造と、電探を搭載した一式陸攻の製造は赤色戦争終戦後の軍縮により生産と配備が大幅に遅れており、ほとんどの機体が重点偵察地域だったマーシャル諸島とサイパン、テニアンに配備されていたからだ。
このため各機は目視による偵察しか手段がなかったのだが、日本海軍は硫黄島に来る前に別の場所に敵が最初に襲来すると考えていたため、大きな欠点だと重要視していなかった。
サイパン、テニアンと内地を結ぶ重要な中継拠点のため、念のため防空の戦闘機隊は一個大隊配備されていたが、それも念のためという域を出ていなかった。
全面戦争でもないのに、最初に硫黄島が襲撃される筈ないというのが、常識的判断から下された評価だった。
しかも現状でも、聯合艦隊司令部が硫黄島を重視した結果配備された機体が多かった。
加えて、中継基地としての整備が進み飛行場はコンクリート滑走路を持つものが三箇所もあり基地機能は有り余るぐらいだったが、今の慰めはそれぐらいだ。
第一報を送ってきた一式陸攻は、戦艦による艦隊を一つ、空母群の艦隊も一つ、さらに未確認艦隊複数を十海里近く離れた距離に確認。
さらに、F4Fワイルドキャットと思われる艦載機による襲撃を受けつつあると言う平文の報告を最後に連絡を絶った。
後は蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。
ありとあらゆる連絡方法を使って各所に敵主力艦隊発見の第一報が送られると共に、偵察のため追加の一式陸攻の発進。
迎撃機の準備が行われた。
案の定、擂鉢山にある設置されたばかりの大型電探は、襲来する敵機を捉えた。
しかも新型の円形表示盤の一箇所が真っ白に染まるほどの集団を捉えた。
時間にして発見から約一時間後で、万全と行かないまでも迎撃準備を整えていた硫黄島航空隊は、事前に暖機運転させていた零式戦闘機全機にあたる二十七機を離陸させ、島では据え付けられた対空火器のすべてが天を睨んだ。
零戦隊は、硫黄島から五分ほど進んだ場所で相手より高い高度四〇〇〇メートルを確保。
敵大編隊の襲来を待ちかまえた。
「敵、左二時の方向に確認」隊長機の小隊に属する飛曹長が、第一発見者になった。
数は発見の時点では不明だったが、けっきょく誰も数については分からなかった。
最初は小さな胡麻粒が一つ、二つと増えるだけだったのが、三分もすると空一面に昼の夜空の黒い星々ように広がっていたからだ。
編隊の緊密度は大編隊のせいか意外に低く、中隊から大隊レベルで集団を作るも分散しがちだった。
だが、圧倒的多数の敵なのは間違いなかった。
隊長の大尉は第二次世界大戦後に格段に性能が向上した無線機で硫黄島基地に報告した。
「我敵機確認。数、二〇〇機以上。これより戦闘を開始する」
第一撃は零戦隊の圧勝だった。
敵護衛戦闘機が気付いた時には、太陽を背に逆さ落としする格好で急降下し、大編隊の上方を守っていた米戦闘機隊の目の前を横切って、その下の爆撃機隊へと集団で突っ込むことに成功したからだ。
第一撃で十機以上の単発爆撃機が撃墜され、さらに数機も煙を吐いて脱落した。
機体の中には大爆発して僚機を巻き込んだものもあった。
しかしそれから零戦隊は、敵編隊のおおよそ四割近くを占める戦闘機隊に追い回される事になる。
「敵はF4Fと判断する。降下速度と丈夫さ以外は、俺達の零戦二二型の方が上だ。上昇速度と運動性で引っかき回せ。とにかく戦闘機を振り切って、爆撃を妨害しろ。それで任務は達成される」
隊長機の大尉はそう言うと、自ら率いる三機編隊を最高速度で敵編隊に突っ込ませた。
零戦二二型は、二一型から栄二一型にエンジンを換装しただけの機体だったが、デビュー頃の機体とは見えない差が随所にあった。
彼らが円滑な連絡を取り合っている無線機もその一つだが、インドネシアからもたらされるオクタン価九九のガソリンと、ドイツの工作機械を大量輸入して製造された高性能プラグによって、最高速度は従来より二十キロ近く速かった。
速度上昇のおかげで、機体構造も若干強化されているほどだ。
すべては戦勝によって得られた欧州の優れた技術と工作機械が優先的に回された結果だった。
それに引き替え米戦闘機のF4Fは、零戦二二型より五〇キロも遅い最高速度しか発揮できなかった。
