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第12話 逃げるを選択したが、出来なかった

 マイちゃんに連れられて買い物に来たが、何かギスギスした空気だな。

 その空気を出しているのは三人をチラリと見ると。

 笑顔で何か牽制し合っている。

 買い物ぐらいもっと和やかに出来ないものかな。

 前世でマイちゃんとユエと買い物をした時はもっと和やかだった気がする。

『ねぇ、ノッ君。わたしが選んだ物の方が良いよね? ね?』

『ノブ。正直に言うと良い。マイカが選んだ物よりも、わたしが選んだ方が遥かに良いと』

 …………いや、今思い出したが、別に意味で空気が重かったな。

 あの時は僕が買った物で決まったが、もし、どちらか選んでいたら、それはそれでギスギスした空気を出していたのかもな。

 そんな事を思い出しながら歩いていると、不意に何かに引き寄せられた。

 と同時に頭に柔らかい物が押し当てられた。

「ウ~ちゃん、みっけ」

 そう言ってギュッと抱き締める。

「どうしたの? フェル姉」

「もう、何時の間にか姿を消しているから心配して探したのに、その態度。悪い子ね」

 そう言ってギュッと力を籠める。

 何だ。姉さん達の話し合いはもう終わったのか。

 そう思いながら周囲を見ると、ミリア姉ちゃんとロゼ姉様とヘル姉さんが近くにいた。

 三人共、僕を見るなり手を振って来た。

「……あれ? 姉上は?」

「イザドラ姉さんならウ~ちゃんを探しに龍の姿になろうとしたから、気絶もとい宥めてわたし達が探す事にしたのよ」

 今、気絶と言わなかったか?

 というか、姿が見えなくなったからって龍になると勘弁してよ。

 何処かの怪獣の様に暴れる姿しか思いつかない。

「うふふ、まぁ、気持ちも分かるけどね~」

 そう言ってフェル姉は頬ずりして来た。

「ちょ、やめてよ」

 僕は逃げようともがくが、フェル姉は逃がさないとばかりに拘束を強くした。

「あれが、リウイ様のお姉様の一人?」

「そう訊いてるけど」

 アルネブとアマルティアの二人は僕が抱き締められているのを見て、ヒソヒソと話をしていた。

「う~ん。此処は割って入るべきか、それとも此処は見守るべきか」

 マイちゃんは頭を捻っていた。

 良いから割って入って欲しいんだけど。

 

 その後はロゼ姉様が止める様に言うと、フェル姉は大人しく止めた。

 そして、僕達は姉さん達と買い物をする事になった。

「ふぅ、久しぶりに服をこんなに買ったわね」

「本当だね~」

 フェル姉とミリア姉ちゃんの手には買った物が入っている袋をこれでもかと言うぐらいに持っていた。自分達で持ち切れない分の荷物はヘル姉さんに持たせていた。

 ヘル姉さんは特に何も思わないのか気にした風も無く荷物を持っていた。

「お主ら、少々買い過ぎじゃと思うのじゃが」

 ロゼ姉様は特に買う物は無かったのか、小さな袋を一つ持っているだけであった。

 何を買ったのかは見ていないが、袋の大きさから左程大きくない物を買ったのだろう。

 今日は船ではなく、副都にある僕の店に泊る事になった。

 そうした方が補給に関してする手間が省けるからだ。

 僕達が店の従業員が使うスペースに入ると。

「うん? 何だ、この匂い?」

 嗅いでいるだけで涙が出そうであった。

「ああ、リウイ。帰って来ましたか」

 そう言って僕達を出迎えたのはエプロンを来たイザドラ姉上であった。

 それを見た瞬間、僕と姉さん達は楽しく会話していたが一瞬で水を打った様になった。

「・・・・・・姉上?」

「はい? どうかしました?」

「その、エプロンを着て、何をしているのです?」

「ふふ、何をおかしな事を言っているのです? エプロンを着ているのですから、料理を作るにために決まっているでしょう」

 僕の話を聞いておかしいのか笑う姉上。

 それを聞いた僕達は生唾を飲み込んだ。

 まずい。非常に不味いぞ。

 姉上は料理を作るのは下手ではない。だが、自分の味付けを強くする傾向がある。

 そう超が幾つも頭に着いた激辛好き。

 昔、食べて僕達が悶絶しているのを見て姉上だけは首を傾げて「何で、こんなに美味しいのに皆は駄目なのかしら?」と言いながら食べているのはシュールを通り越して恐怖した。

 あの時の恐怖を思い出して、僕達は顔を引きつらせる。

「……あっ、僕、船でやる事が」

「わたしも」

「妾も」

 そう言って僕とフェル姉とロゼ姉様はは逃げ出そうとしたが。

「まぁ、そんな事は明日にでも出来るでしょう」

 そう言って一瞬にして僕達の前に回り込み逃亡を阻止した。

 くっ、これでは逃げられない。

「あら? ミリアリアは何処に?」

 姉上がそう言って首を動かして周りを見出したので、僕達も周りを見たがミリア姉ちゃんの姿はなかった。

 代わりとばかりに、天井から一枚の紙がヒラヒラと揺れながら落ちて来た。

 僕はその紙を取ると『今日は外食したい気分だから外で食べるね♪ ミリアリア』と書かれていた。それを見た瞬間、僕達は逃げたと瞬時に分かった。

「全く、あの子は団体行動が出来ない子ですね。ほら、もう食べれますから食堂に行きますよ」

 ミリア姉ちゃんの自由さに呆れつつ、イザドラ姉上は僕達を食堂に行くように促した。

 ミリア姉ちゃんめ~。

「リウイ様達はどうして、暗い顔をしているのでしょう?」

「さぁ?」

「料理でお腹を壊す事はないでしょうに」

 三人は僕達の様子を見て首を傾げていた。

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