第101話 また行くのか
「ターバクソン公国の公都とヴァベリア王国の都。今は『廃都』に行きたいだと?」
「どうして、行きたいの?」
ユエは意味を図りかねているし、村松さんも行って何の意味があるのか分からないという顔をしていた。
どういう事なのだろうと思っていると、西園寺が口を開いた。
「公都に行きたいと言うのは、わたしと信之が行って見たいからなんです」
「何故? 貴方達の知り合いなど居ない所ですよ」
「いや、俺の親父の親友が作った所なんだろう。公国って」
黒川と名乗った者が話に割り込んだ。
ふむ。どうやら、彼はてるやんこと照之の息子か。予想通りと言えば予想通りだな。
「親父はこの世界にこれないから、息子の俺が墓参りに行きたいんだ。何せ俺の名前の信はその人の名前から取ったって聞いているからな」
何となくそんな気がしてた。てるやんらしいな。
「わたしも同じです。父である西園寺颯真の代わりに墓参りにいきたいんです」
成程ね。二人の言い分は分かった。
父親の代わりに前世の僕の墓参りね。律儀だなと思った。
「それについては後で話し合うとして、どうして『廃都』にまで行くのかな?」
噂で聞いた限りだと、廃墟になって久しい上に死人がうじゃうじゃしていると聞いている。そんな所に行って何がしたいのやら。
「龍月がどうしても其処に行きたいと言っているので」
そうか、彼女が行きたい理由は恐らく。
「其処には伯父が葬られた所を聞いています。あたしは其処に行って伯父の死の真相を知りたいんです」
死の真相?
僕はユエを見る。
さ、い、お、ん、じ、く、ん、は、あ、ま、ぎ、く、ん、が、し、ん、だ、り、ゆ、う、を、は、な、し、て、な、い、のっと。
秘密のハンドサインをユエに見せると、直ぐに返信が来た。
じ、じ、よ、う、が、じ、じ、よ、うだ、か、ら、さ、い、お、ん、じ、が、あ、ま、ぎ、が、し、ん、だ、と、だ、け、つ、た、え、た、そ、う、だ、あ、と、く、ら、す、め、い、と、に、は、あ、ま、ぎ、の、し、に、つ、い、て、は、こ、う、が、い、す、る、な、と、い、つ、た、ぞ、か。
確かにな。まさか、好きな人を振り向かせる為に僕を殺して、その罪がバレて死刑になったなんて家族の人が聞けばショックだろうしな。
しかし、この世界に来てそれなりに経っているだろうから、少しはこの世界の歴史を学んだと思うのだけど。もしかして、知らないのかな?
「無論。伯父が死んだ理由はこの王宮にある図書室の本で読んである程度は知っています」
「知っているのに、どうして伯父の死の理由を知りたいのだ?」
「どうしてそんな事をしたのかを知りたいのです。伯父が葬られた所だったら、その真相を確かめる事も出来るでしょう」
その真相を知っているのが此処に僕を含めて四人居ますよ。
言うべきかな? そう思いユエを見るとユエは首を横に振る。
流石にショックがでかいだろうと判断したようだ。
「・・・・・・ふん。あんな奴の死の真相を知りたいなんて、物好きね」
小声だけど明らかに蔑んだ言い方をしている椎名さん。
前世の事とはいえ、正直に言って恨みなど無い。むしろ、椎名さんにちゃんと言わない僕が悪かったからな。あそこまで追い詰めた一因は僕にもある。
「それで『廃都』に行きたいとか、物好きだね~。というかさ」
村松さんは身を乗り出した。
「わたしとディアネンとユキナッチは死刑になった経緯を知っているけど聞きたい?」
「本当ですか⁉」
「うん。天城君はね」
「ああ~、村松さん。ちょっと」
村松さんが話そうとしたので、僕は口を挟んだ。
「ほへ?」
「此処はまず『廃都』まで行ってから、其処で死の真相を調べてから話した方が良いと思いますよ」
「でも、今話した方が」
「村松さんが話したら、村松さんの主観が混じった話になるだろうから、此処は龍月さんが調べて其処から得たものと比べて違いを確かめた方が良いと思いますよ」
「ふぅん。たっきーはどう?」
「え、えっと、わたしは少し調べてから聞いても良いですか? たっきーってわたしの事ですか?」
「そうよ。たっきーがそう言うのなら、別に良いけど」
村松さんは背もたれにもたれた。
「ああ、そのディアナさんは何か目的があったのでは?」
話を変えようと椎名さんの姪っ子のディアナさんに話しかける。
「わたしの場合は叔母が生きているかどうかの確認だったので、もう大丈夫です」
そう言って椎名さんを見るディアナさん。
こちらは目的達成か。
「ですので、どうか力を貸して頂けないでしょうか?」
竜人君は頭を下げる。
それに倣って他の三人も頭を下げた。
四人の気持ちは分かったけど、『廃都』と公都か。行くとしたら同行するべきか?