零戦とは比較にならない頑健さのおかげで、降下速度と耐弾性能は高かったが、数で負けない限り硫黄島にいる零戦の敵ではないと感じられた。
製造開始が零戦より少し遅いだけの同世代機だが、日本人が戦争の最中努力していたのに引き替え、戦争を体験しなかったアメリカは、平時状態の兵器更新速度で満足したまま過ごしたと見られていた。
もっとも大尉が今まで体験した米軍機は、インド洋で相手をした英空軍に供与されたF2Fバッファローだったので、まあこんなものかという気分が強かった。
そう思うだけのゆとりもごく僅かの時間だが持てる戦闘だったのだ。
そして戦闘の合間合間とは言えゆとりが持てたという事こそが、零戦とF4Fの差だった。
つまり、実戦経験と熟練度の差こそが日本軍の個々の戦闘での優位を作り上げていたのだ。
しかし今は、相手の数がF4Fだけで三倍以上あり、相手がスキを見せた時以外は逃げ回るのが主な任務となっていた。
もちろん、最初の第一撃以外で爆撃機や攻撃機に手を出すゆとりはなくなっている。
だから三〇分ほどして敵が引き上げた時、振り返った先に見えた硫黄島は随所で煙を噴き上げ、まるで火山活動を再開したかのように思えたほど、酷い有様だった。
島の上空をフライパスして確認しても、三つあった飛行場のすべてが一トンクラスの大型爆弾で破壊されていた。
離陸前自分たちに指示を下していた鉄筋コンクリート製の司令塔も途中で折れて倒壊し、擂鉢山にあった大型の電探も屑鉄に変わり果てていた。
おかげで生き残った戦闘機すべては、不時着して爆弾の間を器用に着陸できた数機を除いて全損となった。
不時着の失敗で命を落とした搭乗員もおり、硫黄島すべての者に敗北を刻みつける事になる。
戦闘機同士の戦いには善戦しむしろ勝利した硫黄島の戦いだったが、物量の差によって勝負は決せられたのだ。
なお、大尉は二〇〇機以上と報告した米艦載機だが、実際は二つの空母群から約三〇〇機が放たれていた。
つまり十倍の数と大尉達は戦ったのだった。
そして、同数以上の敵を撃墜破し、自軍の直接の損害も一桁だった事は、その後の戦闘にも影響を与えるようになる。
「チェリーたちばかりで心配だったが、どうやら入学式は果たしたらしいな。あとは、場数を踏めばアバズレ女だろうと怖かないぜ、なあシャーマン」
「はい、提督。しかし思った以上の成果です」
「ああ。実戦ということで、皆張り切っている証拠だろうよ。俺も年甲斐もなく熱くなっているほどだ」
(あんたは年がら年中だろう)
この度ハルゼー提督の参謀長を拝命したシャーマン少将だったが、内心で悪態が付けるほど心にゆとりがあった。
今は、攻撃した艦載機の収容中で損害報告は届いてなく、硫黄島が島全体活火山のように噴煙を上あげているという報告しかもたらされていないから尚更だ。
(それに)
「それに、空母をこれほど集中した効果は絶大です。日本軍が今まで成功を積み重ねてきたのも、母艦の集中運用があったればこそと実感させられます」
「ああ、これからはジャップばかりにデカイ面はさせないぜ。けどなシャーマン、一つ覚えておけ。空母の集中運用がヤツらの専売特許じゃなくなったからと言って、ジャップを舐めてかかるな。連中の方が先達だし場数も踏んでいる。他の者も覚えておけよ」
「はい、肝に銘じます。それに今回は、二線級の基地守備隊が相手です。戦闘機は三十機程度。偵察機を含めても母艦一隻分レベルの戦力でしたから、勝利して当然です」
そこまで言うと、ハルゼーがシャーマンの二の腕をポンと叩いた。
「まあ、そこまで自分たちを卑下するな。だいいち、初戦で勝った効果は大きい。これで進撃に弾みがつくし、何よりジャップが慌てふためいてミスをしでかす可能性が高まる」
下品な言葉と口調をしているが、ハルゼーは既に先の戦場を見ていた。
でなければ、合衆国海軍最強の軍事力を任されたりはしない。
シャーマンは、ハルゼーの言葉に小さく一礼した。
「それにしてもハルゼー提督、提督は数年前より今のような編成を考えておられたとお聞きしましたが」
「あ、ああ。ジャップの小沢が特許権を主張しているらしいが、ヤツに遅れを取っている積もりはないぜ。俺とヤツとの違いは、上司に恵まれたかそうでないかの違いだけだ。ちょうど、ナチの軍隊がヒトラーを得て戦車軍団を先駆けて持てたのと同じようにな」
