表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
706/756

第100話 話を聞かねば

 もう死んでいると思ったアウラ王女が目の前に居る。

 その衝撃的な事が起こったのは、数分前であった。


 外に出た僕達は少し歩くと、要塞の入り口まで来た。

「……こうして見るとかなり老朽化しているね」

「だね~。でも、それでも要塞自体は残っているって事は、そうとう丈夫な建材を柱に使ったんだろうね」

 要塞を改めて見ると、壕の中には塵やら良く分からない物が山の様に積まれており、壁などはボロボロではあるが。建物自体は千年経っている割りは左程酷くない。

 むしろ、手入れなどされていないのに良く建物が残っていたなと言えた。

 入り口を見ると、門が不自然な壊れ方をしていた。

 閉まっている状態で人一人が通れるぐらいの大きさの穴が開いていた。

 まるで、門を開閉するのが面倒なので穴を開けたかのようだ。

「魔物か何か居るのかな?」

「分からいけど、何かはいそうね」

 マイちゃんは面白そうな顔をしている。

「また、何が居るのか分からないのに嬉しそうな顔をするな。マイ」

 ユエが嘆息する。

 面白そうな事に首を突っ込むのは今も昔も変わらないなと思い、溜め息が出た。

「だが、何か居るのか分からない所に全員で行くのはあまりに無謀だな」

「どうします? ディアーネさん」

 ユエがそう言うという事は何か有るのだろうと思い訊ねた。

「わたしとマイとリウイ殿で要塞内部に入り探索。その間、西園寺達は入り口で待機だ」

「えっ?」

「俺達は此処で待つのかよ?」

 ユエの提案に竜人君達は不満そうであった。

「お主らはわたしの知人の子供だからな。此処に来て怪我でも負わせたら、あいつらに申し訳がたたん」

 ユエが暗に文句は無いなという意味を込めて話すと、四人は何も言えず黙り込んだ。

「なに、安全が確認されたら入っても構わん。わたし達が探索している間は此処で待機だ」

「……分かりました」

 ユエの言葉に従う竜人君達。

 そして、僕達は要塞の中に入っていった。


 要塞の廊下を歩きながら、周りを見る。

 外に比べると左程、壊れては居なかった。もっとも外に比べたらであって、損壊しているのは変わらなかった。

「外に比べると内部はさほど損壊していないな」

「そうね。外と同じ位老朽化していると思ったけど」

 ユエとマイちゃんは周りを警戒しながら歩いていた。

 確かに、とても昔に廃棄されたとは思えない位だ。

 そう思いながら歩いていると、足元を見ていなかった所為で段差があった様でバランスを崩して尻餅をついてしまった。

「いたた、って、これはっ!」

 手をつかないで転んだので尻が痛かったが、そんな事はどうでも良いくらいに驚いていた。

「大丈夫?」

「不注意だぞ。ちゃんとしろ」

「ああ、うん。いや、それよりもユエ。マイちゃん。これを見て」

 僕は床を手で撫でて二人に見せた。

「床を撫でてどうしたの?」

「ふむ、何も無いように見えるが?」

 二人は僕の手に何も無い事に不思議がっていた。

「いや、おかしいだろう。どうして遥か昔に廃棄された筈の要塞の埃が手に付かないのか」

 僕の言葉に二人はその意味が直ぐに分かった顔をする。

「という事は」

「偶にもしくは定期的に誰かがこの要塞を使っているという事ね」

「恐らくは」

 じゃないと、床に埃が落ちていない理由にはならない。

「此処からは慎重に行くぞ」

「「了解」」

 僕達は警戒度を上げていると。廊下の角から歩く音が聞こえて来た。

「誰か来るっ」

「何者かは知らないが。一応、戦闘態勢をとろうか」

 マイちゃんは腰に差している剣を抜き、ユエは屋内だからか短剣を構えた。

 僕は腰に差しているアンゼリカの柄に手を掛けた。

『うひゃああ、何じゃ。いきなり、女の大事な所を掴むときは、もっと優しくするものだぞっ』

「女?ではないだろうっ」

 寝ていたアンゼリカが抗議を上げるが今は無視だ。

 僕達は警戒心を強めていると、廊下の角から何者かが姿を見せた。

「其処に居るのは何者だ?」

 声は女性の声であった。

 僕はその女性の顔を見ているとある人物を思い出した。

「……セリーヌ王女殿下」

 思わず口に出た嘗て一夜を共にした女性。

 そして、形式的には前世の自分の妻になっている人。

 セリーヌと目の前に居る女性と似ていた。

 違うのは、目の前に居る女性は目付きがキツイ所であった。

「今、何と言った?」

 僕のつぶやきに女性は不審そうな顔をした。

 僕は手で口を押えた。その間に、ユエとマイちゃんが僕の前に立った。

「お主、セリーヌ王女殿下にそっくりだが。どういう事だ?」

「確かヴァベリア王国の血統は絶えて久しいって聞いているのだけど」

 僕を守るかのように立つ二人。

「むっ、お主らは確か。マイカ・サナダにユエリャンであったな」

「「どうして、わたし達の名を?」」

 それは僕も同感であった。

 しかし、目の前に居る女性がセリーヌ王女とマイちゃん達の名前を知っている事から考えて、ある一人の女性が思い出せた。

「ああ、そうか。お前達には。素顔を見せた事がなかったな。では、改めて名乗るとしよう」

 女性は身なりを正して頭を下げた。

「今は亡きヴァベリア王国の第一王女にして姫将軍の地位についていたアウラ・エクセラ・ロンディバルアだ」

 自分の名前を堂々と名乗るアウラ王女。

 何故、どうして生きている⁈

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