「なるほど。確かにそうですね。しかし、致命的な時に致命的な相手が、最良の組み合わせを得たものです。日本、ドイツ双方とも先見の明を持つ者と理解者を得なければ、ファシズムが世界を征することも無かったわけですから」
「おい、シャーマン。ナチもジャップもまだ世界を征服しちゃいないぜ。まだ、ステイツがある。こいつも忘れるな」
シャーマンの顔に、ハルゼーが人差し指を突きつけて言い切った。
(戦場にはこういう男こそが必要だ)そう思うシャーマンだが、ただプレジデントに向かうときのように敬礼のみを返した。
なお、ハルゼー提督率いる十隻の航空母艦達は、部隊呼称として「マザーグース」が用いられていた。
今回各母艦にも、イギリスの童謡マザーグースに登場する駒鳥の歌の中の十三の動物たちのコードネームが付けられている。
正規空母の数は十隻だが、残りの三つのうち二つは、第一、第二機動群のコードネームにされ、最後の一つは今回全艦隊旗艦として用意された指揮用巡洋艦のインディアナポリスに当てられていた。
マザーグースで最後に鐘を鳴らすのが、インディアナポリスに当られたブル(牡牛)だった。
そして殺され弔われるクックロビン(駒鳥)こそが、聯合艦隊なのだ。
硫黄島撃砕という露払いを努めたハルゼーの機動部隊に見られるように、米太平洋艦隊は完全な戦闘態勢で日本近海にまで接近しており、そして高速で移動しつつあった。
「艦隊速力十六ノットへの上昇を確認、急げ」
「アイアイサー」
「併走する第二任務部隊より、駆逐艦カッシンを経由して信号です。我、艦隊速力十六ノットを維持」
「コードーネーム「ブル(牡牛)」、ハルゼー提督の旗艦インディアナポリスから入電。我艦載機収容完了。損害軽微。これより隊列に復帰せんとす。次のジャップはどこだ。以上です」
太平洋艦隊旗艦となった戦艦アイオワの戦闘指揮所では、様々な情報が飛び交っていた。
多くは、艦隊が硫黄島沖数百キロ海上を、速力十六ノット(約時速三〇キロ)で西進しつつある事を伝えていた。
アンダーソン作戦参謀は、他の司令部スタッフと共に部屋に詰め、状況を見極めつつ現状の反すうをしていた。
傍目にも表情を崩さない、冷静な幕僚の一人という風に見えた。
第三手までは完璧と言って良い結果だ。
初手の全艦隊出撃後の敵偵察力の封殺と艦隊分離。
第二手の別働隊のマリアナ進撃の発見。
そして第三手の硫黄島奇襲成功だ。
これにより、日本軍は文字通り右往左往しているのが、今も入り続けている傍受通信から手に取るように理解できた。
日本海軍は、自らの暗号を解読されていないと安心しているのか、何かにつけて暗号で通信をやり取りしている。
そして合衆国軍は、自らの努力とイギリスなどが第二次世界大戦中に手に入れた情報から、日本の暗号を戦場で意味のあるうちに解読する術を持っていた。
もちろん全てが分かるわけではないが、強度の弱い外交暗号はほぼ筒抜けで失笑を誘うほどだった。
だからこそ、日本海軍主力が待機していた日本本土から出撃した事も簡単に知ることができた。
まずは初手。
日本の暗号解読を利用して、自軍出撃に連動して日本海軍が動き出したことを知ることができた。
相手が自分たちと同じかそれ以上の大兵力でも、動きを知っていれば対処はできる。
牡牛とマタドールの関係を思えば良いのだ。
日本海軍は、彼らの編み出した漸減邀撃作戦で、自分たちをマタドール、アメリカ海軍を牡牛に見立てていたようだが、これで立場が逆転した。
アメリカは初手で戦場で最も必要な主導権を得たのだ。
初手でハワイにあった艦隊を全力で出撃させ、情報を意図的にもらした事への非難は大きかったが、この早期出撃と第十四任務部隊の遅い足取りによって、日本艦隊は洋上待機によって余計な燃料を消費し続けている。
追撃してくるにしても、無茶な速度はもう出せない筈だった。
そして第二手。
これによりアメリカの目的がマリアナ諸島での決戦と思わせる。これにも成功していた。
というより、こちらが相手のテーブルに着いたと見せた以上、日本艦隊も出て行かざるを得なかった。
冷徹な司令部なら、主力が見えるまで行動を控えようとするだろうが、テンションが乱高下する日本政府首脳が悠長な事を認める筈なかった。
現に日本本土の司令部からは、グループ・フリート宛にただちに現場に急行せよという通信文が出されている。
そして第三手。
別働隊とタイムラグを置いてのアメリカ主力艦隊の発見と、間髪を入れないこちらから手を出した硫黄島の粉砕だ。
日本政府の周章狼狽が目に浮かぶようで、いっそ高笑いしたいぐらいだった。
効果は完璧だった。日本軍の最重要中継基地の一つは、最低でも二十四時間は機能停止した。
聯合艦隊主力も自らの用意周到さが仇になって、完全にマリアナ海域まで到着していた。
おかげで、待ちかまえる筈がアメリカ主力艦隊を追いかける状況に追い込まれている。
しかも日本軍は事前に洋上攻撃可能な航空戦力の過半を、教科書通りにマリアナ近海に集結させており、日本本土はガラ空き同然だった。
もちろん、幾多の戦乱をくぐり抜けた日本陸軍の航空隊が日本本土には犇めいているから、こちらが手を出すことは出来ない。
逆にこちらが手を出さない限り、日本列島の攻撃力はないも同然だった。
もちろん大量に放たれるであろう偵察機は注意すべきだが、その為に新型機を艦隊防空に拘束させている。
万全ではないかもしれないが、これからしばらくの行動が筒抜けになるという間の抜けた事態にはならない筈だった。
そして米主力艦隊は、戦艦、空母十数隻を要する大規模な四個艦隊であり、日本本土に残っている警備艦隊に手が出せる相手ではない。
そして圧倒的な艦隊は、目的地である中国大陸最大の国際都市上海まで最短で四日。
現状でのスケジュールでも四日半の距離、これが重要だった。
途中、日本列島と沖縄の中間海域を通過するとき危険が考えられたが、それも艦載機九〇〇機と戦艦群の艦砲射撃を以てすれば強行突破も十分に可能だった。
何しろ日本海軍の主力は、彼らのシナリオ通りマリアナ諸島に犇めいているからだ。
このまま日本軍が混乱を続けてくれれば、最少の犠牲でアメリカ政府が求める政治的勝利は得られる筈だった。
恐らくは、往年の「ホワイト・フリート」を凌駕する衝撃が日本中枢を襲い、東京オリンピック後の外交交渉は極めて有利に運ぶだろうと予測できた。
そして、恐らく現アメリカ大統領が目指している大統領四選の可能性は高まり、運が良ければこの作戦を立案したアンダーソン自身にもなお一層の日の目が当たるかもしれなかった。
彼自身、軍人として以上の名誉や栄達にそれほど感心はなかったが、自分の立てた作戦が歴史を動かすかもしれないという点では、大きな興味を覚えていた。
彼の抱いている高揚感の多くも、歴史を動かしているという点が最重要だった。
そんなアンダーソンのどこか浮かれた気分が表情に出ていたのか、ニミッツ太平洋艦隊司令長官が、片方の眉を上げた。
「アンダーソン君、今のところ作戦は、うまく行っていると考えていいのかな」
「はい、ニミッツ長官。しかし、作戦初期から見られた、日本海軍の偵察重視の傾向は注意すべきです。もし日本海軍が三ヶ月前の偵察シフトのままであったら、我々の行動は今以上に容易だったでしょう」
ほう。先ほど片眉を上げた時とは違って、少し見直す色がニミッツの瞳にはあった。やはりニミッツは、アンダーソンが作戦の成功で浮かれているのではと見ていたのだ。
「なるほど。では、火の玉小僧にすべての邪魔者を排除するように徹底させよう。それと、第十四任務部隊のキンケイドとキャラハンには、サイパン、テニアンに近づき過ぎないように徹底させる、取りあえずはそんなところか、スプルアンス」
「そうですね。日本軍機の足が、イギリスの持っていた情報より長いのは私も気がかりです。あと、硫黄島の詳細な情報を受けねば断言できませんが、レーダーの運用も長けていると考えるべきでしょう。偵察力が上昇しているのも、運用方法はもちろんですが技術面も無視できないと考えられます」
「確かに、そうだな。とは言え、艦隊周囲に来てくれなくては有効なレーダー妨害はできない。大出力の妨害装置は、まだ艦載機には載せられないからな」
「はい、ですからハルゼー提督の艦載機に、すべての近寄る機体を撃墜する命令は有効でしょう。新型機なら相手がよほどの高速でない限り、遅れはとらない筈です」
「うむ。通信参謀今の私の会話を命令にして、ハルゼーとキンケイドそれぞれに発令してくれ」
アイアイサー。通信参謀は、念のためニミッツの最初の言葉を復唱すると、戦闘指揮所を後にした。




